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【読書日記】夏の情婦」佐藤正午

知り合いと佐藤正午の話になった。最近読んでいる小説は何かと私が聞き、佐藤正午を読んでいるという答えが返ってきた。交わした彼に対する感想は「佐藤正午は瑞々しい」で見事一致。
その時まで、私は佐藤正午の年齢を実際より10歳以上若く見積もっていた事に気づかされ、軽くショックを受けた。それから佐藤正午を積極的に読んでいる。
デビュー直後の恋愛短編集。もうすでに小説の巧みさは抜きん出ている。義理の兄の傘の話『傘を探す』など、傘一本探すだけの話なのに、なぜこんなに様々な感情を読み手にもたらすことができるのか。
書き出しからすでに、読み手の心を掴んで離さない作家。三十年後の作者本人によるあとがきも秀逸。

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