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愛と再生の物語…30


同じ頃…
ドリーも台所で朝食の支度をしていた
目覚めた時の天井一面の虹🌈
幸せな…家族を失った時以来
はじめて感じる幸せな朝…
鶏肉をボイルするドリーの顔には
柔らかな微笑みが浮かんでいた
.
下茹でしておいたカリフラワー、じゃがいも、人参を温め直し
ボイルした鶏肉をさいて
温野菜のサラダを作り
温めたパンといただく…ピッピにも鶏肉を
「さぁ、召し上がれ」の声に
ピッピは…ワン…といただきますをした😄
ふたりでとる朝食…それは、いつもと同じ風景だ
でも、ドリーの心は幸福感が溢れていた
.
夕べ…ここで…ケント家族と過ごした楽しいひととき。。。
「ドリーさん😊美味しいね~🤭」メイちゃんの声が耳に残っている……
もうひとつの幸せ時間だった
.
朝の陽射しに見える筈のない
キラキラ✨✨した光が
ドリーのキッチンを満たしていた
.
食事を終えたドリーは手早く片付けをし
久しぶりにコーヒーを入れた
ネルのドリップにコーヒーを入れ
沸かしたお湯を少しずつ注ぐ
ゆっくりゆっくり💧
豊かなコーヒーの香りが
光✨✨と共に…キッチンを満たした
.
ゆったりとコーヒーを味わい
「これから…仕舞い込んでいた写真を飾りましょう
閉じ込めてしまっていた
大切な家族と再び…ここで時を重ねていけるから…ねぇピッピ😊」
ピッピの頭を撫でて、ドリーは立ち上がった
.
階段を上がり、屋根裏部屋の扉の前に立った
深呼吸してから…ドアを開けた
懐かしい家族の物を…大切な家族の…形見となった物を仕舞ってあった
今まで…どうしても見る事が出来なかった
触れる事さえ出来なかった…家族の想い出の品々
.
大きな箱の前に立ち
蓋を持ち上げ…開けた
幾つもの…写真立て…
震える手でそっと取り出す
一番最初に手にしたのは…家族4人で撮った…春にピクニックに行った時の写真だった
ドリーの胸に…あの日、あの時の幸福感が沸き上がった
そして…失った悲しみが再び襲いかかる…
.
ピッピが横に来て座り
ドリーに大きな体を寄せてきた
「ありがとう…ピッピ🤗」そう言って
しばらく流れ落ちる涙が止まるまで
そのまま座り続けた
.
その時…胸に抱いた写真立てから
「ドリー、また君のそばで過ごせるね…家族一緒に…過ごせるね
さぁ…ここから連れて行っておくれ…」と、夫の声が聞こえた
ドリーは涙を拭い…「はい😊」
そう言って幾つか写真立てを抱え
リビングへ……何度も何度も
運んでは、飾る
.
最後の箱
🌹の花の布で創られた箱は
長女の誕生日にドリーがこしらえた物だった
「わぁ~お母さん😊綺麗…何を入れよう…ありがとう🤗」何度も言ってくれた
あの子の一番のお気に入りの箱だった…
.
ドリーと夫の結婚式の写真と
ふたりの子どもが生まれた時の写真を
入れてあった
箱ごと、寝室へ運び
ベッドサイドに立て掛けた
毎朝共に目覚め
毎晩共に眠る
これからは毎日…やっとね。。。と、
飾られた写真に呟いた
.
殺風景だったリビングが
たくさんの家族の写真で温かくなった
幾つかを壁にも
棚にも、サイドテーブルにも、暖炉の上にも
見回すどこにも…愛する家族がいる
ほぉ~と、幸せの、安堵のため息が溢れた
.
もう、家族の新しい写真がここに飾られる事はない
それでも、ここには家族がいる
いつも同じ時を過ごせる
.
やっとここまで来れた…。。。
事故の後…お義母さんの面倒を見る事がなければ、きっと何も出来ないまま
嘆き苦しんだ日々だけを過ごしていただろう
お義母さんが私を救ってくれた
とにかく生きる事をしなくては…
それだけだったけど
それがあって、生きて来れた
.
その義母の写真もまた、ここに。。。
.
ここに越して来て
しばらくして街の食料品店でケントの母親と言葉を交わしたのが、出逢いだった

気品があり、温かく包み込むような笑顔の人。
.
ピッピが…電話を見た
.
続く…

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