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第4章 独学での難問攻略


4-1 過去問の徹底活用

4-1-1  攻略のための一覧表

第3章で、過去問に何度も取り組んだことを書きました。また、過去問をやったら解説サイト等を参照しながら、その出題について理解を深めたということも書きました。ただ、多分そうしたことは皆さんやっていると思います。

ここではさらに詳しく、過去問をどのように活用したのかを記したいと思います。どちらかというと検定試験を分析し理解するための、検定攻略寄りの情報です。

まずはこちらを。

勉強ノートの画像1


この写真は試験IIIの、1回目の記録です。過去問のその都度書きました。
上の行の29は平成29年、30は30年の過去問、という意味です。
一番左の列の黒い数字は、問題1〜問題16。
隣の赤い数字は、全5問中のミスの数。ゼロがほとんどなくてかなしー(汗)。そして鉛筆書きの短文は間違えたその問いについての覚書です。

緑の●、青の●、赤の▲、ピンクの蛍光ペンなどで印をし、自分を励ましたり度々開いてこれを見てインプットしたり、2回目に再確認したりしました。


勉強ノートの画像2

こちらは5年分の過去問の出題内容についての一覧表です。見開きの2ページに5年分の試験I について書き出しました。問題3以外の1〜15まで。どの年にどのような問題が出ていたのか、それはどのような登場順だったのかなどが、この見開きで一目瞭然になるようにしたものです(問題3はABCD形式のため、別の表にしました)。

この整理で過去問が参考書としても使えるようになりました。各問題冒頭の長文は、ほとんどが、何かに関する解説文のようになっているためです。

また、一般的に試験では繰り返し登場するキーワードがあります。一覧でその扱いの頻度、登場年がはっきりしました。連続して出ることはあるのか・その場合には出方がどのように変わるのかなどもこれを見て考えました。


勉強ノートの画像3

これは、さきほどの写真の左ページ・上半分の一部です。試験Iの問題1の15問について、年度ごとに書き出しています。

このように、問題についてメモにする作業は、「この問題は要するに何について問われている?」の要約力や専門用語の語彙力にもなりました

時間と労力がかかりましたが、やって良かったです。試験の直前期にはこれらのノートを繰り返し見ることで、自分にとっての重要事項をおさえました。


4-1-2 わからない原因を自分で見つけ、自分で解決する思考法

表作成のほかにも必ず行っていたことがあります。

この問題、ほんとわかりにくいよな〜。60分くらい経つと頭が疲れてくるな〜。……そういったことが頭に浮かんだときに、愚痴で終えずに原因を探るようにしました。その際には、自分が続きを話したくなるマジカルワードを意図的に使います。

「この問題、ほんとわかりにくいよな〜。どうしてかっていうと…」。
「60分くらい経つと頭が疲れてくるなー。何が理由かっていうと…」。

どうしてかというと。
何が理由かというと。
原因への推論が進み思考が深まる言葉だと感じています。めちゃお気に入りです。

たとえば、試験IIの聴解問題内の問題5が私は大の苦手です。「これから、日本語学習者向けの聴解教材などを聞きます」というあれです(汗)。

そこである日考えました。
「聴解の問題5、すごく難しい。どうしてかっていうと…」

どうしてかというと、(次の2つが心の声での答えでした)

・問いを耳にしたとたん、前提として聞いた元の内容を忘れてしまう   
 →じゃ、元の内容をメモしながら聞けばいいのでは?
   →それ自体が苦手なんだよね…追いつけなくて…
    →なら普段から練習だね。好きなドラマやお笑いで、楽しく要約筆記する練習をしてみよう!

・あのやりとりは、日本語が母語な私にとって普通すぎる。なぜあれが教材に取り上げられているのかがわかってないからだと思うけど、普通すぎてスーッと流れてしまう。
  →ってことは、学習者がつまづきやすいことを知っておくといいのか。
   →そういった知識は過去問だけをやっていても身につかないしな。
     →よし。調べてみよう。


このような感じで、自分で問い自分で答えるという内省的トークで原因や対処方法を探しました
何が原因でわからないのかがわかれば、問題はほとんど解消できたも同然です。


4-2   合格後を視野に入れて学ぶ

もし検定に合格できたらその後どうするか。そこまで決められないという人もいるかと思いますし私もそうでしたが、検定の勉強内容は現場で役立ちます。また、現場で役立つように試験勉強できるといいだろうなと思うので、書いてみます。

たとえば私の場合、合格が判明してから日本語教師になるために採用試験を受た時のことです。内容は、面談と筆記試験と模擬授業で、「模擬授業では教案を提出のこと」との指示でした。
養成校に行っていない私は、模擬授業も教案作成も、経験がありません。
それでも過去問や赤本などで学んでいたおかげで、採用試験には人生で初の教案書きができました。

