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自作PC 構成例

ディープラーニング・画像解析向け自作PC指南書 9

 これまでPCパーツを選ぶ際のコツをパーツごとに述べてきた。ここでは2020年に自作した3台のPCの構成例を紹介する。自分で作る際の参考にしてほしい。

構成例1)ディープラーニング専用PC(メイン)

GPU:   NVIDIA Quadro RTX8000(2台)
CPU:   Intel CPU Corei7-9700K
メモリ:   CORSAIR DDR4 CMK64GX4M4A2400C14 16GB×4枚(合計64GB)
マザーボード:   MSI MPG Z390 GAMING PLUS
電源:   Corsair HX1000i 80PLUS PLATINUM 1000W
PCケース:   Fractal Design Define R6                                                              CPU fan:   Cooler Master MasterAir MA410P TUF Gaming Edition      リムーバブルケース:   Owltech OWL-IE5CB
SSD:   Crucial SSD 500GB MX500 (Windows、Ubuntu各1台)
HDD:   Seagate BarraCuda 8TB ST8000DM004 (Windows、Ubuntu各1台)    VGAホルダー:   長尾製作所 VGAサポートステイSマグネット式

 これはディープラーニング専用に作ったPC。OSはWindows10とUbuntu 20.04 LTS。デュアルブートにすると面倒かつデータ誤消去の可能性があるため、リムーバブルケースで起動ドライブ(SSD)を入れ替えてOSを使い分けている。リムーバブルケース、Owltech OWL-IE5CBは入れ替えが簡単で、かつ、SSDとHDDの両方を交換できるため起動(SSD)と保存(HDD)ディスクを同時に入れ替え可能で使いやすい。

 PCケースはFractal Design Define R6。定番のケースでExtended ATXにも対応しているが、Quadro RTX8000(2台)はやはり巨大。もう一回り大きいEE-ATX対応のケースを選べばよかったと少し後悔。

 電源は消費電力計算サイトによると推奨容量は800W弱。少し余裕を持たせるために1000Wをチョイス。

 CPU fanはネジ式の固定方法のものを選んでいる。これはプッシュピンタイプだと、PCを移動したときにCPUとの固定が外れることがこれまで何回かあったから。ネジ式だと簡単かつ安定的にCPUに接着できるため。

 マザーボードは新たに購入したのではなく、所有していたものを流用した。CPUソケットがLGA1151、メモリ最大量64GB、メモリスロット4つなど他パーツの条件を満たしているので問題なし。同一GPU 2枚を1枚のように扱い計算能力を向上させるNVLINKには対応していないが、NVLINKは費用対効果が悪く、当面は問題なしと判断した。

 VGAホルダーはGPUの垂れ下がりを防止するための固定金具のこと。高性能GPUは重量がかさむため、GPUとマザーボードのダメージが懸念される。そのダメージを軽減するためのアクセサリ。GPUが2枚重なると、GPUの垂れ下がりで排熱が上手くいかなる可能性があるため、2枚のGPUの隙間を確保するという意味でも重宝する。


構成例2)ディープラーニング専用PC(サブ)

GPU:   NVIDIA TITAN RTX(2台)
CPU:   Intel CPU Corei7-9700K
メモリ:   CORSAIR DDR4 CMK64GX4M4A2400C14 16GB×4枚(合計64GB)
マザーボード:   MSI MPG Z390 GAMING PLUS
電源:   Corsair HX1000i 80PLUS PLATINUM 1000W
PCケース:   Fractal Design Define R6                                                       CPU fan:   Cooler Master MasterAir MA410P TUF Gaming Edition      リムーバブルケース:   Owltech OWL-IE5CB
SSD:   Crucial SSD 500GB MX500 (Windows、Ubuntu各1台)
HDD:   Seagate BarraCuda 8TB ST8000DM004 (Windows、Ubuntu各1台)  VGAホルダー:   長尾製作所 VGAサポートステイSマグネット式 

 これもディープラーニング専用に作ったPC。最初に作った構成例1のPCとほぼ同じ構成。違いはGPU、Quadro RTX8000からTITAN RTXとダウングレード。サブとして使うため問題なし。構成例1のPCは使い勝手が良く、不具合なども見当たらない。自作PCはPCパーツ間の相性の問題がつきまとう。それを回避するため、同じ構成を踏襲した。ただし、TITAN RTXの排気は内排気(PCケース内に排気)のため、冷却を強化する必要があった。PCケースの天板にケースファンを追加。ケースファンは鉄板のNoctua nf-f12pwm Case Fan 120 mm


構成例3)前処理専用PC

GPU:   MSI GTX 980TI GAMING 6G
CPU:   Intel Xeon Silver 4110(2個)
メモリ:   Crucial DDR4 CT32G4RFD4266 32GB×16枚(合計512GB)
マザーボード:   SuperMicro X11DPI-N Motherboard
電源:   ANTEC NeoECO Classic NE650C
PCケース:   Fractal Design Define 7 XL Solid FD-C-DEF7X-01                              CPU fan:   Supermicro SNK-P0070APS4(2個)             リムーバブルケース:   Owltech OWL-IE5CB
SSD:   Crucial SSD 500GB MX500 (Windows、Ubuntu各1台)
HDD:   Seagate BarraCuda 8TB ST8000DM004 (Windows、Ubuntu各1台)  VGAホルダー:   長尾製作所 VGAサポートステイSマグネット式 

 これは前処理専用に作ったPC。ディープラーニングはおこなわないため、GPUは所有しているものを流用した。私の仕事では前処理のところで、メモリを大量に消費するプロセスがあり、大量のメモリを搭載したPCが必要であった。SSD、HDDを仮想メモリとしてもできないことはないが、物理メモリとは速度が段違いに遅い。メモリ512GBを絶対条件にした。必然的にこれだけのメモリを搭載できるマザボはかなり限定されてくる。価格、性能からワークステーション用のSuperMicro X11DPI-N Motherboardをチョイス。この選択によってCPUの選択の幅も限定されてくる。Intel Xeon Silver 4110(2個)をチョイス。Silver 4110のCPU fanは4110専用になるのでこちらも選択の余地なくSupermicro SNK-P0070APS4となった。PCケースはマザボのフォームファクタ、EE-ATXに対応するFractal Design Define 7 XL

 Windows10 Homeだとメモリは128GBまでしか認識できない。2TBまで認識可能なWindows10 Pro/Enterprise/Educationにする必要があるので注意が必要だ(もちろん64bit)。

日本では手に入りづらい商品は個人輸入がオススメ

 マニアックなPCパーツは日本では手に入りづらく、異常に高額になることがある。構成例3のPCでは、メモリ、マザーボード、CPU、CPU fanが該当した。そんなときは、個人輸入がオススメだ。Amazonのアカウントを持っていれば非常に簡単にできる。米国Amazonだと日本向けの配送も結構対応していて、送料も安い。日本向けの配送に未対応でも、転送サイトを使えば簡単にできる。16,666円以上20万円以下であれば商品代金の60%に関して、消費税10%がかかる(2020年)。送料と消費税、通関手数料を考慮しても値段が日本よりも大幅に安いのであれば、個人輸入は考えて見る余地はあると思う。私も、構成例3のメモリ、マザーボード、CPU、CPU fanは個人輸入で入手した。コロナ禍で中国での生産がストップしたための緊急避難的な処置だったが、メモリは当時、日本で揃えようとした場合、50万円ほどかかる計算だったが、米国アマゾンからでは送料などを含めても33万円程度で済んだ。


参考サイト



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