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新卒採用市場の話|就職活動において学生が重視する情報とは

変わる学生の動き方・求められる情報

オンライン採用の普及によって、就活生向けの情報提供は、これまでよりも情報の質・量を求められるとともに、タイミングも重要となってきました。募集段階だけでなく、選考の進み具合によってもどのような情報を提供することが適しているのか。

私たちは、21卒の就活を終えた学生向けに「学生が企業決定で重視する情報」の調査を実施しました。今回の記事では、学生の生の声から新卒採用における情報提供の内容についてまとめます。

選考のファネルごとに学生が重視している情報が変化しており、適切なタイミングでの情報提供を組み立てることで、学生とのコミュニケーションがより質の高いものになると考えられます。調査データからは、各ファネルで提示すべき情報が見えてきます。

学生のリアルな声・調査から見えてきたこと

今回の調査内容は以下のとおりです。

[概要] エントリーまで、選考中、内定承諾までの各ファネルでどの情報を重視したかアンケート調査した
[調査機関] (株)学生就業支援センター [調査対象] 学生就業支援センター登録の2021卒就活を終えた大学生・大学院生 [調査方法] LINEを経由したWEBアンケート
[調査期間] 2020年12月21日~2021年1月13日 [有効回答数] 265名(男性115/女性150|大学4年生262名/大学院2年生3名)

では、各項目のランキングと傾向を見ていきましょう。

学生の情報ニーズは、就職活動の開始時期と中盤で異なる結果に

Q1.エントリーする企業を決めるのに重視した情報はどれですか(複数回答)
1位 働き方の制度(テレワーク・副業など)84.2%
2位 募集要項・選考ステップ・選考基準 78.9%
3位 求める人物像 75.8%

就活序盤では、多くの学生が働き方や募集要項、求める人物像などを重視していることがわかります。ナビサイトなどからも得られる情報ですね。

Q2.選考中に参考にした情報はどれですか(複数回答)
1位 会社の戦略・会社の理念 84.5%
2位 事業内容(商品、サービス等) 76.2%
3位 会社情報・経営情報・IR 74.0%

一方、就職活動が進んでくると、徐々に1社ごとの戦略や理念、具体的な事業内容、さらに経営情報・IRなどに目が向いてくることがわかります。序盤と同じ情報提供では刺さらないということが見て取れます。

一歩踏み込んだ「リアルな」部分を聞きたい学生も多い

Q3.リクルーター・採用担当者に質問した情報はどれですか(複数回答)
1位 社内の人間関係 92.5%
2位 社風・企業文化 78.9%
3位 キャリアプラン 77.7%

直接質問できる機会に学生が聞きたがっているのはやはり「リアルな職場の雰囲気」に関するものでしょう。特に昨今、オンライン採用が進んでいるためこのような部分は積極的に伝えていきたいものです。

Q4.選考中にわからなかった情報はどれですか(複数回答)
1位 社内の人間関係 82.6%
2位 会社の戦略・会社の理念 76.6%
3位 会社情報・経営情報・IR 74.0%

やはり踏み込んだ部分は企業側から情報提供されないと聞けずじまいで終わってしまう、ということも多々あるようです。社内の人間関係については、入社後のミスマッチの要因にもなりかねないので適切に伝えていきたいですね。

Q5.内定承諾を判断するときに重視した情報はどれですか(複数回答)
1位 仕事内容・配属予定 86.4%
2位 会社の戦略・会社の理念 82.3%
3位 事業内容(商品、サービス等)、働き方の制度(テレワーク・副業など) 78.9%

最終的なジャッジのときに学生が重視するのは、仕事内容や配属、企業理念、そして事業内容や働き方、という結果となりました。入社を見据えてより具体的な部分を想像していることがわかります。

就職活動序盤では表面的な情報で判断できても、徐々に選考が進むにつれ、より具体的に入社後の自分をイメージできる情報が必要になってくることがわかるデータです。

直接会える友人よりも「SNS」で相談したい学生たち

Q6.就活中に迷ったときに誰に相談しましたか(複数回答)
1位 SNS(LINEグループなど) 71.3%
2位 友人 63.0%
3位 企業のリクルーター 52.5%

コロナ禍を経て、学生たちの相談先も大きく変わりました。身近な友人と会って話すよりも、手元のスマートフォン上で相談先を探すようになったのです。こういった傾向も踏まえ、企業側としてもより「相談しやすい」仕組みを整えることが重要になってきます。

Q7.「就活中に欲しい情報」について感じたことを教えてください(自由回答)
● テレワークについてどんな感じか教えてくれる企業があってよかった
● 会社の経営について数字を示してくれると安心感がある
● 会社に訪問できないことが多く、社内の雰囲気がわかりにくかった。ビジコミがある企業は社内の人間関係が感じられてよかった
● 採用基準や入社後の評価の話を明確に答えてくれる企業が少なかった
● コロナの影響と今後の見通しについてもっと知りたかった
● 給与の話に興味があったがなかなか聞きにくかった
● 会社の理念をしっかり伝えてくれた企業には共感できた
● リモートの面談の時に社内の様子をカメラで歩きながら見せてくれた企業がよかった
● 学生同士で情報交換するのがとても大事だった

もちろん個々人でさまざまな意見はありますが、総じて、オンライン採用になってもその特長を活かし、学生が求めている情報を適切に提供できた企業の印象が良くなっていることがわかります。

23卒以降の採用に向けて企業がすべき情報提供まとめ

今回の調査をまとめると、これから企業に求められる学生への情報提供は、フェーズ別に下記の通りになると言えます。

1.エントリー前
● 採用選考について選考ステップや採用基準などを具体的に示す。
● 求める人物像のイメージを伝え学生が「自分が求められている」と感じさせる。
● 勤務地・給与など条件面でセルフスクリーニングさせる。

2.選考中
● 会社の理念や経営方針、業績などを伝え、安心感や共感を与える。
● 社内の人間関係や雰囲気を口頭や社内見学などで伝える。

3.内定承諾
● 配属後の勤務地や職務、キャリアプランなどを伝え入社後のイメージを伝える。
● 親や周囲の人間と検討する材料として経営情報や会社の安定性に関する情報を提供する。
● 伝える手段としては、可搬性の高いWEBコンテンツ・動画を中心として、口コミなどの第三者情報、リクルーターなどの口頭コミュニケーションを組み合わせることが必要となります。

ぜひ貴社でも、実践可能な部分から取り入れてみてはいかがでしょうか。

コロナ禍で浮き彫りとなった学生の心理

全体を通して、コロナ禍の影響もあり「テレワーク」に関する話題に興味関心が高かったようです。学生が、「入社後の仕事のイメージ組み立てられる情報」提供の例として、注目が必要です。また、コロナ禍を含め先行き不透明な時代を背景として、会社の「信用度」を示す経営情報や戦略も重視されています。

これらの情報の共有は、学生同士のSNS上のコミュニケーションが中心となっており、SNSで共有しやすい情報発信の方法も必要となります。企業にも、これまでと違った学生への情報提供アプローチが求められていると言えるでしょう。

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