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第一稿は「一番悪いものを描いてやる」ってぐらいがちょうどいいって話

「書くことは、書き直すことである」

ハリウッド式脚本術の権威であるシド・フィールドは自身の著書『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと ~シド・フィールドの脚本術~』でその格言を載せています。

作品は第一稿ができてからが本当のスタート。そこからの第二稿、第三稿……書き直しが本当の作業(地獄)だぜってことですね。実際ハリウッドの脚本は何度も何度も書き直し(リライト)作業が行われるのが常識で、場合によっては複数の脚本家が同時に書き直しをやり、コンペでいいものを採用するなんてこともあるそうです。

そんな話を聞いて、私が漫画や短編動画用のストーリーや脚本を構想するとき意識するようになったのは、なるべくはやく作品に対して「良い」「悪い」が言える段階に持っていくということです。

どういうことかと言うと、雑でいいからなるべく素早く第一稿(たたき台)を仕上げてしまうと言うやり方です。もちろんそんな作り方ですから、粗削りで矛盾があり、構成もあまくて……と出来は良くありません。

しかし「ここが悪い」「そこが悪い」「これがつまらない」「もっとサービスシーン増やせ」……なんて言えるならば、あとはそれらをひとつひとつ手直ししていけばいいわけです。問題が明確になれば、解決方法も明確になります。頭の中だけの作品は雲のように形が移り変わり、掴みどころがありません。それを相手にするのに比べれば、「ここがつまらねぇ」と言える状態の方がずっと楽で上等なわけです。

反対によくないパターンは、第一稿に取り掛かるまで必要以上にうんうん悩んでしまう状態です。このパターンに陥ると、たいがい考えすぎてこんがらがった、あまり良くないものが出てくるし、「あんなに時間をかけたんだから……」なんてその悪いままの状態で作品を公開してしまいがちです。

脚本だろうが小説だろうが漫画だろうが、ものごとを創造する過程は迷路のように入り組んでおり難解です。こんな難しいことを頭の中だけで解決しようなんて、超難しい数式を暗算でやろうとしているようなものです。

では難しい数式を解くときに皆さんはどうしていましたか? 電卓とエクセルはなしで。……そう、筆算をしますよね! 頭の中でやるには難しすぎるなら、目に見えるように書き出すやり方が最も単純で効果的です。とりあえず、とにかく何でもいいから分かっている部分だけでも書き出してみる。それから、書き出されたものを眺めて間違いを正して、足りない部分を書き足して、余った部分を削っていくわけです。間違ってたら書き直せばいい、はじめから完璧である必要なんてないわけです。

なのでオススメは「一番悪いものを描いてやる」ってくらいの気持ちで第一稿に手を付ける方法です。(タイトル伏線回収!)

いいものを描こうと思うと、必要以上にプレッシャーがかかり、書き出せない自分に自信がなくなり、自己嫌悪に陥り、部屋の片付けをはじめ、YOUTUBEを開き、ツイッターを何度も更新し、友達に意味のないLINEを送り、未消化のアニメを再生し、鉛筆が耳かきに早変わりするわけです。

ですから逆に、悪いものを書いてやるって気持ちで頭の中のもやもやを吐き出してしまう方が気楽です。(「おにはそと!!」って感じでね)でもそれで大丈夫、「悪い」ってことがわかることが、「良い」ってことを知る第一歩なんです。それに案外いっぱい書き出してみると、割といいじゃんってアイデアが転がっているものです。そしたらそれを拾い上げ、今度はそれを中心に書き直していけばいいわけです。一言でまとめれば「案ずるより産むが易し」ってことです。

そうはいっても「言うは易し、行うは難し」ってなわけで、結局のところ第一稿はうんうん悩むものだと思います。

じゃあなんでこの記事を書いたのかって理由はただ一つ。

私が手つかずの白紙の前で、自分に自信がなくなり、自己嫌悪に陥り、部屋の片付けをはじめ、YOUTUBEを開き、ツイッターを何度も更新し、友達に意味のないLINEを送り、未消化のアニメを再生し、鉛筆が耳かきに早変わり……する頃に、この記事を読み直して気分転換をするためです。

願わくば、もしあなたが私と同じ状態に陥ってしまったときにこの記事が参考の一つになれば幸いです。

PS
ちょっと前に上げた短編動画の方も、ちょいちょい観てくれる方がいてうれしい限りです。
この調子で作品を増やしていき、まずはコンテンツを充実させていきたいと思います。

よかったら短編ピクスト動画も観てね!
『機械は土に還らない』:https://youtu.be/4jkRlKcw1HQ


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