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言葉のバトン

伝えたいことはあるのに、うまく伝わらない。歯痒くて、情けなくてたまらない。

なんて繰り返し言っているけれど、本音はこうだ。目の前の壁が高すぎて、目を向ける勇気がない。がむしゃらに努力してひとつ壁を越えところで、まだまだ壁が続いていると知るのが怖い。下手くそなんでってヘラヘラ言い訳して後ろを向いていたい誘惑が強すぎて、抗えなかっただけなのだ。


さらに、素晴らしいライター達と知り合って繋がりができればできるほど、書いたものを手から離すことが怖くなった。

何かの間違いで、うっかり読んでくれるかもしれない。「こんなものを公開しちゃうの?」「こんなので同業者名乗らないでほしい」「よくこんなんで仕事にしようと思ってるな」などと思われるのが怖い。見捨てられ不安というやつだ。

何ヶ月かこんな状態が続いてしまっていた。誰からも非難されない代わりに、成長する機会も失っていた。全く成長していないことを自覚していたけど、やっぱり怖かった。

覚悟を決めてチャレンジを続けているタフな人たちが、眩しくて仕方ない。やってみます、といろんなところで宣言したものの、恐怖を打ち負かせなかった。


ここまで書いていたときに、漫画「3月のライオン」の1シーンを思い出した。主人公達のタフさに、年上の棋士が焦りと嫉妬を感じる場面だ。

羽海野チカ「3月のライオン」7巻より引用。白泉社
羽海野チカ「3月のライオン」7巻より引用。白泉社

スキンヘッドの強面プロ棋士、25歳山崎順慶の気持ちが今なら痛いほど分かる。

このページまでを思い出して読み返していたら、この山崎棋士の話には続きがあった。

羽海野チカ「3月のライオン」7巻より引用。白泉社

そうだ。彼は将棋に向き合って頑張り続けると決めたんだった。

漫画のなかの世界は、このnoteを書いている今日この日と同じ、紫陽花の季節なようだ。この偶然の重なりに気づいたとき、最後の1ピースがはまり、するりと覚悟が決まった。


私にも伝えたいことがたくさんあるし、これからも増える。伝える方法は言葉にしよう、と自分で選んだわけだから、どれだけ他人から見て恥ずかしくたってやるしかない。1つずつできるようになっていくしかない。

羽海野チカさんが描いてくれた漫画が、初めて読んだ日から12年の時を超えて私に何かを与えてくれたように、私も誰かに何かを動かしてみたいと思ってしまったから。やるしかない。


最もハードルを感じている「書いたものを誰かが読める状態にすること」を、noteというプラットフォームを利用して対峙しようと思う。

匿名でこっそり別アカウントで始める手も考えたけど、それでは超えたい壁の高さには届かないので、正々堂々、やると決めた。私が書いたものとして、見られることに慣らそう。

毎日真剣に調べて考えて書くには少しリソースが足りなそうなので、遊びで試していることの経過や、観察したことや、考えたことを日記のように書いていくことになるだろう。内容がなくて余計に恥ずかしいけど、成長しないほうが恥ずかしい。たぶん。


そんなわけで、今日からしばらく毎日更新してみます。お目汚しすみません。よろしくお願いします。



備考:3月のライオンは心の底から超絶おすすめ漫画です。自分の状況ごとに、違う登場人物に胸掻きむしられます。なお今回紹介した山崎順慶はこの話でしか出てこない(たぶん)キャラクターです。数話しか出てこないキャラクターにさえ、いちいち心打たれます。


Spacial Thanks

最後の1ピースは3月のライオンでしたが、これまでにたくさん私にアドバイスや影響を下さった方々に感謝を。皆さんのおかげで、やっと前に進めます。ありがとうございます。


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