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【序章】初心者ダイバーさんに捧ぐ 『深呼吸の呪縛から解き放たれよ!』

「大きく深呼吸してください。」

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今、思いっきり吸いませんでした??

ス――――っとまずは吸いましたよね。それが「深呼吸の呪縛」です。

今日は実は初心者ダイバーをひそかに苦しめているかもしれない「深呼吸の呪縛」の話をしたいと思います。

初めてダイビングをした時めちゃくちゃ苦しかったんです。

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海の中で魚に囲まれて、夢のような時間を過ごしたい。

そう思っていざ体験ダイビングに参加したはずだったのに・・・。どうしてもレギュレーターを使った水中での呼吸に馴染むことができず「なんか思ってたのと違ったな・・・」っていう思い出になっている方いませんか?

体験ダイビングじゃなくて、しっかりと講習を受ければきっとこのちょっと息苦しいレギュレーター呼吸が快適になるんじゃないか?とダイビングを諦めずに参加してはみたけど、やはりどうしてもなんとなく・・・なんとなくなんだけど、やっぱりレギュレーター呼吸が不安で・・・苦しい・・・気がする・・。

そんなダイバーさんと一緒に潜ることが時々あります。

なぜ、レギュレーター呼吸が苦しいのかというと、実は原因はとっても簡単なんです。

深呼吸で息を吸おうとしてるから。

あれ?インストラクターに『深呼吸してください!』って言われたんだぞ!って方いますよね。たしかに深呼吸は間違ってないんです。ただ、実は陸の深呼吸と水中の深呼吸は、スタート地点が違うのです。

水の呼吸?(流行りに乗っかろうとしてます。)

今度は息を思いっきり吸ってみてください。

まだまだ。

まだまだ限界まで吸ってみて!

肺一杯に空気をすったところで、海の中にエントリーしてみて(あ、もちろん想像でいいですよ。)ください。

はい、そこでもっと吸ってみて!

ほら。苦しいでしょう?

肺が一杯なのに吸おうとするから苦しいのです。すごく当たり前なことを言ってます。

でも、レギュレーター呼吸が苦しいんです!っていうダイバーさんは、ほぼこの状態の方が多いです。

す・・・吸えませんっっ!!といってブハッと顔をあげてしまう方のレギュレーターからは一切、排気バブルは出てない・・・。辛うじて、出ていてもポコッ・・ポコポコッと時々出せるくらいだったり。

水中でのレギュレーター呼吸は、深呼吸は深呼吸なんだけど・・・・。スタートは「息を吐く」からなんです。しかも、できればすべて吐いてほしい。

しかし、とくに若干の不安を抱えている方は

『水中なのに息をすべて吐くなんて、もってのほかです。ありえません。殺そうとしてます?いや、この人は確実に私を殺そうとしているに違いない。全部吐き出してしまって、そのあと息が吸えなかったらアナタは一体どう責任をとってくれるのか・・・・』

と、完全なる負のループでインストラクターに対する疑念が渦巻き、さらに不安が雪だるま式に膨張し楽しいはずだったダイビングが次第に色あせていく・・・・。この負のループに思考が陥りやすくなる原因もまた間違った深呼吸による酸欠の結果です。しっかり脳に酸素がいかないとクリアな思考は望めません。

肺のガス交換について思い出してみましょう。

そもそも、呼吸ってどうするんでしたっけ?

普段、呼吸のことなんて考えてないから、いざ呼吸についてフォーカスしちゃうと途端に不安に襲われてしまいます。

科学的に説明すると、酸素と二酸化炭素を交換できる場所は「肺」ではなく「肺胞」。肺胞って多分中学2年生くらいで習った気がする。どうしても「白雪姫と7人の小人」の小人がちらちらワタシの脳裏に登場した。Hi-ho♪Hi-ho♪って歌いながら。

肺門から入った空気は、気道を進んで肺胞に入ります。肺胞は直径0.2mmほどの小さな袋です。その周囲を網の目のように取りまくのは、肺動脈や肺静脈につながる毛細血管。肺における酸素と二酸化炭素のガス交換は、この毛細血管で行われます-看護roo! 現場で使える看護知識より

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空気が気管を通って気管支に乗り換えて肺に入っただけではガス交換はされず、その先の先の先の終点「肺胞」を取り巻く毛細血管との間でだけ行われるのです。たった0.2㎜の大きさの器官。

水の呼吸 ダメな型 浅い呼吸(まだ、乗っかることを諦めきれない)

深呼吸ではなく、浅い呼吸をするということは肺胞まで届いてない気管や肺の入り口くらいの気管支あたりの空気をせっせと出し入れしているだけ。

酸素をたっぷり含んだ新鮮な空気は一向に肺胞まで届かず、だんだん息苦しさを感じますね。

家族全員が入って垢や汚れが下の方に沈殿したお風呂を掃除するのに、上の方の水だけ捨てて新しいお湯を張ったようなもんですよ。

イヤじゃない?そんなお風呂・・・。

呼吸も二酸化炭素濃度が高まった空気はしっかり抜いてから、酸素濃度の高い新鮮な空気を入れないと苦しくなっちゃうんです。

だから、ダイビングにおいて深呼吸は全部吐き出すのが実は超大事。

これで水中呼吸が苦しくなくなるのですが・・・

これが「深呼吸の呪縛」の始まりです。

ここまで水中における呼吸の方法について考えてきましたが、実はこの「深呼吸をしてください」が呪縛の始まりだったのです。

深呼吸の呪縛に取りつかれている初心者ダイバーさんは、実はたくさんいます。自分は違うと思っている方も実は知らないうちに呪縛にとらわれています。

呼吸は問題なく出来ているよ!って方は特に、この呪縛によって下記の症状が出ている可能性があります。

・中性浮力でピタッと止まれないんです。

・空気の消費量が他の人より多くて気になります。

・ダイビングをすると頭が痛くなります。

こんな症状がある方は、「深呼吸の呪縛」が原因の可能性があります。

飛行機には普通に乗れるけど、ダイビングになると耳抜きがうまくできない方も実はこの「深呼吸の呪縛」が原因の方も時々います。

「初心者ダイバーたちよ!今こそ深呼吸の呪縛から解き放たれよ!」

次章は、深呼吸の呪縛の解き方を解説します。つづく。


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