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新作能「菖蒲冠(あやめこうふり)」誕生の秘密(2)

斎王を題材にするなら、やっぱり斎院には行かなくっちゃ、ということで、伊勢の「斎宮」に行きました。

夜行バスはもちろんかの有名な伊勢神宮が降車駅です。2021年の4月11日(日)朝7時10分に伊勢市駅到着、まだコロナ感染拡大の影響で、誰もいない伊勢神宮を歩きながら「斎王が男だなんて、神社関係を全て敵に回すようなストーリー。大木が頭に落ちて死ぬかもな〜」と歩いていましたが、大木は落ちて来ず、それをこの台本を書いても良いお許しと勝手に解釈し、書き始めました。

伊勢神宮下宮

この日は雨で、どこに足を伸ばしても誰もいませんでした。

斎宮を迷っていると畑を耕しているおじいさんが声をかけてくれて、「竹神社を通って、線路を渡って、向こう側が斎宮跡だ」と教えてくれました。

竹神社は、平安後期の斎宮跡だったようです。竹神社をうろうろしていると、もう一人のおじいさんが「何してんの?」(って、竹神社に来たに決まってるやろ)と声をかけてきました。おじいさんは、竹神社の総代で、「花手水(はなちょうず)を作ったから見て」と案内してくれました。

竹神社の花手水

おじいさんは、車で斎宮歴史博物館まで車で送ってくれました。博物館も何時間、見て回っても誰一人、来館者は来ませんでした。斎宮歴史博物館よりも西には祓川があり、ここで身を清め、斎宮の地に入ると言われています。祓川を越えてすぐの森「祓戸跡」は5月と11月に行われた「祓」のために特設されて祓殿あったところです。

鳥の鳴き声を効きながら歩いていると竹藪から3人目のおじいさんが現れて「見知らぬ人に声をかけたれて、怪しいと思われるかもしれないけど…」「ウラシマソウの花が咲いている。絶滅危惧種で珍しいのにこんなにたくさん。浦島太郎が釣り竿を持っているような格好をしているだろ?」
と雑草に隠れたウラシマソウの群生を教えてくれました。ウラシマソウは、テナンショウ属という分類に入り、性転換をして成長をします。

斎宮に住む人々が、花を愛でるのは、斎宮の時代、都から一人斎宮で暮らす斎王を慰めるために、人々が様々な花を咲かせた心が残っているように思いました。 

斎宮跡から少し北の方には、菖蒲園「ハナショウブ群落」があります。6月上旬にはハナショウブの花が咲き揃うようですが、4月に行ったので見れませんでした。

祓戸跡に咲くウラシマソウ

今年の6月4日(土)「菖蒲冠」の舞台の日に生田緑地の菖蒲園で、満開のハナショウブを見ることができるでしょう。


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