自閉スペクトラム症とその支援
自閉スペクトラム症とは
自閉スペクトラム症とは、対人関係やこだわりといった点で困難を抱える障害とされている。歴史的にみると1943年にアメリカの児童精神科医であったKanner,L.が症例を報告し自閉症という名称が使われはじめた。その後、1960年代までは、統合失調症の一種とみなされていたが、1970年代になると、自閉症は統合失調症とは異なり、先天的な脳機能の障害であることなどが明らかになってきた。1980年に出版されたDSM-3では、精神障害のカテゴリから、広汎性発達障害というカテゴリに分類され、広く認知されることになる。1994年にはDSM-4のなかで、自閉症の特徴を①社会的相互作用の非定型性、②言語などのコミュニケーションの非定型性、③行動・興味・活動の限局的・反復的な様式、という3つに分類し、これらの特徴をどの程度有しているかに応じて診断されることとなる。この3つの特徴がすべて認められる場合は自閉性障害、①や③は認められるが②の特徴はない場合はアスペルガー障害、①は認められるが自閉性障害やアスペルガー障害に該当しない場合は、特定不能の広汎性発達障害と分類されるようになった。その後、この分類に基づいて脳構造や遺伝的背景を比較しても差が認められない、専門家間でも下位分類の診断が一致していないといったことが明らかになっている。このような歴史的背景から、研究者の間で、自閉症をカテゴリではなく、連続体(スペクトラム)としてとらえる考えが主流となってきた。2013年のDSM-5では、定型発達も含めて、自閉症スペクトラム症の特徴は緩やかに連続分布していることを意味している見方に改められ、発達時期の年齢制限も撤廃された。また、他の発達障害との二重診断を可とし、感覚過敏・鈍麻が主な特徴として明記されるようになった。
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