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愛と再生の物語…21

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ケントと父親は翌朝
メイにプレゼントのピスクドールを渡し
ドリーさんが作ってくれた…母親とお揃いのワンピースを着せて
母親の6歳だった時の写真と同じポーズをさせて……記念の写真を撮る
母親の写真を見せて…
メイはどんな反応をするだろう
そんな事を話しながら
夜は深まる……
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「父さん、プレゼントを包まなくちゃ✨」
「ああ😅そうだった…」
「父さん😅」
「今、包み紙を持って来るから……」
「リボンもだよ😒」
「あ、そうだね😅」
「やれやれ」ケントは肩を竦めた
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「これで包めるだろう…」
父親は大きな包み紙を持って来た
🧸の絵が描かれた可愛らしい包み紙だった
「これならいいだろう?」
「うん😊可愛いね✨」
「だろ😁」
父親は包み紙を広げ
ビスクドールを置く
あっちこっちに向けて…
「よぉし」
「ダメだよ、父さん😅」
「なんだ」
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「かして……」そう言ってケントは
父親からビスクドールを取り上げた
父親はちょっとだけ…ムッとした
「ムッとしないでよ😒」
ケントに言われて、父親は顔を赤らめ
照れくさそうに笑った😁
包み紙にうつ伏せにして人形を置く
キャラメルみたいに包んでいく…
「父さん、セロテープ…」
「あ、忘れた💦」慌てて引き出しから出してケントに渡す
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「箱があったらもっとカッコ良かったね」
「ああ……もう何十年も受け継がれて来た人形だから…箱は無いんだよ」
「そうだね…でもさ、なんかこれが入りそうな箱は無かったの?」
「……。思いつかなかった…😔」
ケントは大笑いした…
「父さんらしいや」
「なんだよ…それは😒」
「仕事以外はおおざっぱ🤣
母さんがそう言ってたのを想い出したよ」
「まだ小さかたったお前に…そんな事母さんは言ったのか😥」
「うん😁」
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忘れていた…ほんの小さな会話
日常の中のほんの小さな出来事
それでも
想い出すと…それは母との大切な想い出だった
ケントは胸がキュッとなるのを感じた
「ケント…?」
「母さんとの…想い出を
また一つ想い出せたなぁって…
想っただけだよ…」
父親はまた、そんなケントに腕を回して
肩をギュッと抱いた
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「ボクには母さんの想い出が
たくさんある…母さんの声も…
覚えているよ」
泣かないように…泣かないように…
綺麗に見えるようにリボンを掛け
大きな蝶結びにする
ハサミでカットした…
「これで、完成…👍
メイには、生きていた母さんとの
想い出がない…声も知らない…
やっぱり、そんなメイが…可哀想で…」
堪えきれず…また泣いた😢
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「ケント」父親は妹想いの息子が
本当に嬉しかった
両腕で…もう一度しっかり抱きしめた
「だから、母さんは夢でお前に
たくさん母さんとの想い出を伝えてくれと、言ったんだろう…」
「うん」
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「お前にしか出来ない事なんだよ
メイにとっては、同じ子どもにしかわからない…楽しかった事、面白かった事、叱られた事…全部が、お前にしか
伝えられない事なんだよ…
父さんでは、伝えられない
想い出を…メイに伝えておくれ…
大好きな、お兄ちゃんのお前が話してくれる、母さんはきっとメイにとっては…まるで自分の事のように想えるだろうから…。。。」
「うん…そうだね…泣かないように…
しなくちゃね…」
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時計を見上げた父親は目を丸くした
「ケント、もうこんな時間だ💦
……風呂に一緒に入ろう」
「えっ…一緒にお風呂に入るの😍」
「久しぶりに…嫌か?」
「嫌な訳ないよ…父さん😊」
ふたりはプレゼントを机に載せ
部屋を出た
「少し、お湯を足して来るから
支度をしておいで」
2階に上がり…それぞれの部屋に入る
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ケントはベッドサイドに載せてある
母親のレシピを見た
ベッドに腰掛け
手に取る…もうすっかり乾いていた
それでも、何枚かは…絵も文字も
滲んでしまっていた
……。。。泣かない…。
泣いたらきっと母さんが悲しむから
流れて来る涙を拭って
パジャマを取り出し
両親の寝室へと向かった
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開いていたドアから中へ入ろうとした時
父親がベッドに腰掛け
手にした写真を見ながら…
泣いている姿を目にした…
…父さん…言いかけて…
.
続く…

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