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生成AI開発向けGPUクラウドサービスへの130億円規模の投資について、​拡大投資計画の必要性と将来展望​

さくらインターネット株式会社は、2023年6月に経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する経済産業省の認定を受けました。また、AI時代を支えるGPUクラウドサービスの提供に向けて、3年間で130億円規模の投資をし、「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載した、合計2EFの大規模クラウドインフラを整備することを決定いたしました。​
弊社代表の田中から、上記の130億円規模の投資について具体的な計画や、想定されるサービス利用者についてお伝えいたします。​

投資についての具体的な計画

2023年6月に発表した計画では、130億円規模の投資を3年かけて計画している旨を発表し、2024年3月期おいては32億円の投資を行うことを公表しておりました。詳しくは後述いたしますが、すでに現状況で非常に多くのお問い合わせをいただいており、想定以上の需要も見込めると考え、2023年8月21日には来期にあたる2025年3月期に78.5億円の追加投資を行う旨を決議し発表をしました。現在の見立てでは、2025年3月期上期中には 2,000基の整備を完了できるのではと考えています。

GPUクラウドサービスへの追加投資に関するお知らせhttps://www.sakura.ad.jp/corporate/wp-content/uploads/2023/08/230821-ir_1.pdf

生成AI開発に適したGPUを2,000基投資し、GPUクラウドサービスの提供を予定しております。しかし、国内だけでも現在予定している2,000基を上回るであろう引き合いがあり、この需要にお応えするためにはさらに積極的な投資が必要だと考えています。そして、日本は特に少子高齢化が進んでおり、人の手が足りなくなった分野はロボットやAIに任せざるを得ないことになるでしょう。これによりAIの需要は益々増えることが想定されます。今後は人を増やす努力だけでなく、AIを育てることに尽力する必要があります。 今後は当社だけでもGPUを20,000基から30,000基の規模で増強していくことが重要だろうと私は考えています。

サービスの利用者について  ​

GPUクラウドサービスのローンチ後は投資回収をしていくフェーズに入ります。本サービスを利用されるお客様はAIスタートアップから学術研究や大手企業まで幅広い方をターゲットとしており、サービスの利用期間としては短期利用と長期利用の双方の希望が出てくることを想定しています。そのため、利用者の約半分は長期での安定的な利用を想定する一方で、もう半分は短期での利用者を想定しており、日割り料金、時間割り料金など短期での利用も可能とする予定です。短期の利用は、その分単価が高くなる料金設定とし、様々なニーズを吸収しつつも安定的に収益が挙げられるようサービスの提供を行いたい と考えております。
そして、得られた利益によってまた次の投資をしていきたいと思います。最終的には500億円、1,000億円という大規模な投資ができる経営基盤を作っていくべきだと考えています。

本サービスについて、既に50社以上からお問い合わせをいただいております。どの企業さまも生成AIを利用して新たなビジネスを創出するということを前向きに考えていらっしゃるとのことですが、やりたいことを形にするために肝心である計算資源が手に入らないという声が当社の元に届いております。GPU不足で「欲しい時に買えない」という状況を、我々はブレイクスルーしたいと考えています。

また、2.0EFの計算資源のすべてを1社で利用することも可能ではありますが、これは日本におけるAIの発展を加速させたいという当社の考えからは逸脱してしまいます。また今回の投資は冒頭の通り経産省の認定を受けており、130億円規模の投資のうち1/2の助成を受ける予定です。そのため、より多くの方にサービスをご利用いただける形で提供をさせていただく予定です。

NVIDIA社との調整

NVIDIAさまとは一緒に国の研究機関向けに大型GPUの整備をするなど、長くお付き合いがあります。当社は「高火力コンピューティング」というGPUクラウドサービスを展開しており、その際にも大量のGPU投資をNVIDIAさまと協力しながらやってきました。 ​

今回の投資も2,000基とグローバルで見ても比較的大規模な投資ですから、NVIDIAさまからも注目をいただいていると思います。NVIDIAさまとも、引き続き連携をしていきます。 ​

さいごに

現在当社では、AI時代を支えるGPUクラウドサービスの提供に向けて邁進しております。GPUクラウドサービスに関しては以下のリンク先をご覧ください。

当社は今後も、「『やりたいこと』を『できる』に変える」という企業理念のもと、DXプラットフォーマーとしてデジタル社会の継続的な発展へ寄与してまいります。

田中 邦裕(たなか くにひろ)
さくらインターネット株式会社 代表取締役社長

大阪府出身、沖縄在住。舞鶴高専在学中の18歳の時にさくらインターネットを起業。自らの起業経験やエンジニアというバックグラウンドを生かし、若手起業家やITエンジニアの育成に取り組んでおり、現在は、複数の企業の社外取締役やIPA未踏PMも務める。さらに、業界発展のため、SAJ会長・JAIPA常任理事・JDCC理事長・BCCC副代表理事など多数参画。最近は、多拠点生活を実践するなど、自ら積極的に新しい働き方を模索している。

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