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構成パーツを決める順番

ディープラーニング・画像解析向け自作PC指南書 1

 PCの主要パーツはGPU・CPU・メモリ・マザーボード・電源・PCケースである。各パーツには多種多様な規格があり、パーツ間で適合した規格でないとPCは正常に動作しない。そのため、構成パーツの選定は複雑な作業である。ディープラーニングでの使用を前提とした場合、パーツを選定する順番はGPU・CPU・メモリ・電源・マザーボード・PCケースがオススメである(理由は後述)。

1,GPUの機種・台数を最初に決める。

 一番初めにGPUの詳細を決めるのには3つの理由がある。理由1つ目は、GPUはディープラーニングの要であり、その性能によって必要な計算時間が決まる最も重要なパーツだからである。理由2つ目は、GPUの機種や台数を決定することによって、他のパーツの規格が限定されるからである。例えば、PCケースの場合、低スペックなGPUを1台搭載するのであれば、PCケースは比較的小型のミドルタワー、ミニタワーでも搭載できるが、高スペックなGPUを複数搭載するのであれば、PCケースは大型のフルタワーがマストになる。また、マザーボードの場合、GPUと接続するバスインターフェースがGPUの台数分あるマザボしか用いることができない、といった具合である。理由3つ目は、ディープラーニング向けGPUは価格が高額なため、予算の大半を占めることになるからである。

2,CPUは二の次、でも大事。

 2番目に決めるべきはCPUである。こちらも理由は3つある。1つ目は、ディープラーニングをおこなう前の前処理をCPUがおこなうことが多いからである。画像を細かく分割する下処理や、主成分解析(PCA)といった統計処理はGPUに対応していることはあまりないため、CPUの性能が大事になってくる。2つ目は、GPUと同様に、CPUを選定することによって、他のパーツの規格が限定されるからである。例えば、マザーボードの場合、Core i7やCore i9といったCPUの種類によって対応するCPUソケットの規格(LGA1151, LGA2066)が決まっており、適切なCPUソケットを持つマザボードを選ぶ必要がある。3つ目は、GPUほどではないが高額なCPUもあるため、予算の懸念材料になるからである。

3,メモリ・電源。

 ついで、メモリ・電源を決める。メモリで検討すべきは容量とECC対応(エラー検出機能)の可否である。容量は前処理でメモリをどの程度使用するかで変わってくるが、足りなければ増やせばいいので優先順位は高くはない。ECC対応にすべきかどうかはCPUが対応しているかで左右されるが、当然ECC対応にすると値段が跳ね上がる。どうすべきかは個々の目的によって変わってくるのでなんとも言えない。電源については、検討すべきは容量である。ただ、電源使用の大半を占めるGPU, CPUの構成で容量をどうすべきかは決まってくるのであまり選択の余地はない。PCの構成パーツから必要な電源容量を教えてくれるサイトがあり便利。

4,マザーボード・PCケース

 最後は、マザボードとPCケースである。ただ、こちらは選択の余地はあまりない。すでに決めたパーツによって規格のほとんどが決まっているためである。マザボードの規格は、PCソケット・メモリスロット数・PCI/PCI-Express数・チップセット・フォームファクタなど多岐にわたるがGPU・CPU・メモリを決めた時点で選択肢はかなり限定される。ただ、メモリのスロット数・容量は後々積み増す可能性があるためきちんと確認しておく。PCケースも設置スペースに制限がない限りは大きな物を選ぶべきである。あとからGPUを増やすといった拡張性に対応できるからである。また、でかいほうがパーツの干渉が起こりにくいし、配線の取り回しもしやすい。自作に慣れていなければ、なおさら大きなPCケースを選ぶべきである。


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