誰の卒業であったとしてもー「blt graph」田村保乃と小池美波の言葉の側面
欅坂時代からそうだけど、私は櫻坂46・日向坂46メンバーのインタビューを拝読するのが好きだ。というより、その時点における彼女たちの現在地がわかる。その現在地から、彼女たちの本音の部分にアプローチできる。
もちろん、インタビューの答えが全て本音だとも思っていない。ではあるにしても、その言葉の端々から、実は表には出していない心の中の機微にも、もしかしたら触れられるかもしれない。
卒業。
今までずっと時を共にしてきた先輩や同期が、自分の近くから離れていく。たとえどんな美辞麗句を並べようと、その事実に変わりはないわけで、寂しさがないわけがない。一方で冷静な自分もいたりして、その自分が、その人が下した決断を尊重してあげたい、だから喜ぶべきことなんだと囁く。その葛藤に揺れ動く。
そして、自分自身の出処進退についても…考えてしまうのが人情だ。
欅坂46は、ずっと卒業生を出さずに走り続けていた。しかし、一人卒業すると、その後は事情は様々あれど、次々に卒業の報を聞いた。ここまで極端に変化した例も珍しいのではないか。
でも、たとえ卒業という事象が何度繰り返し襲ってきたとしても、その人の卒業は一回だけなのである。慣れるはずがない。
櫻坂46に改名してからも、守屋茜、渡辺梨加、渡邉理佐、原田葵、尾関梨香の卒業、そして菅井友香の卒業を控える。
見送る側である、後輩、そして同期。
彼女たちの心にあるものは何か。
(太字は筆者後付け)
欅坂46というグループをなぜ推そうと思ったか。
それも、アイドルグループを推すなどという経験のない自分が…
そのきっかけは、彼女たちが本当に真摯に「楽曲を届けたい」と願い、そのために努力している姿に惚れたからだ。
これに尽きる。
もちろん可愛いとか、尊敬できる点があるとか、そういうのもある。
でも、推す理由を一つ挙げろと言われた、それに尽きるんだ。
2019年、秋。
その欅坂46が東京ドームに立った。
あの場所に行った人間として、やはり他のライブ会場とは違う、とてつもなさを感じた。
広さはもちろんのこと、心理的に何かどこかで一つの区切りを思い起こさせてしまうものを持つ、そんな会場。
記憶に間違いがなければ、結果として平手友梨奈のいる欅坂46の、最後のLIVEとなった場所だった。
そんな東京ドームに立つ、当時の欅坂46二期生。
加入したものの、まだ彼女たちに自分たちの曲だと言えるものはない状態で臨む。これは想像だけど、自分たちが欅坂としてドームのステージに立っていいのかと思い悩んだ二期生もいたはずだ。彼女たちの中には、私たちと同じで欅坂の握手会やLIVEに足繁く通ったメンバーもいる。ファンからスタートしているのだ。そんな彼女たちなら尚更のこと。自分が大好きだったグループに入った、でも自分がそこに一緒に立っていていいのかと。
おそらく田村保乃の心にあったのもそれではないだろうか。少なくとも、自分たちの力でドームに立ったわけではない、一期生に連れてきてもらった、その思いは間違いないはず。もしかすると、櫻坂に改名して、一つの大きな目標として、自分たちの力で東京ドームに立つ、というのがあったのかもしれない。
だから複雑なのだろう。
菅井友香と、卒業。そのインパクトとネームバリューがあってこそのドーム公演。だからこそ、自分たちの力だけでは、まだ早いと感じていたのかもしれない。
一方でここで、現実問題として考えておかなくてはならないのは、ドームは簡単に押さえることができない、ということ。
年単位で早くから押さえる必要があって、今回この時期に櫻坂としてドーム公演開催、となるのはおそらく、早ければ櫻坂46に改名した頃、遅くともその一年後くらいには既にドームを押さえていた可能性が高いのだ。運営としても、これは賭けだったかもしれない。例えば2年後に東京ドームを押さえるとしても、その頃に何がどうなっているかわかるはずもない。まして、コロナ禍は始まっていたので、尚更だ。
確かに菅井友香の卒業という話題性はあるものの、それだけでドーム公演は成功しない。彼女を取り巻く、全てのメンバーの成長なくては、絶対に成功できないものだからである。
