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読書感想文「オランダ発ポジティヴヘルス」シャボットあかね著

2018年発行の書籍
おそらく購入もそれくらい
そこから何度も読み直している


初めて読んだ時の衝撃といったら、もう
「こ、これだ!!」となった
理学療法士として急性期病院に勤務をはじめ、抱き始めたもやもや感
それを解決するために大学院に行ったり、いろんな資格をとってみたり
そして多分野、特に在宅方面の書籍を読み始めて
関連図書だったり、筆者がおすすめしている書籍などつながるように面白い書籍と出会っていった
その時の流れで出会った一冊

なんで感想文書いてなかったかなーと思い、久しぶりに手に取ったので記事にします

私が衝撃を受けた理由としては
「退院する患者さんが身体能力の良い悪いに関わらず、イキイキと暮らしている人とそうでない人がいるのはなぜだろう
病気があってもイキイキと暮らしていけるための解決策はなんだろう」
という病院での疑問に対して一つの答えをくれたからだと思う

答えを端的に書くと
「ポジティヴヘルス」という健康に対する新しいコンセプトを教えてくれたから

ポジティヴヘルス
「社会的・身体的・感情的問題に直面したときに適応し、みずから管理する能力としての健康」

オランダ発ポジティヴヘルス より

一つ一つの言葉の意味は分かるけど、一文になるとわかったようでわからない
ポジティヴヘルスの説明を書こうとするとこの記事内でまとめられる自信がないので、今回は簡単に

WHO(世界保健機関)が定義した「健康」は
「身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」
なので、これと比較すると少し分かりやすいかなと

WHOの健康=病気じゃないから健康、ではない。身体面だけでなく、多角的に良好な状態
ポジティヴヘルス=病気などの身体的な問題だけでなく多様な問題に対して、自分でコントロールしようとする力

つまり、WHOの健康が「状態」を表すのに対して、「ポジティヴヘルス」は「力」を表す(注;私の中での解釈)

きっと、私が病院時代に感じた違和感、最初にあげた疑問に対して
「ポジティヴヘルス」
をうまく使うことで解決できるのではないかと感じた

いま、取り組んでいる活動の中で悩んでいる部分があって、改めてこの本を手に取ったのだけど、読むたびに言葉が響くのだけど、その中でも特に印象深い言葉

今や理学療法士の教育はまずポジティヴヘルスから始まるのだけど、
一部略
将来、理学療法のニーズのある市民に対するとき、その人を全人的にとらえ、たとえばその人の真の問題は実際には家の構造にあるのかもしれない、精神的な不安定にあるのかもしれないというように、クモの巣(※)をつかいながらさまざまな側面に注意を向けることを学ぶのだ
※クモの巣;ポジティヴヘルスの構成要素を図示化したもの

オランダ発ポジティブヘルス

そもそも、「リハビリテーション」という言葉は「全人的復権」という意味を持つのだけど
本当に上記の通りだなと
オランダの理学療法士はポジティヴヘルスの概念が根底にあって、活動しているのかととても感慨深い気持ちになった

健康状態を把握するために「ICF」のツールは優れていると思う
専門職が生活支援の課題把握や目標設定のためのツールとしてはICFなのかなと思うのだけど
その人自身が課題を把握したり、解決方法を探るためにはポジティヴヘルスはとても有用だなと思う

とはいえ、私も実際にこれを使ったことはないのでツールとして実際どのように活かしていいかは具体性はないのだけど
だけど、コンセプトとしてはとてもしっくりくるものがあり、病気かどうかに関わらず、人としての生きる力をうまく引き出すために広まっていってほしいなと思っている

本当はもっと中身を紹介しようと思ったのですが、思ったよりも自分の思いを書いてしまいましたが・・・
ぜひ、気になった方は手に取ってみてほしいです!

最後まで読んでいただきありがとうございました


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