『アーモンド』 ソン・ウォンピョン著
“この物語は、怪物である僕が
もう一人の怪物に出会う話”
人間として、他人のみならず自分の気持ちが分からない主人公の僕。
喜怒哀楽を理解できないからこそ、周囲の感情が痛いほど伝わってくる。
感情とは何か?主人公の問いかけ。
感情を持っていてもいなくても、結局は変わらないんじゃないのか?
遠くで起こる不幸は他人事
近くで起こる不幸も他人事
なら、どうして感情があり、どうして共感があるのか。
もう一人の主人公「ゴニ」の登場により、僕の世界は大きく変わってゆく。
登場人物、全員が不器用で、冷たくて温かい。
私たちは感情のぶつけどころが分からなくて、表情の無いものに当たり散らす。
きっと分かりっこないと。
ロボットの様な僕の前で、登場人物たちは、次々に本性を表す。
それが喜劇なのか悲劇なのか、誰にも分からない。
しかし、これだけは言える。
この物語に出てくる怪物たちは、世界一愛おしい怪物たち。
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