安室に届いた3つの「RUM」メール
名探偵コナンの大人気キャラである「安室透」。公安警察の「降谷零」・黒の組織の「バーボン」・私立探偵の「安室透」3つの顔を持つトリプルフェイスとして、そして黒ずくめの組織との戦いにおいて重要な鍵を握るキャラクターでもあります。これまで、
◇原作
◇スピンオフ
◇アニメ・劇場版
に分けて安室のスマホ使い分けについてみてきました。
今回はこれまでの考察を踏まえた上で、安室に届いた「RUM」に関する3通のメールについてみていきたいと思います。
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◇◆◇◆
【注意!】
今回の考察記事ではコミックス未収録のエピソード・RUMの正体について触れます。
未読の方はご注意ください。
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《スマホ使い分け考察まとめ》
・♠︎スマホ=安室・降谷(公安)用
・無印スマホ=バーボン(黒の組織)用
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※今回はこれまでのスマホの使い分けを前提にメールについて検証していきます。
◆3つのメールの登場回とその内容◇
これまで安室に届いてる3つのメールについてご紹介します。
◆1通目:95巻「ホラ♡」
出典:「名探偵コナン」95巻
◆2通目:95巻「あの女性の記憶」
出典:「名探偵コナン」95巻
◆3通目:警察学校編下巻「降谷編」
出典:「名探偵コナン 警察学校編」下巻
◆注目すべきポイント◇
メールの登場回から以下の点について注目してみます。
⑴「-RUM-」の記載の違い
⑵口調の違い
⑶「組織」とは
それでは、注目ポイントについてそれぞれ見ていきましょう。
⑴「-RUM-」の記載の違い
メールの文面がわかっている1通目と2通目にはどちらも「-RUM-」と記載されていることがわかります。しかし、「-RUM-」というワードが1通目では右寄せ、2通目では中央寄りの記載とそれぞれ異なっています。
⑵口調の違い
1通目・2通目どちらも「急ぐ」という単語が使われていますが1通目では「急げよ」、2通目では「急げ」と口調が異なっています。
⑶「組織」とは
唯一メールの文面がわからない3通目。こちらでは安室は「組織からのメール」と発言しています。安室が指す「組織」とは一体…?
以上の注目ポイントを見ていきながら、
①メールの差出人は誰か
②安室の反応の違いと「-RUM-」の意味
について見ていきたいと思います。
①メールの差出人は誰か
メールの差出人を考えていく上で差出人の条件と差出人の候補を整理します。
【条件】
・安室と連絡を取れる人
・安室=バーボンであることを知ってる人
【差出人】
・「黒ずくめの組織」の人間
・警察庁(公安)の安室より立場が上の人間
差出人の候補はまずバーボンが所属する「黒ずくめの組織」の人間です。
ベルモットやジンも考えられますが、ジンは工藤新一のことを覚えておらず、ベルモットは新一との繋がり(過去に面識があること)を組織に隠しているので2人は候補から外れます。
そのため必然的に署名にもある組織のNo.2のRUM(脇田兼則)が1人目の送り主となります。
次に安室(降谷)が所属している警察庁(公安)の人間を考えます。
安室=バーボンであることを知っているのは安室に潜入を命じている上層部や直属の上司。現在本編では降谷と関わりのある公安側の人間として風見裕也・黒田兵衛が出ていますが風見は降谷が潜入してることは知っているものの詳細を知らされていません。またメールの口調から降谷より立場が上のような命令口調なので降谷の部下である風見は除外されます。
よって残されている黒田兵衛が2人目の送り主となります。
では、メールの差出人は誰なのか考えていきたいと思いますがこのことを考える上で参考になるのが注目ポイント(1)(2)になります。
まずは、注目ポイント(1)について見ていきます。
先に述べていたように1通目と2通目では「-RUM-」の記載の仕方が異なっています。
仮にこの「-RUM-」は署名や決まり文句のようなもので同じ人物から届いているのであればどのメールでも揃っているはずです。しかしそうではないことから1通目と2通目のメールの送り主は異なっており差出人は最低でも2人いる、「-RUM-」はそれぞれ別の意味で記載されていると考えられます。
次に注目ポイント(2)について見てみます。
