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10ヵ月、SNSで医療従事者の悩みを聞いて感じたこと

私はTwitterと、個人で運営しているsiteの両方を用いて、様々な医療従事者の悩みを聞いてきました。私は肩書上、医療現場における「教育を考える人」として活動してきたので、相談内容は主に「教育上の悩み」が主です。

相談箱やDMなどを通し、色んな立場の方から相談を受けました。

・新人が毎年辞めていく部署の教育担当者
・パワハラが横行している部署のプリセプター
・医療の現場に疑問を持つ看護学生

そして圧倒的に多いのが、「職場の教育環境が劣悪で、辛くて仕方がない新人看護師・既卒看護師」です。

当初は、「ひとつひとつの積み重ねによって、医療全体の教育の質が上がればいいな」と思って活動していましたが、だんだんと「私個人の活動だけで、医療現場全体が変わる事なんてないのではないか?」「この活動に意味などないのではないか?」と思うようになりました。

現在指導をしている人、教育を担っている人に対して正しい教育のアプローチ方法をお伝えするのは、意味があると思います。

しかし、今現在劣悪な教育や職場環境のせいで辛い気持ちになっている看護師へ寄り添うのには限界があります。

なぜなら、根本的解決が出来ないからです。

同じ職場で働く後輩ならば、直接上司に掛け合ったり、事実を確認したりできますが、SNS上だとそれが出来ません。

結局のところ、多くの相談者さんの辛い気持ちを傾聴するだけの存在になってしまった自分の不甲斐なと、不特定多数のネガティブなTweetを見たくなくて、私はSNSを開くのをやめました。

SNS上では、毎日医療従事者によるネガティブなTweetと、それに対する反応で渦巻いています。

私は目的別でSNSアカウントを使い分けていますが、こんなにも不平不満であふれ、毎日誰かと誰かが言い争いをし、混沌としているのはこの医療アカウントだけです。見ているだけで疲れます。

私もかつてはネガティブTweetでバズったりしていましたが、自分の中の小さなネガティブの部分が、あたかも自分の主人格になってしまったかのような錯覚を覚え、怖くなりました。

それと同時に、今SNS上で渦巻いているネガティブTweetをしている人も、私と同じく自分の中の片隅にある小さな愚痴やネガティブの部分を吐露する場所として、SNSを選んでいるのだと感じました。

しかしその小さな吐露は、時として凶器にもなり、自分も他人も傷つけます。

その渦中に、私はいたくないし、いてはいけないと感じました。

それは自分の精神衛生上の保身でもあり、自分の伝えたいこととのギャップでもあります。


今まで様々な方からの個別相談を受けてきましたが、この活動によって看護教育の全体を変えることは難しいと考え、サイトに載せていた相談箱もいったん取り下げさせていただきました。

今後はnote等を活用し、職業人としての在り方や、働く意味、生きる意味、教育がもたらす職場環境への効果などをコラムとして書いていきたいと思います。

さくらこ

Twitter:@sakurako_ope
site:看護師指導の基本となるもの

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