とはいえ、それが結果としてほのの気持ちが追いつくところまで行く前に、そのドームの日を迎えてしまうことになりそう、ということなのだろう。
インタビュアーさんは、私の聞いてほしいところをしっかり聞いてくれてて、「むしろ正念場は、東京ドーム公演後なのかもしれない」というのはまさにそのとおりである。菅井友香が卒業、そして間もなく三期生が加入。二期生にかかる期待が今より増すのは間違いない。櫻坂46の方向性までも左右することになると思っている。それくらい重要な節目だ。
日向坂46は、ひらがなけやき時代から、約束の卵という形で、東京ドーム公演を目標にしていた。その目標が目に見えるようになっていた。だからメンバーと運営とファンが一つになれた。
翻って櫻坂のドームというのは、日向坂ほど明確なものが見えにくかった。でも、あの場所はなぜか節目を感じさせる会場であって、おそらく設営する側もそういった節目を感じているのではないかと思うことがある。
だから、というと語弊があるかもしれないけれど、メンバーにドーム公演が特別感をもって迎えられるのかもしれない。
コロナでグループに相当な危機が訪れたとき、孤軍奮闘に近い状態で八面六臂の活躍を見せた田村保乃である。グループの成長にもまた、彼女の動きがとても大きく関わってくるはずだ。
菅井友香と同期である、一期生・小池美波。
あれだけ同期の卒業が続くと、メンタルを保つのもとても大変だっただろうと同情もする。
そして、当然と言っていいのか、卒業生が輩出されるたびに、自分はどうするのかということを直接聞かれることもあっただろうし、それがなかったとしても、卒業と正面から向き合うというのも必要な時間である。
小池美波がここ最近、櫻坂で感じていたこととは何なのか。
(太字は筆者後付け)
…みいちゃん、
あなただけではない。ゆっかーを推す者たちは、同じ直感が走った人は多いんだ。
実は以前から、ゆっかーが「櫻坂でドームに立ちたい」という発言をしていて。
新二期生として加入した坂道研修生組のメンバーに「ドームに連れていくから!みんなで行こうね!」って言ってたという話も聞いたんだ。
そのことと先に述べた「ドーム公演の節目感」と併せて考えると、それが実現した先には彼女の卒業しか考えられなくて。
考えられないんだけど、考えたくなくて。
ファイナルがドームと知ったときは、こちらは敢えてその話題から目を逸らしたほどなんだ。
欅坂46と櫻坂46の最大の違いは何か。
もちろん共通する点は多々あるけれど、相違点を問われれば、やはり二期生が前面に立つという点だと言える。
欅坂のドームは、確かに一期生が二期生を連れて行った。
でも、櫻坂のドームは、みいちゃんが言うように、一期生だけでは成し得なかったと私でも思う。一期生の人数がどんどん減る中で、彼女たちだけで何かを成し遂げようにも個々の力は確かに強いものの、かつてと比べるとそこへ向かわせるピースがやはり足りない。
ほのの言葉にあるように、確かに早いと思える、それも大切だ。でも、その一方で、櫻坂ドームの功労者は、二期生だと自信を持って言える。
つまり、櫻坂のドームは、二期生が一期生を連れてきたとも言えるのだ。
それは結果として、二期生なりの恩返し、とも取れる。
早いかもしれないが、今しかない。
一期生が、あとどれくらい、グループにいるか、誰にも分からない。
もしかしたら、本人にさえ分からないかもしれない。
たとえいつであっても、東京ドームという箱に見合う人になった、と自負できる日は来ないかもしれない。どこまでも謙虚な彼女たちなら十分あり得る。
だから、やはり今しかないのだ。
欅坂46、そして櫻坂46のために粉骨砕身でまさに「戦って」きた菅井友香が、グループに在籍する期間が残り少ない、今しか。
小池美波は、まだ卒業したいと思えないと言った。
別のインタビューで、小林由依も似たようなことを言っていた。
自分の将来は、自分で決める。
卒業という形で自分の将来を違うフィールドに求めるもよし、残留してグループと共に運命を委ねるもよし。
私たちは、彼女たちの「決断」に、ついていくだけである。
それ以外の選択肢は、ない。
noteの中でも、櫻坂46・日向坂46に特化した内容ですので、特に二つのグループの推し活を経て、皆様に文章で還元できるよう努めてまいります! よろしければサポートをお願い致します。