見出し画像

【福井9月旅】米どころ東郷を愛し明日の「おつくねのまち」を結ぶひとたち(その2)毘沙門寿司さん

「お米から作るお寿司屋さん」、また、地域の憩いの場として、東郷をはじめ、福井県内外の多くのお客さまから愛され続けていらっしゃる、創業45年の老舗「毘沙門寿司」(びしゃもんずし)さん。

JR越美北線の越前東郷駅から徒歩5分くらいのアクセスの便利な場所にあります。「こだわりランチ」の大きな看板が目印です!

入りやすい外観
清潔な明るい店内。東郷の超人気店です。


前回のアンバサダー活動で頂いた「こだわりランチ」のお米やおかずの一品一品の美味しさ、お客さまで賑わっていた店内の雰囲気の居心地良さを感じたお店でした。

本日は「毘沙門寿司」さんならではのお米へのこだわりや、人気商品の「鯖寿司」などについて、社長である堀江富夫氏にお話をお聞きしてみたいと思います。

目 次

  • 父の背中に、お米を商売にしたいと誓った小学生時代。

  • お米と鯖にとことんこだわった自慢の鯖寿司

  • 米どころ東郷米の美味しさの背景

  • 長く愛される秘訣は、たゆまぬ努力とアイデア精神

  • 地域になくてはならない名店

父の背中に、お米を商売にしたいと誓った小学生時代。

ーーーーお寿司の職人さんを目指されたきっかけをお聞かせください。

小学生くらいの頃、親父が夜が明けるか明けないかくらいにお米を10袋くらい車に積んで、農協へ蔵出しに行く姿が目に焼き付いていました。昔は管理が行き届いてないから、カメ虫が米を吸うと中が空っぽになってお米粒が斑点になってしまう。そういうのが混じっていると、すべて返品になってしまうんです。半分くらい返され、玄関に山と積まれたお米の袋を見て、お米じたいは美味しいのにと悔しくて、いつかお米を商売にしてみたいと思いましたね。そのときの気持ちが、いまの仕事の原点になっているのかもしれません。

昔からものづくりが好きで、工業高校の機械科に進学、卒業後は福井でも有数の化学会社に就職して設備管理等に携わっていました。母は看護師で、子どもは私を含め四人いましてね。

転機になったのは、昭和48年ごろ、福井市で
有名な回転寿司の第一号店に板前として勤めていた弟から独立したいと相談があった頃でしょうか。話を聞くうち、弟夫婦と母と私と妻の五人で、寿司店をやっていこうかということになりました。

ーーーー開業にあたっての不安はありましたか。

60年続く米農家でしたので、天塩にかけて育てたお米を、お客さまに目の前で食べていただけることに喜びややりがいを感じましたし、事業としての取組みも面白そうだなと思いました。勤め人時代に、ものづくりで培った基盤を活かして、得意なアイデアを駆使していこうかと。

弟は回転寿司店でのノウハウがあったので、最初はここに機械を導入して回転寿司店を開こうかという話もありましたが、親族とも話しあってこの地域では違うのではないかと。

もっと地域のお客さんに根ざしたお店をやっていきたいということになり、お客さん主体のメニューを考えたり、寿司を桶に入れてデリバリーをするところからはじめました。

ーーーーホルモン焼き、ラーメンなど、バラエティに富んだ充実のメニューも、毘沙門寿司さんの魅力のひとつですね。

社長の手作りのメニュー表です

ありがとうございます。夜、ここに来られる若い人たちはまず、唐揚げや炭火焼きなどのお肉系から注文されますね。焼いたものを注文のあとお寿司や刺身にいかれて、締めにラーメンを召し上がっていかれます。

このあたりは、18時過ぎて開いている飲食店が少なく、ご家族や仲間うちでいらっしゃる方も多いので、お魚以外のものも召し上がっていただけるようメニューも工夫しています。
カラオケもありますから、うちに来ていただければ、歌ったり飲んだりしていただけますよ。

評判の鯖寿司のお米と鯖へのこだわり


ーーーー先日、ランチをいただいている時、鯖寿司をお持ち帰りでお買い求めのお客さまも多数いらっしゃいました。毘沙門寿司さんの看板商品にもなっている鯖寿司についてもお話をお聞かせください。

バッテラ鯖寿司です。お持ち帰りをしました。光り方も美しいですね。
肉厚です。
なんと!シャリより鯖の方が厚いんです。
小さいサイズも販売されています。

新鮮で美味しいものを低価格で提供してお客さまに喜んでもらうのが一番という信条から、材料であるお米と鯖には徹底的にこだわっています。

鯖寿司は、20年ほど前から始めたバッテラ棒寿司と、敦賀のとろろ昆布でくるんだ磯巻き焼き鯖寿司、磯巻きへしこ鯖棒寿司などをご用意しております。バッテラ棒寿司は、鯖の脂がのる時期にあわせて9月から2月までの期間限定販売です。

良い鯖があるときしか作らないので事前に予約していただけると良いかと思います。

ーーー鯖について


まずバッテラに使う鯖は、鳥取県の境港から長崎、八戸などの日本海近郊でとれた国産の鯖しか使いません。なぜ日本海側かというと、日本海にはアニサキスを宿すクジラがいないからなんです。

焼き鯖寿司には太平洋側の鯖も使います。宮城県沖秋から冬に捕獲されるブランド鯖である金華鯖と窯(がま)を主に使っています。
宮城県仙台市のお店と提携、そこから厳選して仕入れています。

