「メモを取らない新人」は何故メモらないのか?考えられる3つのパターン
教育において、対象理解はとても重要です。
相手を知ることで、教育のアプローチ方法を相手に合わせて変化させることができます。
今回は「何故、今どきの新人はメモを取らないのか」について掘り下げましょう。
あなたの周りにも、こんな新人いませんか?
・オリエンテーションの時にメモを取らない
・何度教えても「聞いていない」と嘘(?)をつく
・メモを取る癖がない新人は、ノートも整理してこない
私の身近にもいる、あるあるな事例です。
しかしこの「メモを取らない新人」問題は、私達の主観的な捉え方であって、本人としては「なんでメモを取っていないんだ!」と言われても、納得していない場合があります。
実際に、人から教えてもらっている時にメモを取る人は多いと思います。
ですから、メモを取らない人を見ると「異質」「不真面目だ」と感じてしまいます。
このnoteを読むと、「なぜ新人はメモを取らないのか」の理由がわかります。あなたが困っている対象の相手がどのパターンなのかは、実際に相手に聞かないとわかりません。対象理解は、まず相手を知るところから始まります。
「メモを取らない新人はやる気がない」と決めつけずに、一度このnoteを読んで見てください。
1.話のスピードについていけないからメモが取れない
説明する人というのは、ついつい熱くなって話すスピードが早くなりがちです。新人さんはついていくのが必死。
「こういう理由があって、こうするようになったから、今はこうしているんだよ」と説明されても、結論しかメモしていない、というのはありがちなパターンです。
マニュアルを用いる時でも、マニュアルに書いていない事を説明するときは「どこにそれが書いてあるんだ?」と文章を負うのに必死になってしまいます。
結果的に「昨日教えたのに、全然わかってないし、メモもしていない」となってしまうパターンが結構あります。
解決策:メモを取る時間を必ず取る
メモを取る時間は必ず取ってあげてください。
新人さんがメモをしているのを見たら、書き終えたかどうかはわかるはずです。
書き終えたのを確認してから、次の説明を始めます。
書き終えた後に「今までのところで、わからない所はある?」と要所要所で理解度を確認するのも大事です。
2.メモを取ると思考が停止してしまう「聴覚型」思考の人がいる
人の学習方法や性格は、様々な研究などでパターン化されてきました。
その中の一つが「視覚型」「聴覚型」「身体感覚型」に分類する考え方です。
詳細は別記事でご紹介しますが、メモを取らない人の中でこの「聴覚型」に分類される人が結構います。
聴覚型は以下のような特徴があります。
・物語のように最初から最後まで流れるような説明を好む
・話が脱線すると、理解するのが難しい
・人の話を集中して聴いているので、途中でメモを取ると思考が停止してしまう
・頭の中で、または声に出して反芻すると覚えられる
・ノートを綺麗に整理し、書き起こしても覚えられないから基本的にはやらない
・話のスピードはゆっくりなことが多い
メモを取らない、ノートをまとめない聴覚型の新人さんが、他のタイプの人が指導者になった時、以下のような叱責を受けてしまいます。
「なんでメモ取らないの?やる気ないんじゃない?」
「メモを取らないと覚えられないでしょ!」
「ノートぐちゃぐちゃで全然読めないんだけど!?こんなんで覚えられるの!?」
でも聴覚型の新人さんは、納得いきませんよね。
だってメモを取ったところで、自分は何も有益じゃないんですから。
解決策:思考方法はそれぞれ違うと理解する
メモを取ると思考が中断してしまう聴覚型の人に、「メモを取れ」というのは意味がない、ということが皆さんお判りいただけたと思います。
しかし、「どうしてメモを取らなくても覚えられるのか?」について、あなたは理解はできないかもしれません。
でも、それでいいんです。他人のすべてを、感覚を、知る必要はありません。
大事なのは、「自分とは違う思考の持ち主がいるから、相手を知りもしないのに、頭ごなしに否定してはいけない」ということを、知っておくことです。
それにより「もしかして相手は自分と思考のタイプが違うのかもしれない」と気が付くことができます。
それがわかれば、対象理解の第一歩を踏むことができますよね。
「もしかして、メモ取るの苦手かな?」
「どういうふうに、オリエンテーションするとわかりやすいかな?」
最初にこれを確認するだけで、自分も教えやすいし、相手も聞きやすいです。
一石二鳥ですね。
3.聞いている内容に価値を見いだせていない
上記2つに該当しない場合、「やる気がない」を含め、内容に価値を見いだせていないからメモを取らない可能性が高いと思います。
人は「何のためにそれをするのか?」つまりは「やる目的」がないと、内容を受け入れられない傾向にあります。それだけ、目的というのは重要です。
頭ごなしに「これはこうするのが決まりだから」では、覚えられないし、納得できません。
解決策:説明の目的を明確にし、内容に価値がある、ということを伝える
・どういった経緯でこれをすることになったのか
・どういうエビデンスがあってこれをするのか
・これをすることによって、自分にどんなメリットがあるのか
・これをしないことによって、自分にどんなデメリットがあるのか
上記のような内容をつけ添えることによって、相手に「今の説明は重要である」ということをわからせる必要があります。
特に立ち話の場合、相手は「この話は重要じゃない」と感じ、聞き流されてしまうことがあります。
「この話はこういう価値があって重要である」という一言をつけ添えると、「メモしておかなきゃ!」となります。
そんなこと、わざわざ言わなくても察して欲しいと思うでしょうが、こういう些細な積み重ねが教育現場では必要です。
まとめ
今回は「メモを取らない新人」が何故メモを取らないのか、考えられる3つのパターンと、その解決策をまとめました。
1.話のスピードについていけないからメモが取れない
解決策:説明が長くなる時は、メモを取る時間を必ず取ろう
2.メモを取ると思考が停止してしまう「聴覚型」思考の人がいる
解決策:思考方法はそれぞれ違うということを知っておく
3.聞いている内容に価値を見いだせていない
解決策:説明の目的を明確にし、内容に価値がある、ということを伝える
「メモを取らない」という事象一つとっても、様々なパターンがあることがわかりました。
教育に大事なのは、事象一つを切り取って「こうだからあいつはダメだ」と決めつけるのではなく、「何故そういう行動を取ったのだろう?」と発想する力です。
新人指導者と新人の間にある信頼関係は、1日で出来るものではありません。
今回ご紹介したような、ちょっとしたコツの積み重ねで、少しづつ教育の経験を積んでいきましょう。
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