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愛情の形

こんばんは〜

訪問ありがとうございます。

先日、認知症について話題にしましたが、まだ私が介護の世界と出会う前で、認知症に対しても全く理解がない時ですが、今でも色濃く残っている出来事があります。

20年程前になるでしょうか、実家に帰省していた私は姉と車で買い物をした帰りに、偶然、同じ町内に住む母方の祖父を見かけました。タバコ屋さんでタバコを購入していた祖父に近寄り、私は声をかけました。

「おじぃちゃん、タバコ買いに来たの?家まで送るよ〜」と声をかけると祖父は、「どこぞの誰かは存じませんが、丁寧にありがとうございます。」と、そう言ってタバコを購入し、数十メートル先の自宅の方に歩いていきました。

仲が良かった祖母が亡くなり、慣れ親しんだ家を新しく二世帯住宅に建て直し、暮らしの変化が大きな時間を過ごしていたと思います。

祖父の家を訪問すると、いつも笑顔で迎えてくれていたのに、私たちのことも認識出来なくなっているとは思っていませんでした。母からなんとなくの様子は聞いていたけど、私は上手く理解していなかったのだろうと思います。受けとめるにも驚きが強く衝撃が残りました。

自宅に帰り、母に今あった出来事を話すと、母は、私とは違うポイントに引っ掛かったようで、すぐさま叔母たちに連絡し、祖父の家に向かいました。祖父は病院からタバコを止められていて、本人にも伝えてきているのに、母は一人でタバコを買いに出かけたことに納得がいかず、叔母たちと一緒に説教をしたようです。その際、祖父が今後タバコを吸わないという誓約書を作成したようです。

それを聞いた父は、「長年付き添った伴侶も、住み慣れた家も、思い出や記憶も失い、その上、残された時間も長くはない中、僅かな楽しみとして記憶にあるタバコまで奪うのは酷なことだと思わないか?娘として何も思わないのか?」そう母に話をしていました。

認知症の祖父に誓約書という手段が、意味を成すようには思えませんが、母は母なりに祖父の身体を思っての行動であったと思います。いろんな事を忘れてしまったのに、昔から大好きだったタバコや、行きつけのタバコ屋さんを記憶しているということは、祖父にとったら欠かす事が出来ないモノだったからだろうと思います。

私は穏やかで優しい祖父が大好きで、祖父のことを思うと、父の言う通りだと理解しながらも涙が出る時間でした。善悪だけで判断するのではなく、本人が好きなものや、心地いいと思うものを静かに大事にしてあげたくなりました。

そして、この日の父の言葉は、今も私の心に残る言葉となっています。


我が家は実家まで距離があり、お墓参りも簡単にはできていませんが、時々私は皆のことを思い出しながら、「今の私をおじぃちゃん達はどう思いながら見守ってくれているのかな?安心して見守ってくれているかな?」なんて思います。何かと心配をかけていた私は、あの世で胡座でもかきながら笑顔で見守ってもらえる自分であれば、自分が誇らしく思います。

今日は、ご先祖様にいつも見守ってもらっていることに感謝してnoteを綴りました。

サクラ

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