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プリセプターと新人看護師が「合わない理由」は優位感覚の違い

この記事は、看護師としてプリセプターの役割を担い、新人教育に携わっている方に対して書いております。

皆さんは、新人看護師の時に「私とプリセプター、性格が合わないなぁ」と感じた経験はありませんか?

もしくは、今まさにプリセプター業務をしている中で、「新人看護師とプリセプターの私、性格が合わないなあ」とか「ちゃんと教えているのに、しっくり来ていない気がする」と思うことってありませんか?

その原因はずばり、優位感覚の違いにあります。

私(プリセプター)が学びやすい方法が、必ずしも相手(新人看護師)に合うとは限りません。
その違いが、「なんか合わないなぁ」と感じる理由です。

つまり「理解しやすい学習法」は人それぞれ違うんです。
今までそんなこと、考えたことはありましたか?

例えば「喫茶店やファミレスなど、少しの雑音があったほうが集中できる」という人もいれば、「図書館のような、ほぼ無音な場所にいたほうが集中できる」人もいますし、「ヘッドホンで好きな音楽を聴いていた方が集中できる」人もいます。

記憶する
集中する
理解する
思い出す

以上のような思考にまつわる行動は、人それぞれ違います。

それが「なんかこの人と合わないなあ」と思う所以ゆえんです。

この記事では、優位感覚とは何か、何故教育においてプリセプターが新人看護師の優位感覚を捉える必要があるのかがわかります。

この記事を読み、相手(新人看護師)が捉えられれば、相手に合わせた方法でよりスムーズに教えることができます。

これは教える側(プリセプター)も、教えられる側(新人看護師)にもメリットがあることです。

プリセプターとしてせっかく熱心に教えているのに、「なんか合わないなぁ」と思われるのは悲しいですよね。

是非この考え方を身に着けて、相手に合わせた教育法を実施できるプリセプターになりましょう。

プリセプターと新人看護師が「合わない理由」は優位感覚の違いにある

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この記事ではプリセプターが、相手(新人看護師)のNLP式の優位感覚を何故捉える必要性があるのかを簡単に解説しています。

・NLPで言う優位感覚とは何か
・何故プリセプターが新人看護師の優位感覚を捉える必要があるのか
・プリセプターが新人看護師の優位感覚を考慮せずに教えるとどうなるのか
・優位感覚別の指導を身に着けるメリット

この記事では、プリセプターが新人看護師を教える上で捉えるべき優位感覚の概要について説明しています。

分類方法、それぞれ分類した型の特徴については別記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。

NLPで言う優位感覚とは何か

NLPで言う優位感覚とは「視覚優位」「聴覚優位」「体感覚優位」の3つを指します。このサイトではより簡単にわかるよう、「視覚型」「聴覚型」「身体感覚型」と呼ぶことにします。

NLPでは五感を3つに分類して考えます。

視覚…目に見えるもの
聴覚…音として聞こえるもの
体感覚…触覚・嗅覚・味覚を感じ取ったもの

この3つを分類したものが、先ほど話した「視覚型」「聴覚型」「身体感覚型」ということになります。

これを、看護の良くある場面で考えてみましょう。

あなたは面談室で、師長に「今年は目標が達成できませんでしたね。来年はもっと頑張ってくださいね」と少し怖い表情で言われました。

この場合、3つのタイプそれぞれで受け取り方が違います。

視覚型の場合
「師長は怖い顔をしていたから怒っていた。きっと期待外れだと見放されたんだろう」
聴覚型の場合
「師長は来年頑張ってねと私に期待してくれている。頑張ろう」
身体感覚型の場合
「個室で怖い顔ですごまれ、すごく緊張した。なんであんな威圧的な言い方しかできないんだろう」

これは極端な例ですが、人はそれぞれ優先的に受け取ることが出来る情報が違います。

同じ情報、同じ状況、同じ人であっても、受け取り方は様々と言うことがお分かりいただけたのではないかと思います。

プリセプターは、何故新人看護師の優位感覚を捉える必要があるのか

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先ほどの例からわかるように、人は優先的に捉える情報が違います。ですから、教育の方法も新人看護師に合わせて変えていかなければなりません。

プリセプターが人に教える状況で、それぞれの型で覚えやすい方法を例に挙げてみると、その違いが一目瞭然にわかると思います。

視覚型
イラストや図、写真を用いられるとわかりやすい
所々解説の中で視覚的なもので捉えられるとわかりやすい
明るい場所、綺麗な場所、整理された場所だと理解しやすい
聴覚型
データや数字があるとわかりやすい
話は最初から最後まで一貫性があり、流れに沿っているとわかりやすい
雑音がない、静かな場所だと聞き取りやすい
身体感覚型
触ったり、実際体験するとわかりやすい
「触った時の感触」「体験したときの感覚」など、感覚に訴える表現だとわかりやすい
説明された感覚が自分の中でめぐってようやく理解するため、ゆっくり説明されると理解しやすい

このように、3つの型で覚えやすい説明や場所などは様々違うのです。

これを無視してプリセプター自身がわかりやすい方法を新人に押し付けると、「なんかこの人合わないなあ」と思われるのは当然のことですよね。

プリセプターが優位感覚を考慮せずに教えるとどうなるのか?

