こころ

心理臨床家 ”目にはさやかに見えねども”

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最近の記事

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花の命は短くて苦しきことのみ多かりき

    • パーソナリティ障害

       パーソナリティ障害とは、思考・感情・行動などのパターンが平均から著しく逸脱し、社会生活や職業生活に支障をきたしている状態のことをいう。思考・感情・行動の特徴が極端な形で現れ、柔軟性がなく、長期間にわたって持続し、著しい機能障害または主観的苦痛が引き起こされている場合に限って、パーソナリティ障害と診断される。  パーソナリティ障害は、正常な状態とはいえないが、病気であるともいなない。パーソナリティ障害を持つ人は、統合失調症、気分障害、不安障害などの精神障害の一部と重なる症状を

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        比翼の鳥 連理の枝

        • 精神分析

           Freud,S.が精神分析を創始したのは、人々がどのようにして自分の心を知り、その洞察を介して、心に対する主権を回復することができるか、という課題に答える努力の過程からであると言われている。Freud,S.は1893年以降、ヒステリー研究、強迫神経症の研究から精神分析の基本的な理論を示し、晩年に発表された夢の分析、生の本能・死の本能理論は、後の精神分析の新たな展開の礎となった。  精神分析理論では、意識的な力と同様にあるいはそれ以上に、無意識的な力が私たちの行動を決定してい

        花の命は短くて苦しきことのみ多かりき

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          アイデンティティ

           「アイデンティティ」とは、日本語では自我同一性と訳される、「自分が何者なのか」「自分は社会とどう関わるのか」など、自分についての総合的見解であり、文化的、社会的な文脈のなかでの個人の存在を規定するものである。アイデンティティは、自分は独自の特性をもっており他人とは違うということ(独自性・単一性)、過去と現在の自分との連続性を感じられること(不変性・連続性)、自分はいずれかの社会に属しており認められているという感覚(帰属性)の3つの領域によって説明できる。それらが調和をなして

          アイデンティティ

          自尊心

           自尊心とは、心理学で自分への自信のことをいう。自分自身について考える際に、自分を基本的に価値ある存在とみなせる感覚のことを指す。この自尊心には、2つの種類があるとされている。ひとつは長期間安定している特性自尊心と、もう一つは、個人が置かれている状況によって短期間で変化する状態自尊心である。「私は自分に自信がある」と答えられる人は特性自尊心が高いと考えられます。しかしながら、自分に自信のある人でも、大きな失敗をした後には落ち込んでしまうかもしれません。このようなその時々の状況

          自尊心

          遊戯療法

           遊戯療法は、おもに子どもを対象として、遊具・玩具を用いて遊びながら行う心理療法である。子どもは十分な言語表現活動を行えないため、遊びにを通じて、その内的な世界が現れるという考えに基づいている。  遊戯療法には、誰にも介入されずに自由に遊べる空間が必要である。玩具や遊具を備えた遊戯治療室(プレイルーム)などで行われるのが一般的である。週1回およそ40分~50分の時間で実施される。  心理療法家は、子どもの主体性を尊重して、受容的に接する。そのことが、子どもにとって何をやっても

          遊戯療法

          つわものはしる

          つわものはしる

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          エンドオブシーン

          エンドオブシーン

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          ローカス・オブ・コントロール

           ローカス・オブ・コントロールとは、行動の結果のコントロール要因を自分自身に求めるか、外的な要因に求めるかの認知スタイルあるいは性格特性のことをいう。統制の所在ともいい、アメリカの心理学者Rotter,J.B.が提唱した。彼は、行動の結果を自分自身の力で統制できると思うか、それとも自分以外の力で決められてしまうと思うか、つまり結果を「自分の力次第」と思うかそれとも「運次第」と思うかで達成動機の強さや達成行動は異なると考えた。また、行動の結果を自分の内部の力(努力や能力)で統制

          ローカス・オブ・コントロール

          レジリエンス

           レジリエンスとは、Rutter,M.によって「深刻な危険性にもかかわらず、適応的な機能を維持しようとする現象」と定義づけられた用語である。困難に対する耐久力、抵抗力、柔軟性を意味するとされる。このレジリエンスが高い人は、たとえストレスフルな環境にあってもそれに耐え、適応的に生きることが可能であるといわれている。対してレジリエンスが低い人は、この環境に耐えることが困難であり、PTSDにもなりやすいとされている。  家庭環境に著しい困難を抱えた子どものすべてが不適応を示すわけで

          レジリエンス

          心の理論

           心の理論とは、霊長類研究者のPremack, D.が提唱している推論体系である。これは、他者には自分と異なる心的状態が、独立して存在しているということを理解する能力である。この心の理論を確かめる課題として、誤信念課題(英国の自閉症研究者、Barron‐Cohen,S.のサリーとアンの課題が有名)がある。自分は知っているが物語中の登場人物は知らないという状況が提示され、そのことを正しく理解できているかを問うものである。心の理論が成立していない場合、自分が知っているのだから、登

          心の理論

          モノアミンと薬

           興奮性シナプスのドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンは、まとめてモノアミンと呼ばれる。    ドーパミンは、運動やホルモン調節、快感情、意欲、学習などに関与する。ドーパミン受容体において、神経伝達物質の受け取りを阻害する薬のことを抗精神病薬という。主として統合失調症に効果がある。  セロトニンは、気分の調節、摂食、睡眠、覚醒の制御に関与する。セロトニンに関する薬としては、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)がある。この薬は、使われなかったセロトニンの再取り込み

          モノアミンと薬

          老化

           老化現象は細胞の機能低下による臓器の機能低下であり、細胞の機能低下は細胞の寿命と密接に関係している。細胞は分裂し、再生することで若さを保っている。生体は多くの細胞から構成されている。再生系細胞(血液、皮膚など)は比較的速い周期で分裂・再生し、分裂を50~60回繰り返すと細胞の寿命を迎えるとされている。一方、神経細胞や、筋肉細胞などの非再生系細胞は分裂・増殖せず、ゆっくりと機能が低下していく。細胞の老化には2つの学説がある。1つは、エラー蓄積仮説といい、細胞が長い間に少しずつ

          ファロー四徴症

           ファロー四徴症とは、次の4つの異常が組み合わさったものである。①心室中隔欠損、②肺動脈狭窄、③大動脈が右方に転位して心室中隔欠損部にまたがっており(騎乗大動脈)、さらに④右心室肥大が合併する。このうち、③騎乗大動脈は①心室中隔欠損によるもので、また、④右心室肥大も①心室中隔欠損に続発するものであるため、①心室中隔欠損と②肺動脈狭窄が基本的な異常とされる。これは、単独の心室中隔欠損とは異なり、肺動脈狭窄があるため、右心室の血液は肺動脈へは流れにくく、心室中隔欠損をとおり左心室

          ファロー四徴症

          消化器

           消化器とは、食物を摂取する口腔から始まり、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸を経て消化され肛門に達する管腔臓器のことを指す。口腔で咀嚼されて唾液で一部を消化された食物は、食道を経て胃におくられ、胃腺から分泌される消化酵素(胃にたんぱく質が入ってくると、ペプシノーゲンが胃壁から分泌される。 胃酸によってペプシノーゲンはペプシンになる)によりたんぱく質が消化される。一方、肝臓で産生された胆汁は、胆嚢へ運ばれて濃縮、貯蔵されたのち、総胆管を通過し膵頭部で膵管と合流し、膵液と一