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認知のタイミングで国籍が変わる⁉知っておきたい国籍のルール・在留外国人&外国人支援者向けニュースレター#97

外国人の女性からの相談で、
「既婚者の日本人男性の子供を妊娠したが、日本人男性は離婚するつもりもなく、子どもをどう育てていけばよいか分からない」
といった相談がよくあります。

子供を出産する女性のなかには、事実婚を選択したり、シングルマザーになったり、様々な理由で結婚せずに出産に至るケースがありますが、外国人女性が日本人の子を妊娠した場合、覚えておいてほしいことがあります。

それは、つぎの2点です。

①認知するかしないかで子どもの国籍が変わる!
②認知のタイミングで子どもの日本国籍取得の手続きが変わる!

外国人と日本人の間に生まれた子どもの国籍のルールについて解説します。

日本では、国籍法により、「出生の時に父または母が日本国民であるとき」には、その子供は日本国籍を取得すると定められています。
親の国籍を基準に子供の国籍を決定する、これを「血統主義」といいます。

つまり、外国籍の親から生まれた子は日本で生まれたとしても外国籍になります。

ちなみに、国籍法が定める「父又は母」とは、子供が出生した時点で法律上の親子関係がある父又は母のことを指しており、次のどちらかに当てはまることが前提となります。

・婚姻関係がある男女の間に生まれた子供である
・胎児認知がされている

つまり、法律上の夫婦から生まれた場合とそうでない場合に子供の国籍が違ってくるということです。

日本人と外国人の、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子は日本国籍を取得することができます。反対に、法律上の婚姻関係に当たらない日本人と外国人の男女の間に生まれた子は、両親のどちらが日本人かによって扱いが異なります。

①母親が日本人・父親が外国人の場合
母親と子供の親子関係は、母が出産したという事実によって証明されるため、日本人の母から生まれた子供は日本国籍を取得することができます。

②母親が外国人・父親か日本人の場合
子供は母親と同じ外国籍を取得することになります。日本国籍を取得することができません。子供が日本国籍を取得するためには、日本人の父親から認知を受ける必要があります。

認知とは
認知とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供について、法律上の親子関係を生じさせる手続きのことです。つまり、男性側に子供の父親であると認めさせる手続きのことです。

認知には、認知するタイミングによって2種類に分類されます。

①胎児認知
子供が生まれる前に認知をすることをいいます。胎児認知をするためには母親の承諾が必要です。

②出生後認知
子供が生まれた後に認知することをいいます。

※認知をするためには、市区町村役場に認知届を提出する任意認知が一般的ですが、父親が応じてくれない場合には、調停認知や裁判認知によって強制的に行う方法があります。


胎児認知を行った場合には、子供は出生と同時に日本国籍を取得することが可能です。

出生後認知を行った場合には、出生時点では母と同じ外国籍となり、国籍取得のための手続きを別途行う必要があります。
また、出生後認知では、日本国籍取得にあたって煩雑な手続きが必要になりますので、なるべく胎児認知をおこなっておくことをおすすめします。

子供の日本国籍が認められた場合、外国籍の母親は「定住者」という在留資格を取得して仕事をしながら、日本で子供を育てていくことができます。もちろん、日本人の子の親権を持ち、養育・監護することが必要にはなります。

子供の養育費に関しても、日本人の父親に対して請求することが可能になりますので、泣き寝入りせずに、必要な手続きは行っていきましょう。


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