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新井俊邦 著『神主はつらいよ――とある小さな神社のあまから業務日誌』お守りを買い替えようと思った一冊

図書館にて偶然発見した、新井俊邦 著『神主はつらいよ――とある小さな神社のあまから業務日誌』。
そういえば神社のことって何も知らないなと思い借りてみると、これがとても面白い内容で、一週間ほどで一気に読み終わってしまいました。

内容は、50代で脱サラして実家の神社を継いだ著者の赤裸々な体験記。
『お堅い職種・性格だと思われやすい神主の実際のところを書きたい(要約)』とのことで、神社や神主のことについてユーモアたっぷりに書かれています。

そもそも神主って何なのか、神職や宮司とかとの違いとは?というところから始まり、神主の年収、著者が神社を継いだ経緯、コロナ禍と神社など、面白く読むことができました。

思わず納得したのは、『神社への奉仕をする人は、他のボランティアにも参加する場合が多い』といった内容の文章。
氏子さんたちの代表である総代さんという方は無償で神社の維持管理にかかわるそうで、この本でそれを知った私は『お手当とか出ないの!?』と思ってしまいましたが、それ以上に精神面でのリターンは多いのかもしれません。
そもそも神社へのかかわりにリターンを求めるのはよろしくないのかも知れませんが。

また、自分で気を付けようかなと思ったのはお守りの扱い。
本書には10年以上も同じ交通お守りを車につけ続け著者を驚愕させた人物が出てきますが、私も財布の中に3年ほど同じ健康お守りを入れていました。
お守りは基本的に一年ごとに用意し直し、古いものは神社に収めるとのこと。
読了した次の日がちょうど休みだったので、近くの神社に向かってお守りを新調しました。

正直に言うと、自分は信心深い方ではありませんし、初詣さえ行ったり行かなかったりでそれ以外神社とのかかわりはありませんでした。
それでも本書を読んで思ったのは、『神社に通う人って心に余裕がある人なのでは?』という点。
別に参拝しなくても目に見えて害があるわけではないけれどあえて神社に赴くというのは、逆説的に精神的な余裕がある証拠なのではと思ったのです。

数年前に買った御朱印帳もあることですし、神社巡りを趣味にしてみても良いかもと感じました。

神主の袴の色だったり、安全祈願祭の供物のことだったり、豆知識的なことも知ることができるので、神社に興味がある方にはぜひおすすめしたい作品です。

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