自作PC メモリの選び方
ディープラーニング・画像解析向け自作PC指南書 6
メモリを選ぶ際のポイントを解説する。注目するポイントは容量とチップ・モジュール規格である。重要なのは、容量もチップ・モジュール規格もCPU・マザーボードが対応しているかを確認する必要があることだ。
メモリで注目するスペックは?
メモリとは、SSD・HDDのデータをCPUに渡すために、一時的にデータを保存しているパーツのこと。メモリのスペックには、「容量」・「チップ・モジュール規格」・「ECC対応」・「メモリインターフェース」がある。「容量」はデータを一時的に保存できる量のこと。「チップ・モジュール規格」は動作クロック周波数やデータ転送速度といった性能を表している。「ECC対応」はメモリ上のエラーを検出・校正する機能があるかどうか。「メモリインターフェース」はメモリの形状のことで、デスクトップPCならDIMM、ノートPCならS.O.DIMMが一般的。ディープラーニング用PCならデスクトップPCになるのでDIMM一択になる。よってメモリを選ぶ際に注目すべきは、「容量」・「チップ・モジュール規格」・「ECC対応」となる。
それぞれのスペックでチェックすべきポイントは?
メモリの「容量」は、ディープラーニングの処理自体には関係ないが、GPUが使えない前処理の段階で必要になる。大量の画像を一括処理するときには重要になってくる。最近はメモリの価格も安くなってきているので多めに積んでおいて困ることはない。とりあえず、必要最小量を積んでおいて、その後必要に応じて積み増してもいい。ただし、1つのPCに搭載できるメモリの最大容量・枚数はマザーボードによって決まるので、マザボの仕様書をあらかじめ確認しておく必要がある。最大メモリー容量は価格.comならマザボのスペック情報の欄に記載がある。また、同じ型番のメモリ同士であれば、複数枚同時に使うことで性能を向上させることができる(帯域幅の増加)。同じ型番のメモリ同士で揃えるべきだ。あとから積み増すときは、人気でメジャーの型番を選んでおけば、いざ必要なときに欠品ということは少ない。
メモリの「チップ規格」は動作クロック周波数、「モジュール規格」はデータ転送速度を表している。例えば、DDR4-2133 (PC4-17000)と表記されていた場合、チップ規格がDDR4-2133、モジュール規格がPC4-17000となり、動作クロック周波数が2133 MHz、データ転送速度が17.06GB/sとなる。チップ規格にはDDR4の他に過去にはDDR3、2などがあったが現在の主流はDDR4の一択になる。動作周波数・転送速度はともに大きいほうが性能がいい。ただし、マザーボードがその規格に対応している必要があるので必ずチェックすること。 価格.comであれば、商品ごとにメーカー製品情報ページやメーカー仕様表のリンク先が貼ってあるので便利。
メモリの「ECC対応」は、メモリ上のエラーを検出・校正するECC (Error-correcting code memory)に対応しているかを表している。その利用にはCPUやマザーボードなどのシステム側がECCメモリに対応していることが必須となる。メーカー製品情報ページやメーカー仕様表で確認する必要がある。ECCメモリとnon-ECCメモリは併用することができない点も注意が必要だ。ECC対応のメモリはnon-ECCに比べて高額になる。学術研究などではECC対応が推奨されているが、個人的には両者の差異を感じたことはない。自分の用途と予算と相談して決めることになる。また、ECCの他にレジスタバッファ(registered、buffered)と呼ばれる規格がある。これは、メモリクロックと信号のタイミングを同期させる機能で、より安定したアクセスを可能にしている。主に高性能サーバー、ワークステーションで使われるもので、こちらもマザボが対応しているかを確認する必要がある。一般的にはnon-registered、non-bufferedで十分だ。
参考サイト
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