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エントロピーはなぜ増大するのか?:愚問。それは時間の向きの定義です。

エントロピーが増大することを、我々は「時間が進む」と呼んでいるのです。

たしかにエントロピー増大は自明としか思えない。

しかし、我々はエントロピーが増大する方向を、時間軸の正方向と定義している。だから、エントロピーは時間とともに増大するに決まっていて、それは循環論法なのです。

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「人間の目はなぜ前を向いているのか?」

っていう「ためになるお話」がありますよね^^;

「前に進むためだ」

というのが答なわけですが、誰しもが思うように(?)、背中についていたら、背中の方向に歩いただろうし、そちらを「前」と呼んだでしょうね(笑)

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時間とエントロピーの話って、考え出すと頭がおかしくなるようなところがあります。

そもそも物理学には、過去とか未来という概念がない(注1)。物理法則は時間の正の方向でも負の方向でも成立するから、分けて考える必要がないのです。

注1:例外的にエントロピーは「過去・未来」と関連付けられている。
しかし物理の概念の中でエントロピーはかなり特殊です。
 例えば「素粒子が一つだけ存在する系」では、エントロピーを定義できない。
 そして、何を持ってエントロピーが大きいと定義するかは、かなり曖昧で、人間の主観的要素が多分に入っているのです。
 タイトル上の画像で、ほとんどの人は左のほうが「乱雑さが少ない」と言うでしょう。でもそれは証明できない。
 右の図も、球体は厳密な規則通りに並んでいる可能性があるからです。

そして同様の理由で、現在という概念もない。

現在、過去、未来とは人間の頭の中にしか無いのです。端的に言うと、時間軸で「記憶を持っていない領域」が未来です。それ以上のものではない。

さらにアインシュタイン以降は、「時間軸の方向」も観測者によって異なると分かってしまった。もはや過去とか未来と言う概念が意味を失いました。

「未来」とは、「(その特定の)観察者が記憶を持たない(その特定の観察者にとっての)時間領域」でしかない。一般化できない概念なのです^^;

私はこれを考えると眠れなくなります(嘘です。熟睡します[笑] )

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おまけ

エントロピーに関しては、実に面白いパラドックスがあります。

「エントロピーは増大する」ので、「昔」の宇宙(の全体)は今よりもエントロピーは小さかった。だから「宇宙が誕生した瞬間」は今よりもはるかにエントロピーが小さかった。

そこで問題は

「どうしてそのようなエントロピーが小さい状態が発生したのか?」

です。

これは、一見すると簡単な問題で、答は「偶然」です。「待ち時間」は無限にあるので、たまたま(局所的に)発生したのでしょう。「遅かれ早かれ」そういう事があるのは必然だ。

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ところが肝心な問題はこのあとなのです。

「現在の宇宙」は、宇宙誕生時よりもエントロピーは大きい。だから「誕生時の宇宙」ほどにエントロピーが小さい状態が「偶然」発生したのならば、「現在、我々が見ているこの宇宙」が、例えば1秒前に「偶然」に発生したということもあり得るのです。

そして、確率論から言えば、その可能性の方が遥かに高い。

つまり「宇宙誕生とその後の歴史などというものはなく、この宇宙はこの状態で唐突に出現した」というのが結論です^^;

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このパラドックスには今日現在、答はありません。

私自身は、これを考えると頭がおかしくなりそうなので、考えないようにしています(これは本当です。笑)

私に思いつく、唯一の「答」は、おそらくはエントロピーという概念そのものが無意味なのではないかというものです^^;



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