記憶の行方S25 小さな出来事-他愛のない会話

砂嵐。強い風が吹き抜け、波の音が響く。

海岸線が見える喫茶店で、二人の女が話をしている。彼女たちは、20年ぶりに会っている。

シーン25○ 喫茶店 店内

二人の女がコーヒーを飲んでいる。

彼女たちは、お互いの家族について、話をしている。

女1:コーヒーを飲んでいる。

「それで?」

女2:「うん、どうしようかなぁと思ってる。」

女1:コーヒーを飲む。

何かを決めかねているようだが、彼女の内側では答えが出ている。

女1:「こどもは?」

女2:「17になったよ。」

女1:「高校生?」

女2:「辞めたよ。」

女1:「しんどいね。結構、いいところ行ったよね。」

女2:「うん、自分のことじゃないのにね。楽しかったこともあるはずなんだけれど。」

女1:「失恋でもしてるかもよ。」

女2:「そうね。電話かかって来てたな。もう、バスケ部じゃないから電話して来ないでって。けっこう、強めに話してたかなぁ。」

女1:「誰かに愛されたことは、自信になるよ。」

女2:「そうね。」

愛などと、口にせず、過ごして来たが、まなざしは、人を育んで来たはずだと彼女たちは、思いたがっていた。

雲は流れて、晴れ間が見える。


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