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このように、型が違うプリセプターと新人看護師のペアで説明を推し進めていくと、「なんでこの新人看護師は、ちゃんと教えたのに全然わかってくれないんだろう?」という現象が起こります。

人は自分がわかりやすい方法で説明します。

ここまで読んだ皆さんならお分かりの通り、聴覚型の人が視覚型の人にイラストなどを用いず言葉のみで説明すると、思ったように伝わりません。

このように、知らず知らずのうちプリセプターが自分本位の説明をしていると、以下のようなことが起こります。

プリセプター
「何故これで伝わらないんだ?丁寧に説明しているのに!」
「もしかして、新人看護師と性格が合わないのかな?」
新人看護師
「一生懸命説明してくれてるんだけど、いまいち理解できない」
「理由はわからないけど、なんかプリセプターと合わないんだよなぁ」

これではプリセプターも、新人看護師も、どちらも報われないですよね。

それほど「合わない」「しっくりこない」という相性は、教育において結構重要な要素でもあります。

このように、プリセプターが自分本位の指導方法を繰り返していくと、お互いに良いことはひとつもありません。

プリセプターである、あなたの指導方法が下手だから、とかじゃないんです。
優位感覚が違うだけで、残念なことにお互いに「なんか合わない」というすれ違いが起きてしまいます。

プリセプターと新人看護師の双方が、「あの人と私、なんだか合わないかも?でも原因がわからない…」となっている場合、この優位感覚が違う場合があるということを覚えておいてください。

プリセプターが優位感覚別の指導を身に着けるメリット

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新人看護師に合った指導方法を取り入れるということが、プリセプター・新人看護師双方にメリットがあることがお分かりいただけたと思います。

「お互いに」ということは、プリセプター自身の為でもあるということです。

説明を何度も繰り返えさなければならなかったり、「なんでわかってくれないんだ?」とイライラしたり、「こないだも教えただろ!」と叱責したり…。

そういう些細な積み重ねが、プリセプターにとってはストレスになります。

何せ上司から勝手にペアにされた二人です。
「なんか合わないけど、ペアが解消できない」という拷問のような1年間を過ごすのは、とても苦痛ですよね。

そういった、プリセプター・新人看護師のすれ違いを少しでもなくすのが、相手に合わせた教育方法を取り入れる、というスキルです。

また、教える方法のバリエーションが増えると、他にも良いことがあります。

それは自分が講義を任されたり、プレゼンテーションをする時などに役立つからです。

例えば研究の発表をしたり、勉強会の講師を任されたりする機会もあることでしょう。その時には、たくさんの人間を相手に講義することになりますよね?

様々な人にアプローチするときにも、この優位感覚を巧みに織り交ぜながら講義を展開していくと、あなたの評価は上がります。

自分的には「なんだかしっくりこないな?」と思うスライドでも、他の人から見ると「すごくわかりやすかった!」と言われるのは、そういった理由です。

不特定多数の人を相手にする看護師と言う職業は、相手を選ぶことが出来ません。
「あの人はなんか苦手だからパス」「なんか馬が合わないから、別の人がやって」と逃げていると、応用の効かない人になってしまいます。

「相手となんか合わないけど、それに対応できちゃう人」が、医療者としては一番理想的です。

その「なんか合わない」の理由は様々でしょうが、その一つにこの優位感覚があることを覚えておいてください。

このように「相手となんか合わないけど、それに対応できちゃう人」になれると、患者への指導にも役立つでしょう。

イラストが描いてあると理解しやすい患者
具体的な数値が書かれている(〇%感染が減る、など)と理解しやすい患者実際に物品を見て、触って、体感すると理解しやすい患者

様々な患者がいると思います。
新人教育と同じです。

その人に合った指導方法を見つけて実践できると、看護の幅も広がります。

このように、指導方法のバリエーションを増やすと、様々な場面でメリットがあります。

是非みなさんにも、この指導方法を見つけて欲しいと思います。
具体的な指導方法や、優位感覚の見分け方は別記事にまとめてありますので、是非参考にしてください。

まとめ

この記事では、プリセプターが新人看護師の優位感覚を何故捉える必要性があるのかを簡単に解説しました。

NLPで言う優位感覚とは「視覚優位」「聴覚優位」「体感覚優位」の3つ
何故教育において、相手の優位感覚を捉える必要があるのか
→人それぞれ「理解する」「覚える」「思い出す」「集中する」の優位感覚が違うから
プリセプターが優位感覚を考慮せずに教えるとどうなるのか
→お互いにすれ違いが起きてストレスになる
優位感覚別の指導を身に着けるメリット
→様々な場面でバリエーションに富んだ指導が出来る


この記事では相手(新人看護師)に合わせた教育方法を選ぶ、優位感覚を捉えることについて、概要をお伝えしました。

そろそろ「自分の優位感覚はなんだろう?」「あの新人看護師の優位感覚はなんだろう?」と気になってきたところじゃないかなと思います。

優位感覚の分類方法、それぞれ分類した型の特徴については別記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。

※このnoteは、サイト「看護師指導の基本となるもの」に掲載されている記事から引用したものです。

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