ーーーお米について

代々、米農家なので、寿司米に使うお米も、有機肥料で自ら育てた越前東郷米産の100%コシヒカリ米を使っています。
通常、米の袋にコシヒカリと書いてあっても、ブレンドされている場合がありますが、正真正銘、うちはコシヒカリのみ。

ご存じのように、コシヒカリは元々福井県が発祥の地。ハナエチゼンも育てていますがお店で提供する米は、やっぱりコシヒカリにこだわりたいですね。

ただ新米のコシヒカリを酢飯にするには、粘りがあって柔らかすぎるので当店では、土蔵で一年のあいだ寝かせて使うようにしています。
そうすると、うまみはそのままで余分な水分が減るんですよ。

ーーー蔵で寝かしていらっしゃるお寿司屋さんは、希少ですね。美味しいお米をさらに美味しく食べるためのアイデアですね。

はい、百俵の米を寝かせられるのも、百姓にしかできないことなんですよ笑。

ーーーー私もバッテラをお持ち帰りでいただきました。鯖の半身まるごと使ったすごく美味しいバッテラで、母も感嘆の声をあげていました。

肉厚の鯖の旨味と越前東郷のコシヒカリのお米がマッチした美味しさは、毘沙門寿司さんの鯖寿司でしか味わえません。

遠方の方は、毘沙門寿司さんのウェブサイトから、オンラインでお取り寄せも可能なのでぜひご賞味ください。

東郷米の美味しさの背景

ー--ーお寿司の重要な脇役でもあり主役でもあるお米ですが、なぜ東郷地区は福井のなかで
も有数の米どころなんでしょうか?


東郷は福井県三大河川である九頭竜川や足羽川上流沿った田園地帯で、大野や勝山などの山のある地域から、冬にはミネラルの多い雪どけ水が流れこむ豊饒な水質の地域なんです。

周囲を山に囲まれた盆地ということもあって、夏には寒暖差のある気流がまわっていましてね、これも、お米の成長を促すんですね。

そしてこのあたりは砂が混じっている砂利層の水はけが良い地質なんです。水はけが良いと何がいいかというと、土のなかの古い空気も流し出してしまうから、根っこが栄養を吸収しやすくて健康な稲が育ちやすいんです。

10月の風景。9月には稲刈りも終わっているそうです。

長く愛される秘訣は、たゆまぬ努力とアイデア精神


ー--今ではオンラインで買えるようになりましたが、以前はデパ地下に出店されるなど、販売促進の工夫なども積極的に行っていらっしゃったようですね。

4年前までは、1日も欠かさず17年間、深夜0時に寿司店の営業が終わったあと、30キロも
離れた南条サービスエリアまで、焼き鯖寿司、へしこ鯖寿司、めんたいこ鯖寿司を納品しに車を走らせました。

ー--17年の間、一日も欠かさずとは凄いことですね。なぜ深夜に行かれたのですか❓


当時は、焼き鯖寿司を扱っている業者が10社ほどございまして、その中で、抜きん出てお客さまに手にとっていただくには、商品の内容だけではなく、その他の工夫が必要です。

サービスエリアは20時ごろに大型の観光バスが乗り付けることも多く、深夜にかけて在庫が品薄だとお客さまのニーズに素早く対応することができません。

他の業者さんは翌朝10時頃に商品の補充をされますが、当店では当日の20時頃にはサービスエリアに商品の売れ行きや在庫を確認、すぐに不足分の商品をつくり、店が終わる深夜1時ごろに高速を飛ばして南条サービスエリアに納品に行くのが日課でしたね。

そのほかにも、ご縁のあった静岡や彦根などの方々も応援してくださって、現地で代わりに販売してくださったりなどもありました。

ー---毘沙門寿司さんのお話から、お客様の視点にたって必要なことを惜しみなく提供する仕事をする上での心得みたいなものを教えていただけました。

そういった日々の積み重ねが、今日のお店の繁盛につながっていらっしゃるのですね。

地域にとって、なくてはならない名店

ー---700円で手作りのお料理を豊かにいただけるランチにも驚きました。お味噌汁には自家製の煎った玄米が入っていましたね。

日替わりで、三種類の中から選べます。
玄米のカリカリがお味噌汁に入っています。


はい。ランチは、お年寄りの憩いの場所が地域になくなったことから、5年くらい前に商工会の人たちと話しあって、地域のお年寄りが毎日来れる場所をコンセプトにと考えました。
飽きないように、三種類のなかから選んでいただけてメニューも日替わりで変えています。

当店には個室もありますが、部屋代は無料で、おやつの持参もOKですよ笑。
15時半にいったんお店は閉めますが、11時の開店からいらっしゃって、平均二時間から三時間くらいゆっくり仲間うちでランチを召し上がってくださっています。

ー---地域にとってなくてはならないお店ですね。これから、どのようなお店づくりをしていきたいですか?


入りやすくて、お客さんがまたお友達を誘って連れてきてくれる、誘われたほうも嬉しくなれて、また来たいなと思っていただける。
そんなお店づくりをめざして、これからも精進を続けていきたいですね。

ーーーファミリーで毘沙門寿司さんに来店していたお子さんが大人になって、また毘沙門寿司さんに友人や家族を誘って集まって・・・素敵な循環のシーンが思い浮かびました。

地域の人に愛され、息長く続けていらっしゃるなかでも、新しいアイデアの風を取り入れていく、そして米どころである東郷の誇りを伝えていらっしゃるお店でもあると感じます!

堀江様、お忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。


毘沙門寿司

〒9102144
福井県福井市上毘沙門町1-46-4
電話  0776-41-3344
営業時間 10時から24時
定休日  水曜


地図です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?