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助けあう人がつながる 山中千尋コンサート

長年、炊き出しや夜回りをやっている友人がいる。
彼女も私もフリーランスワーカーなので、彼女は
お子さん達が小さい時からホームレスの人々について
「明日は我が身」と言い聞かせてきた。
そして、できる支援を黙々と続けている。
炊き出し。そして、冬の池袋の公園での夜回り(生存確認)。
お子さん達も、お母さんと一緒に、小さい時から動いてきた。

その彼女が、来週、佐光さんちの近くのお寺さんでほうずき市が
あるからおいでよ、と連絡をくれた。
炊き出しの会場と機材を貸してくれているお寺さんなのだそう。
そのお寺さんで続いているほうずき市。
テキ屋さんが一切入らない珍しい市なのだそう。
Google頼りにたどり着いたのは、千駄木と駒込の間にある
光源寺さんという、すんごいピカピカしたお名前のお寺さん。
ずらりと並ぶほうずきは、地元の大学生達が売っている。

友人は、満福食堂というお弁当屋さんの裏方で、
ガパオライス担当だと、汗だくで働いていた。
仕事がオフだった息子君も顔をだし、あちこちで、
「あら〜大きくなったわね」
「28ですから」
なんていう会話をしていた。みんな長く、地域でボランティアを
してきたつながりなんだろうなぁ。

と、友人がやってきて、
5時から山中千尋が来て演奏するんだって!
という。ジャズピアニストの?
そうそう。ブルーノートとかにでてる人。
え? ここに?
なんか、ご住職が大ファンだ……っていったら、
知り合いの知り合いが……ってつながって
来てくれることになったんだって、という。

そして……ほんとに、来た。
山中千尋さん。
そして、驚いたことに、楽しいおしゃべりと共に
1時間以上、彼女は弾き続けたのだ。
チックコリアの定番スペインや、イパネラ、そして
すごく楽しいアレンジの八木節(彼女の出身地だそう)まで。

屋外の、運動会のテントみたいなところで、
子ども達が走り回り、あちこちのテントで商品説明の声なんか
しちゃっているところで。
彼女は楽しそうに弾き続けた。
最後は住職始め、数人が前の方で踊り出し、ちょっと盆踊り的な光景の
向こうに、Casioのピアノを弾く彼女がいた。
一曲終わるごとにちょっと息があがった状態で話始める彼女に
ほんとに、全力で弾いているんだな〜と、それにも感心。

ほんとに、呼んでくださってアリガトウ。光栄です。
彼女は始めにも、終わりにも何度もそういった。
なんていうんだろう、ご縁に応じて、
呼びかけに応じてすいすいっとやってくる足取りの軽さに驚いた。

と、同時に、こうやって、のんびり、地元でやっているほんとに小さな
地域のお祭りや、そのコミュニティーのつながりの広がりにも
改めて驚かされた。
5年10年と、地縁でつながっている商店さんたち。

中華茶を出していたのは、不忍池の近くにある古本屋さんだった。
新しく入ってくる古本屋さんの多い地域だけれど、
こうやって、長く続いているところは、やっぱり地域につながって
いるんだろうなぁ。
そんなことを考えた。

その商店や地域の人達を中心に敷地内で繰り広げられる縁日。
食事の売り子さんは、地域開発を学ぶ大学のゼミ生達。
自転車置き場はお隣の学校。
学校の入り口では、先生方がボランティアに立って
人々を誘導していた。
聞けば、明日はその学校の和太鼓部が、パフォーマンスをするんだそうな。
そうやって、持ちつ持たれつ。お互いが支えられる関係。
その中で、育つ子ども達。

助けたり助けられたり……いろいろな人が、できる形で参加する。
ゆる〜いほうずき千成市。
ここしばらく、谷根千は、ほうずきだの朝顔だのの市場で忙しい日々が続くけど、こうやって地元の人が動くお祭り、素朴でいいものでした。




得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)