まず1通目では「急げよ、バーボン」と記載されています。このメールが届いたFile1008.「ホラ♡」が本誌に掲載された後に劇場版「ゼロの執行人」が公開されており、その劇中で
黒田管理官:「抜かるなよ(バーボン)」
安室:「了解」
といったやりとりをしています。
これは1通目の、
(メール):「急げよバーボン」
安室:「了…解…」
と口調ややりとりがほぼ一致していることがわかります。
以上のことから1通目のメールは黒田兵衛から送られたメールと考えられるのではないかと思います。
※補足
劇場版「ゼロの執行人」にはバーボンは物語冒頭の紹介以外登場しません。それにもかかわらず黒田が「バーボン」と発言したのは青山剛昌先生から読者へのヒント・答え合わせ的な意味を含んでいるのではないかと考えています。
2017.12.13:File.1008「急げよバーボン」
↓
2018.4.13:劇場版「抜かるなよバーボン」
(安室と黒田に繋がりがあることを示唆)
↓
2018.7.4:File.1017「報告を怠るなよ…バーボン…」
(安室と黒田の繋がりが確定)
次に2通目のメールについて見ていきます。
こちらでは「工藤新一の情報、急げ!」と命令口調で記載されており1通目のメールの口調とは異なっています。そのため2通目の差出人は黒田ではない、つまり差出人はRUMと考えることができます。
またそれを裏付ける根拠としてRUMの口調を挙げることができます。コミックス未収録のエピソード「FBI捜査官連続殺害事件」にてRUMが話すシーンが描かれていますがRUMは終始丁寧口調でした。
しかし、劇場版「純黒の悪夢」では以下のようなセリフを喋ります。
「待て」
「下がりなさいベルモット」
「キュラソー…君には色がない」
「あるのはただ、純黒の闇…その闇が君を苦しめているのなら他の色に染まればいい」
「君の特殊能力をわたしのためだけに使え」
「インプットもアウトプットも…そして、私の右腕になりなさい、キュラソー…」
こちらも口調は丁寧ながらも「待て」「使え」など所々命令口調なのがわかり、「急げ」と記載していた2通目のメールの口調と一致していることがわかります。よって2通目のメールの差出人はRUMと考えられます。
次に3通目のメールの差出人について考えていきます。3通目のメールは安室のセリフから一見「組織のRUM」からのメールと受け取れそうですが本当にRUMから送られてきたメールであれば、
「RUMからメール…〇〇についてか…」
のように差出人→メール本文の順番になるはず。
私たち読者はRUMが黒ずくめの組織の人間と知っているためあえて「組織からの」をつけてRUMのことを補足するような表現はいらないはずです。
そしてこの順番に倣うのであれば3通目のメールは
差出人→組織
メール本文の内容→RUM
となります。
メールの本文の「RUM」の意味については後述します。次に差出人である「組織」とは一体何を指すのか考えていきたいと思います。ここで差出人のヒントとなるのが注目ポイント(3)です。
私たち読者はコナンや灰原などのキャラクター達の台詞から「組織=黒ずくめの組織」を連想してしまいますが「組織」とは「所属」「会社」のことも指します。
このことから安室(降谷)自身が所属する警察庁のことを「組織」と言ってもおかしくはありません。よって今回は「組織」=警察庁=黒田兵衛と考えることができます。
では、なぜ「黒田」と個人名を出さず「組織」にしたのかについて考えてみます。
原作本編では安室と黒田が電話でやりとりしてるシーンは描かれていますが安室が黒田のことを名前で呼んだ事はありません。
普通の会社や組織であれば目上の人間に対して『名前+(階級・役職)』と呼びます。
例えば高木が目暮警部、目暮が黒田管理官と呼ぶような感じです。例外のひとつに風見は降谷さんと呼んでいますがそれは
・降谷の階級が明らかになっていない
・年齢としては風見の方が上だから
などの理由で成り立ちますが降谷が間違いなく自分より階級が上の黒田に対して『さん付呼び』は違和感があります。
※2021.4.21追記
「名探偵コナン JUSTICE+」にて降谷の階級が警部であることが明らかになりました。黒田は警視庁管理官=警視クラス、つまり降谷より階級が上ということが確定となりました。
このことから名前が呼べないのは名前を呼ぶ事で黒田の正体がわかるからと考えています。
このメールが登場した警察学校編最終回の本誌掲載は原作本編でRUMの正体が脇田兼則で確定するよりも前なのでこの時点ではまだ黒田がRUMの可能性も残っていました。
