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オランダの禅寺にお邪魔してみたお話。

オランダ人も驚くほど、雪に雹に見舞われた寒い寒い4月と5月だったのに、春を飛ばして急に夏?と思うほどに気温が上がり、身体もびっくりしています。オランダからこんにちは。
今日はオランダの禅寺にお邪魔した話を。
Eurocultureのコースワークの一環で、コンソーシアムの全学生が現在「ヨーロッパにおける宗教」をテーマにレポートを執筆しています。これは6月後半にあるコンソーシアム内の学会で発表予定。
例年ならコンソーシアムの大学の1つに学生が集まって対面で行われるのですが、もちろんこんな状況なのでオンライン上で開催になります。今年はスウェーデンのウプサラ大学がホスト。行けないのは本当に残念です。

さて、オランダに来たものの、結局は最後までオンライン授業が続くことに。
せっかくなので、フローニンゲンからほど近い、Uithizenというところに曹洞宗の「国際寺院」として認定されている禅寺があることを知り、そこに関してケーススタディーさせてもらおうと思い切って連絡、訪問させてもらうことになったのです。

禅川寺(Zen River)は、アメリカのWhite Plum Asangaで修行をされた2人の老師を中心に2002年に建立された禅寺で、曹洞宗が重きを置く坐禅に加えて、臨済宗の公案なども修行に組み込まれています。
1930年代に建てられた、オランダらしい赤レンガの建物を皆さんで修理して、修行の場として整え、ヨーロッパ中から短期・長期など様々な期間で修行僧から一般の人まで受け入れているとのこと。
残念ながら今はコロナの関係で、受け入れ人数を制限せざるを得ないとのことですが、それでもオンラインで動画を配信したり、距離を保ったり、皆さんで工夫しながら過ごしていらっしゃるようでした。

ヨーロッパでは、いわゆるインテリ層による仏教の経典のテキスト研究から始まり、今では庭にブッダの頭部が置かれたり、おしゃれ雑貨屋さんで仏像が売ってたりと「癒やし」のアイコンとして、一般層にも比較的ポジティブな受容をされている仏教。
世俗化(Secularized)したと言われるヨーロッパでは「宗教」の話題となると、キリスト教に対してのイスラム教(歴史的には対ユダヤ教も)が主で、アカデミック分野でもいかに「イスラム教」が西洋のリベラリズムと共存できるか(できないか)ということが繰り返しテーマになっています。
移民・難民問題によってさらにクローズアップされる、自分とは「異なる」イスラム教をどう受け入れるか、というのは、ヨーロッパのアイデンティティの問題とも関わるのですが、同じ「異なる」でも、仏教は比較的ポジティブな印象を持たれているように推察されます(宗教としてというより、「文化」として受け入れられているのだと)。
日系人の入植と共に広まっていった他の国や地域と異なり、ヨーロッパにおける仏教(禅)の広がりは、基本的にはヨーロッパ人が担い、実際に修行に励むのもヨーロッパ人が圧倒的多数というのがユニークな点だなと思います。

私も実際にRitualと坐禅に参加させてもらいましたが、アジア系はもちろん私1人。
その土地のものではない仏教(禅)がヨーロッパでどう普及していくのか。お話を聞かせて頂いた老師は「日本の禅や伝統をただコピーするのではなく、ヨーロッパならヨーロッパに合ったオリジナルなものを作っていかなければならない。」と。
完全に日本の禅寺というわけではなく、ヨーロッパらしさももちろん感じるのですが、どこか落ち着くというか、不思議な感覚を覚えました。
たくさんのトライアンドエラーを重ねて、Zen Riverというオリジナルなものをまさに作ってきたんだろうな、と思いました。    
日曜日の夜はオープンイブニングということで、一般にも開かれているので継続してお邪魔させてもらおうと思っています。

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