つづきさくら

小説×シナリオ×ライター。 小学生で物語を書き始めるも、活かし方がわからず、一般企業へ…

つづきさくら

小説×シナリオ×ライター。 小学生で物語を書き始めるも、活かし方がわからず、一般企業へ就職。 30歳の節目に「やっぱり書く仕事がしたい!」と8年勤めた会社を辞め、フリーランスライターへ転身。 読売新聞社にて受賞歴あり。YouTube登録者数78万人チャンネルにてシナリオ執筆。

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  • 140字小説

    X(旧Twitter)に毎日投稿している140字小説をまとめたものです。

最近の記事

#140字小説 2月1日~10日

2月1日 今日はテレビ放送記念日。 僕は新人アナウンサー。もうすぐ初めての中継が始まる。 が、僕はまだトイレの中だ。緊張してトイレから出られない。 やばい。急げ急げ。 「…お待たせしました!」 「何やってたんだ!中継繋ぐぞ!5、4…」 カメラの前で僕は固まった。台本をトイレに忘れた! 「3、2…」僕は大きく息を吸って話し出した。 メモだらけの台本は常に僕の頭の中にある。 2月2日 今日は頭痛の日。 頭がズキズキと痛む。 仕事の合間、休憩室に頭痛薬を取りに行った。 そこにはい

    • #140字小説 1月21日~31日

      1月21日 今日は料理番組の日。 ゲストの大御所芸能人に「感動するハンバーグ」を提供するのがシェフである僕の仕事だ。 しかし、手違いで肉が届かない。 今から準備しても収録時間に間に合わない。仕方がない。 僕は腹を括って豆腐で代用した。 豆腐ハンバーグを食べた大御所芸能人は涙した。 「うまい。これは母の味だ。昔を思い出した。感動した」 …満足頂けたようで良かった。 1月22日 今日はカレーライスの日。 給食のカレーは嫌いだ。 父のカレーみたいにスパイスが効いてない。 普段料理

      • ラジオドラマ脚本『妙薬は口に苦し』

        浩司 あーあ、もうこんな時間かよ。毎日毎日、残業がつらい。早く帰ろう。 (風邪の咳)げほげほ… SE 寒くて乾燥した風がふく 浩司 (くしゃみ)はっくしょん!今夜は一段と寒いなぁ!あー、喉も痛いし、頭も重い…これって風邪だよな。どうしよう、明日は大事な会議が二つもあるのに…失敗したらまた黒木課長に怒られる…(困ったため息)はぁ 薬屋 (急に話しかける)お困りですか? 浩司 うわぁ!びっくりした…な、なんですか? 薬屋 お兄さん、具合が悪そうですねぇ。私、あそこで薬屋

        • #140字小説  1月11日~20日

          1月11日 『鏡開き』 今日は鏡開きの日。そして大好きだったおじいちゃんに会える命日。昔はおじいちゃんが鏡餅をつくってくれた。でも今では鏡餅を飾ってすらない。寂しい。おじいちゃんがつくってくれたお餅を食べるのが大好きだったのに。また食べたいよ。会いたいよおじいちゃん。ごめん、幼い僕が餅を喉につまらせて死ななければ、今日も一緒に鏡開きができたのに。 1月12日 『スキー』 今日はスキーの日。初めて2人で行ったスキー場の広さを思い出す。少し年上の君は、スキーも上手で、ヘタクソな

        #140字小説 2月1日~10日

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        • 140字小説
          3本

        記事

          30歳の決断:私がフリーランスライターになった3つの理由

          「さくらさんはどうしてフリーランスになれたんですか?」 「怖くなかったんですか?」 「踏み出せた理由を教えてください。」 ライターの交流会に参加すると、よく聞かれることナンバーワンの質問だ。 最初に断っておくと、 私は副業時代にめちゃくちゃ稼いでいたわけでも 経験豊富だったわけでもない。 すでに独立していたライターの先輩からは 反対されていたくらいだ。 では、どうして私はフリーランスになること、 つまり独立することに踏み切ったのか。 それは、3つの理由、つまり 「

          30歳の決断:私がフリーランスライターになった3つの理由

          『ギターとピアノ』

          教会に似つかわしくないバンドサウンドが鳴り響く。 赤い絨毯の先には大きなグランドピアノ。 その隣では彼がギターを構えて待っている。 私はウェディングドレスをたくし上げると、メロディーに乗るように駆け出した。 私の母はピアノが上手だった。 でも「1番」にはなれなかったらしい。 だから私に代わりの「1番」を求めた。 私はずっと母の「1番」であり続けた。 母の1番に縛られた私は、「私」ではなくなっていった。 『あんたのピアノ、音がしないな』 ある日、ギターを背負っ

          『ギターとピアノ』