コーヒーショップ・ラヴァーズに捧ぐ、ディカフェという選択肢。
コーヒーショップが好きだ。コーヒーの芳しい香りを感じ、ゆっくり味わう。ぼんやりとそこに集う人たちを眺める。バリスタが真剣な眼差しでコーヒーを淹れている姿も見ていて飽きない。集中して何かを考えたい時にもよく利用する。特に朝のコーヒータイムは1日のエンジンをかけるのに欠かせないひとときだ。
私がディカフェを意識したのはごく最近のことだ。
ディカフェとは、カフェイン成分を取り除いたコーヒーのこと。巷でもよく見かけるようになったが、実は日本ではカフェイン量や製法に明確な基準はないらしい。
ここ数年、私は慢性的な眠りの浅さと偏頭痛に悩まされていた。頭痛薬を飲んでも一時的な効き目しかなく、長時間のPCワークのせいと勝手に結論づけていた。まあ、職業病でしょと半ば諦めもしていた。
ある日、内科の問診で、医師の言葉にハッとした。
「コーヒーじゃない? カフェインの許容量は人によって違うから。試しに止めてみてはどう?私も1杯で眠れなくなってしまう体質なのよ」
カフェインのせいだとは夢にも思わなかった。マインドセットのためのコーヒーショップでのひとときに、そんな弊害があったとは。それに飲んでも1日数杯で、そのことがここ数年の体調不良の原因とは考えづらかったのだ。
しかし何か引っかかるものがあったのだろう。翌朝から、私はカフェインレス生活を始めてみた。紅茶や緑茶は簡単に我慢できる。でもコーヒーを止めるはなかなか辛い。そこで思い出したのがディカフェの存在だったわけだ。
ディカフェに力を入れているコーヒーショップやカフェは案外少ない。それはそうだろう。そもそもコーヒーを積極的に楽しむ場所なんだから。サードウェーブコーヒーの潮流においても、ディカフェは異端の存在だ。
そんな中、スターバックスコーヒーは開発を精力的に行っている。独自製法により、99%以上カフェインフリーのディカフェを提供しているのだ。
ディカフェは「味や香りがイマイチ」と言われがちだが、スタバのはそれなりに美味しいと思う。調べると、二酸化炭素と水のみを使った製法で、豆本来の風味と軽やかな美味しさをキープしたとのこと。更に嬉しいのはそのメニューの豊富さだ。ドリップをはじめ全てのエスプレッソビバレッジが、プラス50円でディカフェに変更できる。
スタバがディカフェの開発に力を入れた理由は、顧客拡張もあるだろうが、やはりカフェインの功罪にあると思う。コーヒー1杯のカフェイン量は緑茶3杯分で、飲料の中でも群を抜く。そのため、集中力アップなどのメリットの一方、飲み過ぎによる自律神経の乱れが懸念されている。1日3〜4杯は問題ないとされるものの、実際にはかなり個人差があるらしい。継続的に飲み続けると、じわじわと体調に影響が及ぶことがあるのかもしれない。
そんなわけで、ここしばらくスタバがホームになっている。ディカフェがあったおかげで、私は変わることなく朝のコーヒー時間を楽しむことができた。カフェインレス生活の結果、私はどうなったか? 実は、嘘のように不眠と偏頭痛から解放された。カフェインの身体への影響は想像を超えるものだったようだ。
コーヒーは美味しい。間違いなく美味しい。私も時にはサードウェーブ的なコーヒーショップで力強いボディのコーヒーを飲む。カフェインレス生活をしていくうちに、たまに飲むぶんには問題ないこともわかってきた。
ディカフェを過剰に持ち上げるつもりはない。ただ、「質のよい眠り」や「深いくつろぎ」のために、オーダーの選択肢に加えてみることはおすすめしたい。
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