このことから本来は「黒田〇〇からか…」と言いたいところを黒田の本当の正体がわかってしまうためあえてこの時点では「組織」としたのだと考えられます。
今回は黒田を差出人と考えましたが同じような理由で公安上層部の人間が差出人と考えることもできます。しかし原作本編に登場していない公安上層部の人間を名前だけ登場させても意味をなさないためやはりここは黒田が差出人と考えるのが妥当といえます。
以上のことから、ここでいう「組織」は必ずしも「黒ずくめの組織」とは限らず、今回に関して言えば「組織=警察庁」と考えられます。
以上のことからメールの差出人は、
1通目:黒田兵衛
2通目:RUM(脇田兼則)
3通目:黒田兵衛
と考えることができます。
②安室の反応の違いと「-RUM-」の意味
ここからはメールを受け取った際の安室の反応の違いとメールにある「-RUM-」にどんな意味があるか考えたいきたいと思います。
まずは安室の反応ですが3通のメールに対してそれぞれ違った反応を見せています。
1通目:驚きの表情・汗の描写
2通目:「はいはい…」と1通目に比べややぞんざいな扱い・汗の描写
3通目:落ち着いた様子
これまで述べてきたように1通目・3通目は黒田兵衛から、2通目がRUM(脇田兼則)からであるならば普通は自身が潜入している黒ずくめの組織のNo.2からのメールはかなり緊迫した雰囲気になるはず。にもかかわらずややぞんざいな反応を見せていたり、自分の上司からのメールに対しては緊迫してるかと思えば3通目では普通にメールを確認しています。
この反応の違いを考えていく中でヒントとなるのが「-RUM-」という記載です。
注目ポイント(1)でも述べたようにこの「-RUM-」という記載は1通目と2通目で記載の仕方が異なっており黒田とRUMで異なった使い方をしてると見ることができます。
では1通目と安室の台詞から恐らく記載されている3通目についてみていきたいと思いますが、そもそも黒田が「-RUM-」とメールに入れているのはなぜでしょうか?考えられる理由としては、
A.黒ずくめの組織のRUMからのメールだと偽装
B.安室と黒田の2人で通じる暗号のようなもの
以上の2つがあります。
まずAですがそもそも記載の仕方が黒田は右寄せ、RUMは中央寄せと記載が違っており、RUMとメールでやりとりしたことがある人間が見れば一発でバレてしまいます。そのためこのパターンは×。
ではBについて考えてみます。
「RUM」という単語は名詞でお酒のラム酒のことを指すのが一般的ですが形容詞で「難しい、危険な」という意味で使うこともできます。
したがって「-RUM-」と入れることで黒田から安室へ任務の危険度を伝えていると考えることができます。
このことから1通目は「バーボン」「-RUM-」と入っていることで「バーボン」として動く任務かつ難しい、危険なものと黒田は安室へ伝えており、安室もそれを認識したことで緊迫した表情になったと考えられます。
※補足
黒田からのメールには「Time is money!」の記載があり、これは『時は金なり』=脇田兼則=RUMを暗示していると考えることができます。
確証がないためあくまでも妄想ですが、
①安室は脇田がRUMであることに気づいていてそれを黒田と共有しており、脇田を監視している
②工藤邸を探りに行った脇田の行動を安室は黒田へ報告(安室は沖矢=赤井とバレることを危惧した)
③新一生存説がSNSで拡散されたタイミングでRUMが工藤邸を訪れた・その日のうちに生存説が火消しされた(工藤新一の生存が公になることはまずいこと)=工藤新一は黒ずくめの組織に関する重要人物と黒田は認識した
④ポアロにいる安室へ工藤新一の情報を探るようメールにて指示、「Time〜」「バーボン」「-RUM-」を入れることでRUMが関わる・難しい、危険な任務・降谷はバーボンとして任務にあたることを示唆した
と考えることもできるのではないかと思います。
対する3通目についてですが「ゼロの執行人」でも描かれているように安室は黒ずくめの組織に潜入中ではあるものの、公安の降谷としてサミット会場の警備の視察などを行っていることから降谷はバーボンとしての潜入以外にも公安警察としての別の任務も同時に行なっていることがわかります。このことから3通目のメールは「ゼロの執行人」の時のように黒ずくめの組織以外で難しい、危険な任務の連絡と考えられます。汗の描写などもないので危険な任務ではあるものの黒ずくめの組織関連ではないため安室は落ち着いた表情で確認しているのではないかと思います。
