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愛と再生の物事…44

自分の人生は…自分だけの人生ではない
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ある日
耳に残った言葉
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自分の人生を生きていても
他人の人生と重なり合って生きる
それは
家族であったり
恋人であったり
仲間であったり
…他にも…
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もちろん
自分の人生は自分で選択していく道
でも…共に時を過ごす人と
重なり合って過ごす
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共に過ごす人とは
笑い合ったり
励まし合ったり
時にぶつかる事があっても
寄り添う気持ちを持って
支え合う
大切に想っているよと
伝え合える相手だと想う
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限られた時間…それが人生
同じ限られた時間を過ごすなら
人を想い遣れる人と共に…
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続きを✍️
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退院の日が来た…
ドリーはあの手術の日を想い出していた
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手術室のドアが閉まった…
ドリーの手のひらには…少年の手の温もりが残っていた…大丈夫…大丈夫よ
心の中で…少年に最後の声をかけ
両親の方へ歩き出した
母親がドリーに向かって両手を差し出す
ドリーは母親をしっかり抱きしめた
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母親の震えが伝わってくる
ドリーは背中を擦りながら…母親の心に届くように
大丈夫…大丈夫だからと…心で声を送る
手のひらから…どうか伝わるように…
何度も何度も背中を擦る
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「ドリーさん…ドリーさん…息子は…」
泣きながらそう言葉にする母親
親なら誰しもが想う不安…
「お母様、頑張るよって…言ったルイ君の言葉を信じてあげて…先生は素晴らしい先生です
これまでも難しいとされていた手術を幾度も経験されていらした先生です
そんな先生とルイ君の頑張りあれば
大丈夫…」
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母親は何度も頷きながらドリーの肩に顔を埋めた
「さあ…これから長い時間待つ事になります…座って…
何か飲み物を持って来ましょうね…」
ドリーはそう言い母親を椅子に座らせ
その場から離れようとした時
母親はドリーの手を離そうとしなかった
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もう…身体の震えは収まっていた
「もう少し、一緒にいていただけますか?」腰かけながら、母親はドリーを見上げてこう言った
「ええ、その方が良ければ…」
「ありがとう…」
母親の隣に腰かけて両手を包み込む
包み 込んだ手は氷のように冷たかった
父親はその場をそっと離れて行った…
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「私がもっと、丈夫な身体であの子を産んで…」
「お母さん!それは違うわ!誰のせいでもないんですよ!
そんな風にご自分を責めてはルイ君が悲しみますよ…」
「私が手術前の説明をした時、ルイ君は自分が不安になっているのに…私に…何かあったの?って…言ってくれた。
覚えていらっしゃるでしょう?」
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母親は頷いた…
「自分の事より、私を心配してくれる
まだ子どもなのに…
あの優しさ…日頃からですよね」
「ええ…自分の体調が悪いのに…いつも私の事を心配してくれて…」泣きながら母親はそう言った
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「そんな優しいルイ君は…ご両親のお子さん…そして、お母様…あなたから生まれてきた
優しくて、強い心を持って…あなたから生まれてきた…その心が…ずっと変わらず今日まで
育てていらしたのもまた、ご両親なんですよ…」
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母親は自分の事を責めていた
その気持ちを今まで誰にも言えずに…生きて来たのだろう…
それを誰かに…ドリーに話したかったのだろう
だから…もう少し…と。。
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「病気になる事…体質も…誰にも分からない事…生まれて来た日から
どんな風に過ごしてゆくか…
あんなに人を想い、もうボクは大丈夫だから…ボク頑張るよ…
そう言ってくれた…
その気持ちはルイ君の心からの言葉
そんな素晴らしい今のルイ君へと
生まれ持った純粋な心のまま、成長してこれたのは…あなた方がいるからなんですよ…」
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母親は…大きく頷き
ほぉ~と…ゆっくり息を吐き出した…
「ね…😊」ドリーは言った
母親の心が…ほぐれたのが手のひらから伝わってきた…
ふたりの前にコーヒーカップが…
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続く…

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