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#37 Living is easy with eyes closed?

私の住む東京都で緊急事態宣言が出るぞぉ、って言われたのが昨日。想像してたけど、今日の仕事は本当にてんやわんやだった。

自らの会社の弱みをさらけ出すのは少し悲しいし、やっぱり悔しい。けれど、勇気を持って表現すれば、私の勤めている会社は変化を受け入れるまで時間がかかる。一つずつ丁寧に、間違いなく、期限を守って遂行する能力が求められる機会が多いので、自然とそういう体質になっていったのだろう。会社の規模がそれなりに大きいことや、いろんな世代の人がいること、結果よりプロセスが適切だったかどうかの方が重視されがちなことも、意思決定に時間がかかる要因のひとつだと思う。もちろんこれらの体質は表裏一体で、その情報の正確さ故に頼られることも多々あるし、法令順守意識は抜群に高い。

在宅勤務も、制度としてはずっと前から存在していたけれど、実際に使う人は少なかったり、社内システムが内部のネットワークからの接続を前提としていたり…。現状だと、出勤してるときと同じ内容の仕事ができるかと言われるとかなり大きな疑問符がつく。
「家に居てください!」と言われても、すぐに移行できるような体制は整っていなかった。そんな会社が突然変化を迫られているのだから、もうてんやわんやである。この騒乱を、ついこの間2年目になった私は諦観してしまっていた。私個人としては本当に色々思うところはあったのだけれど、会社の人であることを忘れず(というか騒乱を起こす側にならないよう気を付けて)、上司の指示を的確に素早くこなしていった。心の中で黒い渦が巻き起こっている状態だったから、騒乱を見ているだけでも疲れてしまった。

私の大好きなThe Beatlesの名曲、“Strawberry Fields Forever” の歌詞に、

~♪
Living is easy with eyes closed
Misunderstanding all you see

目を閉じれば生きるのは簡単
見えるものはすべて誤解を生む
~♪

という一節がある。
この部分を題したスペイン映画 “Vivir es fácil con los ojos cerrados”(日本語訳:「僕の戦争」を探して)のことを、スペイン留学時代のクラスで発表することがあった。

スペイン独裁制下、つい50年程前の話と思えないほど自由が制限されていた時代に、ビートルズが大好きな教師と、厳しい家庭や修道院から自由を求めて逃げ出した若い男女2人の出会い、陽ざしのまぶしいスペインの大自然をバックにドライブする旅物語。ビートルズの穏やかな曲がBGMとして流れる一方で、繰り広げられる会話や状況はそれなりに壮絶でシニカル。そのコントラストが好きな作品だった。

この映画について発表した後、ディスカッションタイムで先生に投げかけられた。

「目を閉じて生きていく方が簡単ですか?」

その時の私は、「そりゃ何も見えない方が楽だけど、世界には、貧困や戦争、差別や暴力、目を向けなきゃいけないことが沢山あるから、それらの問題に向き合って解決するためにも目は開けておかなきゃいけない!」なんてカッコよく(?)答えた覚えがある。

半年前の電車とは比べ物にならないくらい空いた電車にすわって、Bluetoothイヤホンから流れてきたこの歌詞。ビートルズにそうささやかれたとき、世界中が恐怖と混乱に包まれて、先行きも見えないこんな世の中を生きるなら、正直、目は閉じておきたいなぁ、って思ってしまったのです。

でも、目を全部閉じちゃったら、その暗闇にまた飲まれちゃって起き上がれなくなりそうだから、できるだけ自分を甘やかして、いっぱい寝て、できる限り家に居て、うす~く目を開けて生きていこうかしら。
Social Distancingが流行りワードだけど、周りにいる人との心の距離が離れてしまわないよう、ちゃんと連絡を取って、新しいコミュニケーションの仕方を模索しよう。
いつか、終わる。会いたい人に会える日も、いつか来る。先行きは不透明だけど、不透明なりに「先」はやってくる。ちょっとだけ我慢してお金と時間を貯めるときなんだと思おう。

できるかぎり気を付けて、健康に。
皆さんがこれからも元気でありますように。
良かったら私の大好き分けちゃいます。ビートルズ聴いてみてね。映画も日本語字幕バージョンがあるみたいなので、気が向いたら観てみてね。


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