では2通目についてみていきたいと思います。
2通目の「-RUM-」という記載ですがこちらは差出人がRUMであるため署名として使われているとみていいかと思います。
しかし、自身が潜入している黒ずくめの組織のNo.2から送られてきたメールにしては安室のリアクションはややぞんざいに扱っているようにもとれます。この理由としてはこのメールがRUM(脇田兼則)から短期間の間に届いた2通目のメール(催促)だからと考えてみることができます。
2通目のメールに関するRUM(脇田)の一連の行動を以下のように考えてみます。
①修学旅行
②新一の生存情報がSNSで拡散
③脇田SNSで生存説を確認
④その日のうちに工藤邸・阿笠邸を訪れる
⑤生存説が火消しされる(脇田スマホ確認)
⑥バーボンへ情報を探るようメールを送る
⑦黒ウサギ亭にいる安室(バーボン)のもとへ2通目のメールを送る
脇田はSNSで工藤新一の生存説を確認しAPTX4869 の被験者リストで死亡となっているはずの人間が生きてることに疑問を持ち、その日のうちに自身で確認するためか工藤邸の近くまで出前を装って訪れています。しかしマスコミもおり、隣人の阿笠からもめぼしい情報を手に入れることができなかったため探り屋であるバーボンへおそらくその日のうちに新一について調査するよう指示を出したと思われます。しかし、すぐに情報を上げてこないバーボンに脇田は痺れを切らし、黒ウサギ亭回のタイミングで「急げ!」と催促のメールを送ったのではないかと考えられます。
あまりの短期間にRUMから催促のメールが届いたことで「はいはい…」といったリアクションをみせ、しかしNo.2のRUMとのやりとりのため緊張(汗の描写)している様子が描かれているのではないかと考えます。
※補足1
そもそもですが2通目のメール本文の
「工藤新一の情報急げ!」は情報を探るのか情報を隠蔽するのか等『どうしてほしいのか』が抜けており、これがRUM(脇田)から届いた1通目のメールであれば不自然です。そのため黒ウサギ亭にいる安室に届いたメールはRUM(脇田)から届いた2通目のメールと考えるのが自然だと思います。
※補足2
修学旅行〜黒ウサギ亭回までの日数経過は以下のように考えています。
①修学旅行〜マリアちゃん回:1〜2日
→京都での事件後その日か翌日にニュースになりその直後にSNSで拡散されている、工藤夫妻がロサンゼルスから帰国するフライト時間もざっくり考慮
②マリアちゃん回〜黒ウサギ亭回:1〜2日
→マリアちゃん回ラストで黒田からメールを受け取り「急げよ」と指示されているため
たった1日で催促のメールを送られてきたことでRUMに対して「せっかち」な印象を受け、長野雪山回での「せっかち」発言に繋がったのではないかと考えることもできます。
◆まとめ◇
かなり長くなってしまいましたが、ここからまとめです!
◇◆◇◆
【1通目】
・差出人:黒田兵衛
・「-RUM-」の意味:任務の危険度を示唆する暗号
・安室のリアクション:「-RUM-」と「バーボン」があることでバーボンとして黒ずくめの組織関連の危険な任務にあたることを指示されたため
【2通目】
・差出人:RUM(脇田兼則)
・「-RUM-」の意味:署名
・安室のリアクション:このメールより以前に指示メールが来ており間を空けず催促のメールが届き「せっかちな」印象を受けたため(しかしNo.2とのやりとりなので緊張(汗の描写)している様子がみられる)
【3通目】
・差出人:黒田兵衛
・「-RUM-」の意味:任務の危険度を示唆する暗号
・安室のリアクション:メールの内容から危険度は高いものの黒ずくめの組織が関係しない任務であることを認識したため
◇◆◇◆
ここまで読んでいただきありがとうございました!初めてちゃんとした考察記事を書いたので読みづらい点などあるかと思いますが温かい目で見ていただけたら幸いです…!
全4回に渡って安室のスマホ使い分け考察・メールについて見てきましたがこれらはあくまでもわたしの推論・考察であり、今後ストーリーが進むなかでまったく違ってくる可能性も十分にありえます(笑)
当たっていたらいいなぁと思いつつ、青山剛昌先生が今後どのようにストーリーを展開していくのか、今回の考察の答え合わせができる日が来るのか⁉︎
楽しみに読んでいきたいと思います!
それでは…
See you next time!
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