文法知識も同様です。日本語関連の仕事で文法知識は欠かせません。検定対策では断片を拾い集める勉強になりがちなのです。
私は、9月以降に新人教師向けの日本語文法の本を読みました。たった2冊でしたが、断片的知識がつながる感覚がありました。

今、日本語教師の活躍の場は日本語学校以外にも多様に広がっています。日本語を学ぶ学習者の立場やニーズも多様化しています。検定では、そのような事情も考慮され、そのために様々な出題がなされます。

全ては今後の日本語教育界で欠かせない情報です。決していじわる問題ではないので、将来に生かせるように学ぶといいかなと思います。

4-3  変遷が多い難領域の覚えかた

外国人の在留資格関係の部分が私は苦手でした。覚えないといけない用語も多い上に似通っていますし、変遷も多いですし、何が何年に決まったなども覚えなくてはならず、頭がごちゃごちゃでした。

ここに関しては、ノートを4回書き直して、頭の整理をしました。

1度目はあらゆる情報がごっちゃになってもいいので、とにかく書きます。そして、「ごっちゃになってしまった。どうしてかというと…」。自分にとっての原因を探ります
2度目で改善して書きます。それでも、理想的なノートには多分なりません。「2度目なのに、スッキリ書けなかった。何が理由かっていうと…」。

そのようにして、何を理解すべきか・何を改善すべきかを考えてノートを直すと徐々に頭が整理されました。
繰り返していくうちに、『外国人の在留資格関連』と漠然とひとくくりにしていた事柄の中に、外国人労働者関連のこともあれば留学生関連のこともあったのだなと、自然と区別できるようになりました。

理解をあきらめずに書き直す。シンプルですが強力です。書き直しのたびに頭の中の整理も進みます。

4-4  聴解問題・試験IIの対策


聴解関連は赤本を最初に読んだときには全く理解できませんでした。かろうじてわかるのはアクセントとイントネーションだけ。拍数や音節数を数えることすらできませんでした。
それでも、重点的な学習で徐々にわかるようになり、最終的には得意かも!と思えるくらいになりました(実際の試験本番での得点はさほど高くなかったのですが 笑)。

何が難しかったのか。今もうまく言えないのですが、日本語の音をさらに分解してとらえる回路が私になかったからかなと思います。
日本語の文字表記は1音に1文字が対応しています。理屈としてか行とかさ行というのはわかっていてもそれは理屈で、日本語母語話者な私はすと聞けば「す」の文字を思い浮かべます。「さ行のうの音」とか「su」などと思うことはありません。

1音を1文字で捉える感覚が身体化していた私にとって、「音素」の概念は頭ではわかってもなかなか身体化しませんでした。そのために、「聴音点」「聴音法」などでいちいち考えながら解くと、制限時間内では処理が追いつきませんでした。

突破口になったのは、音声記号表の丸暗記(身体化)でした。聴解問題の開始時にあれを素早く書き、必要に応じて見ながら問題を解くようにしました。
8月の20日頃から毎日1つ、表を書きました。その際に、何分何十秒で書けたかと、抜け漏れなく書けたかどうかをチェックしました。1日に1つ以上書きたくなっても我慢です。ゲームじゃないので(笑)。1日に1つだけにとどめました。

試験当日の朝、出発前に書いて「よし、書ける。大丈夫」とお守りにしたメモです。
実際には休憩時にこれを見ることはありませんでした。


7日目あたりで間違えずに書けるようになりました。そこからはスピードもあがり、15日以降くらいで定着しました(書けるようになってからも日課として続けました)。この方法で、出題に対してもすっと答えやすくなりました。

聴解についてはそれぞれにいろいろあると思います。アクセントやイントネーションでは、生まれ育った土地の言葉によって不利だなと感じるかたもいらっしゃるかもしれません。私は補聴器使用者で聞こえにくいという不便さがありました(機械で処理されて聞こえる音や声は生身の身体の処理とは違うので不便です)。

聴解は初期は難解に思えますが、内容はロジカルで、出題形式もほぼ定まっています。対策がしやすく、成果も得やすかったです。

4-5 凡ミスを減らせ! 7つの黄金対処法

これまで記したようなあらゆる工夫で、過去問をやってふりかえって…を続けていたある日。重大なことに気づきました。

答え合わせをすると、必ず凡ミスがあるのです。「え? なぜこの問題を間違えたんだろう? 今なら迷わず解けるのに」と感じるアレです。

そうしたミスの多くは、頭が朦朧としたりコクリと眠りかけてしまったときのものでしたが、そうでないときにも同様のミスがありました。

そこで、凡ミスを減らすために、私がなぜ間違えたのかを分析しました。その分析から見出したのが、7つの黄金対処法です。

この章がめちゃ長くなりつつあるので、一旦区切ります。(つづく)


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