心の理論
心の理論とは、霊長類研究者のPremack, D.が提唱している推論体系である。これは、他者には自分と異なる心的状態が、独立して存在しているということを理解する能力である。この心の理論を確かめる課題として、誤信念課題(英国の自閉症研究者、Barron‐Cohen,S.のサリーとアンの課題が有名)がある。自分は知っているが物語中の登場人物は知らないという状況が提示され、そのことを正しく理解できているかを問うものである。心の理論が成立していない場合、自分が知っているのだから、登場人物も知っているはずだと思い込み、正しく答えることができない。この能力は4歳ごろに獲得されるといわれている。
また、自閉症児と心の理論の関係が指摘されており、自閉症児の4歳児の多くは誤信念課題に正しく答えることができず、自閉症児の抱えるさまざまな困難は、心の理論が獲得されていないことが原因ではないかと考えられ、自閉症児の理解への手掛かりして注目されている。
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