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自作PC 電源の選び方

ディープラーニング・画像解析向け自作PC指南書 3

 電源の選び方について説明する。電源はGPUやCPUといったパーツに比べて優先順位は低くなりがちだが、PCの安定動作のために重要なパーツである。例えば、電源容量が低く、必要な電力を供給できない場合、PCのパフォーマンスが低下する。また、電力変換効率の低い電源を選んでしまうと、発熱により周囲のパーツにダメージを与えてしまう。そのため、PCパーツの構成に見合った電源を選択したい。今回はディープラーニング向けPCを自作する際の電源を選ぶポイントを解説する。

十分な電源容量を持つ電源を選ぶ

 消費電力の大半はGPUとCPUである。ディープラーニング向けGPUは300Wを超えるものもある。CPUも100Wを超えるものもざらにあるのでGPU 2枚とCPUだけでも700Wを超えてくる。消費電力はGPU、CPUの各メーカーが公表しているため自分でも計算できるが、少し面倒である。そこで、商品名を選択するだけで消費電力を計算してくれるサイトを利用する(1)。これらのサイトはGPU、CPUだけではなくメモリ、HDDといった他の構成パーツも含めたPC全体の合計消費電力を計算してくれるので、自分の構成でどれだけ電力が必要なのかを正確に知ることができ大変便利である。ただし、電源は負荷率が50%のときに最高の電力変換効率を示すので、合計電力の1.8-2倍の電源容量を確保するのが理想である。また、後々パーツを拡張する必要が生じる可能性も出てくるので、電源容量は余裕をもたせておくのが無難である。

電源

細かな熱対策も大事

 GPUを使うディープラーニングはPC内の発熱にも気をつけたい。熱がこもる事でPCパーツがダメージを受けるし、動作の不安定性にもつながる。電源でできる対策は2つある。1つは電力変換効率の高い商品を選ぶこと、もう1つはケーブルが着脱可能(プラグイン対応)かどうかである。電力変換効率は80%以上であれば80PLUSの認証マークがついている。Titanium (92%)>Platinum (90%)>Gold (87%)>Silver (85%)>Bronze (82%)>Standard (80%)の順で高くなる。ケーブルが着脱可能(プラグイン対応)であれば取り回しが楽だし、空気の循環が良くなるので発熱対策になる。使用していないケーブルは外しておこう。大きなPCケースでも邪魔になることがある。

コネクタ・サイズ・メーカー

 GPUの補助電源コネクタ(PCI Expressコネクタ: 6+2pin)の数も確認しておく必要がある。ディープラーニング向けのGPUは大抵6+2pinを2つ必要とする。GPU2枚なら4つである。他のパーツで使う分・将来GPUを増やすことも考慮しておく。

 電源のサイズにはATX、EPS、SFX、 TFX、BTX、 FlexATXといった規格があるがディープラーニングのような大容量な電源はATX、EPSしか対応していない。ミドル、フルタワー以上のPCケースであれば問題なく入るが、商品によって微妙にサイズが違うので一応確認しておく。

 多くのメーカーが電源を作っているが、寿命は10年以上持つのでやはり信頼の置けるメーカーにしておきたい。少々高くても10年で割れば大したことはない。新しくPCを作るときも流用が可能である。Corsair、Antecといった老舗メーカーのものを選ぶのが懸命である。

参考サイト


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