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三十路の恋

私の30歳の誕生日を一緒に迎えてくれた、当時の彼氏。
当時、派遣として働いていた先にいた少し年下の彼。
どうにか接点が欲しくて、当時流行っていたmixiを駆使してメッセージのやりとりを始めた。

それから、あっという間に付き合うことになった。

結論から言うと、その彼とは1年半ぐらいで終わった。逃げるように彼の前から消えた。
今思うと、私のした事は本当に最低だったと思う。

彼は頑固で、考えを曲げない人だった。
『これがダメならこうすればいいだけ』という、ハッキリとした人だった。

一度、別れ話をされた。
この先一緒にいても結婚はないかな、と思ってる、と。
実際、私も結婚なんて考えてなかった。
ただ好きで付き合ってただけ。
そんな話を泣きながらして、結局結婚とかそういうの関係なしに、好きだから続けよう、って話になった。

その後もそれまで通りに週末は彼の部屋に行って、過ごした。

だけどテンションが全く上がらなくなった。
こちらも結婚を考えてないとはいえ、お前とは結婚はないってはっきり言われたんだから。

何をしても楽しくなかった。

ふたりでご飯を食べにいった時、手が滑ってスープをこぼしてしまった。
『なにしてんだよ』と声を少し荒げた彼の冷たい目を見た時に、もうダメだ。と思った。
人がたくさんいる中で、作り笑いでごめんごめん!やっちゃったー。って対応するのが精一杯だった。

きっと彼はこの先もこうなんだろう。

もちろん普段は面白いし楽しいし、暴言を吐くような人ではない。
ただ、たまにこういう『不穏』が訪れる。

理由をつけて、会いに行かない週末が増えた。
会ったとしても、泊まらずに帰った。

私の気持ちに気づき始めてる彼が、今度は追いかけてくるようになった。
俺のこと、本当に好き?
前より好きじゃなくなった?
もっと一緒にいたい。と。


すぐに別れる決心はつかなかった。
なんかやだな、が続いてるだけでこれは一時の感情かもしれない。倦怠期?


だけど一時で済まなかった。

会うことが苦痛になってきた時、メールで自分の気持ちを伝えた。

過ごしていく中で、結婚はないってはっきり言ったよね。
いつか別れるんだろうなって思いながら一緒にいるのはやっぱり無理。
だからもう、続けられない。ごめん。

もちろん理由はこれだけじゃなかった。
1番の理由は、大好きだったけど、心が折れて、また好きになろうと頑張ったけど、ダメだった。
心がもう彼に向かなくなってしまった。

彼が母親と電話する時、常に怒鳴っていたのも要因のひとつ。
彼女の前で、自分の母親を怒鳴る男。
いつか自分が怒鳴られる立場になるんだろうな。
いや、実際怒鳴られたな。

あー、私だって、この彼との結婚は無理だ。
(もちろんこの件は彼には伝えてない)


メールで終わったお付き合い。

少し経ったある日、彼から電話が来た。
付き合ってる時ですらしたことがなかった初めての電話。
もうこの時点でちょっと求めてた恋愛とは、ズレてた。

ご飯でも食べに行かない?という誘いだった。
そうだね、じゃあ予定とか見てまた連絡するね。
実は強いお酒飲んで、勢いつけて電話したんだ。と言っていた。

後日、彼からの電話には出なかった。

それで終わった。


彼は転職をして遠くへ引っ越した。
そして結婚もして子供もいて、家族仲良く暮らしているらしい。

あんな人と結婚したら大変!て私が思っていても、彼は今幸せな結婚生活を送っているわけで。
やっぱり、うまくいく相手っているということ。
彼とは合わなかった。

彼を含めてだけど、30過ぎてからの恋愛は難しくなった。
絶対に譲れない部分が増えて、目を瞑れないことが多くなった。
ワガママになっていく。

例え何かされて、その時は気にしないふりをしても、じわじわ積もっていく。

ワガママ。
故に恋愛が下手になっていく。
好きってだけで乗り越えられないことが増えていく。

そうだ、だからもう恋愛なんていいやって気持ちになってきたんだ。その頃から。


懐かしいな。
未練のかけらもない元カレ。
好きだったのは確かなのにね。


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