母の手

私が小学生の頃だったでしょうか。
母が私の手をまじまじと見ながら、
「さくちゃんはキレイな手でいいなぁ、ママも昔はこんなキレイな手だったのになぁ。」
と言われたことがあります。

私と母の手はよく似ていて(キレイ、なんて言った手前恥ずかしいのでどんな手なのか詳細はお話しませんが)、母は子供の頃「キレイな手だね」と言われていたらしい。

「さくちゃんはお皿洗ったりする時とか、必ずビニール手袋した方がいいよ!荒れにくくなるから。あと一時期手荒れが酷かったから、それからこうなっちゃったなぁ」

そう言う母の手は、細いけど皺が沢山あって、節が少し太くなっていました。

そんな母の話を子ども時代の私は
「ふーんそうなんだ。手がキレイって言われてうれしいな。大きくなってお皿洗う時は手袋して、手を大事にしよっと」
くらいに軽く思っていました。

それから何年経っただろう。
私はお母さんになった。

長男が生まれて今までの炊事はもちろん、おむつ替えに、吐いちゃったのを拭いたり、汚れのついた小さなお洋服やシーツを洗ったり…どんどん手を荒う回数が増え、お皿洗いの時にビニール手袋はしてたけど、アカギレだらけになりました。指が曲げられないほど痛くて、アカギレバンを毎日何枚も貼って。手湿疹も始まって、痒いと痛いのダブルパンチ。

2年後には次男も生まれ、手を洗う回数はさらに増えました。今までやってきたことはもちろん、ご飯前と外遊び後の手洗いを自分プラス2人分、床や服や小さなお顔についたあらゆる汚れを拭いて、トイトレしてまた手を洗って、ご飯の準備もして…

そんなこんなしていると、ハンドクリームをつけてもつけても、するすると洗い流されてゆき、お皿洗い時にビニール手袋してももう…
それでもなんとかハンドクリームを塗りたくり、皮膚科で処方された薬を塗り、私の手は一時期より良くなったものの、手湿疹は年中無休に。

母にかつて「キレイだね」と言われていた私の手は、湿疹、乾燥、ささくれ、皺。あっという間に荒れていきました。

あの時「ふぅん」って見ていた母の手。
ちゃんとビニール手袋して、ハンドクリーム塗ればいいじゃん、くらいに思っていたその手。
実際子育てが始まってみると、そんなんしても全然間に合わないし、手を使ったり洗ったりしないといけないことがわんさか起こる。あの母の手は、手を洗いまくって頑張って育ててくれた結果だったんだなー!!とやっと痛感。

ごめんねかーちゃん、ありがとうかーちゃん。
手が荒れるって切ないよね…あと痛いし痒いし。

今冬、なかなか良いハンドクリームを見つけたの。
今度贈ろうかな。

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