夏のお昼寝にはアダージョでハノン

夏休みといえば、小学生までは、40日間あまり、お休みがあり、登校日は、日焼けしてみんな何かしらの夏の思い出を話す。そして、宿題が終わっていないことに焦りを覚えるのが8月の始め。こどもの頃の夏は、かき氷と早朝ラジオ体操とキックベースボールとバレーボールとバスケットボールとテニスと海で泳ぐことで、終わっていた。ピアノのレッスンを受けていた友人はコンクールや発表会に向けて猛特訓を受けていたなぁ。

そして、今、マスクして仕事の日々。汗まみれの日々。

大人の夏休み。ではないですが、部屋で過ごすことが多く、ハノンというピアノの教則本があるのですが、はまっています。これは、12音階がどんな成り立ちか、弾いていけばわかるようになっていて、メジャーやマイナーの関係や重音、アルペジオ、指の独立した動き、カデンツェなどなど、鍵盤を弾けば、なんとなく12音階の階段をのぼっておりて、音の関係がわかるような気になってしまう。60番を弾くと、ハノンの素晴らしさに気づく。ここに行き着くために、59番まであったか!と、思い知る。このスモールステップは、こどもの手が育つのを待つ時間も含まれていると思う。学ぶ上で、不意に退屈な時間が流れることがある、退屈にならないために、工夫が必要で、合間に連弾を入れたくなる、和音を奏でたくなるものです。スケール練習や指の練習の側でコードを重ねて行く遊びをすると、飽きません。どうしても、疲れて眠くなる。ピアノは、体力使います。寝る前に弾くと快眠。

ジェイコブ・コリアーさんがネット上で楽譜を提供して、ボイシングについて語っておられた。

和音って、何?Cメジャー?Gメジャー?音を重ねていく、そして、彼は言った、「響けばいいんだ」(というニュアンスだったと思う)音楽に間違いはなく、奏でる人がいいという響きを発見できたとき、それが和音でいいんだという答え。いいですね。音楽は、正解が不確か。だから、行方を知りたくなるのかもしれません。

今まで、何時間もかけても会えなかったかもしれない人につながり、ボイシングについて学べる。なんて時代だ。ネット上では、ご近所さんの気分です。そんな距離感の方ではないのですが。

金子勝子先生の「指セット」の教本を購入してみた。ハノンをもっと、細かく丁寧に、日本人の手のサイズ、比較的小さな手の方も無理なく練習に取り組める教本。これは、こども用に購入したのですが、お手本動画もついていて、解説もわかりやすく、使いやすいです。

ショパン国際ピアノコンクールを観てしまうのは、気になるピアニストが出ているので、どうしても観てしまうのですが、コンクールによって、知る演奏者もいる。10月が楽しみです。

以前、偶然見たコンクールで、拝見して、気になっていたピアニストを検索したら、演奏動画が上がっており、ご健在!!嬉しいかぎりです。Google恐るべし。自分の名前は決して検索したくない。

ビル・エバンスを意識的に弾けるようになると、譜面に描かれている音をより、相手に伝えられる音楽的に弾けるようになるんじゃないか、と、カンで思っていたけれど、コリアーさんの話しを聞いて、ビル・エバンスって、指の使い方が、近いところで、和音を作っていて、メロディーであり、伴奏でもあり……波の音に近いような音の連なりみたいです。譜面を見て驚く。クラシックの譜面みたいです。ってことをやっていた矢先に、アヤタケさんがwonk laboで語っていたこととつながった。

音と音楽の境界線を越えるためには、技術が必要ですが、それ以前に、一音でも伝わることもあります。それは、本当に不思議なこと。強い感情は、どこか異次元だなぁと思う。

何かを突破する音は、破れたものの隙間から、届いてしまう。

そして、ショパン国際ピアノコンクールで、あるピアニストの演奏を聴いていて、大号泣していた。なんで、泣いてしまったのか、わかりませんが、弾いている人の感情に包まれるような感じもしたり、遠い記憶が蘇ったようでもある。

もう、ずいぶん前の出来事のようです。ミスタッチがあり、譜面より、かなり、ラウド、とか、譜面より、早いな、遅いかも……。と、あれこれ、コメント欄が荒れに荒れていたけれど、わたしにとっては、そのコメントは、スルーしたいコメントだった。賛否あって、よいのだけれど。

ショパンのコンクールは、誰が聴いてもいいと思えるために弾くのではなく、どうやら、譜面を自分の解釈で弾いて、観客に届けられる人なのかどうかを問われているコンクールのようで、実際、予選通過した演奏者は、自分の音色を出している演奏者の方がたです。

ショパンの故郷で、いろんな国からやってきて、ショパンの曲を弾く。はたと、マヨルカ島で、過ごした日々をショパンは後悔しなかったのだろうか、と、思っていた。リストと険悪にならなかったのだろうか、恋はマジック。夢なら醒めないで欲しいもの。レンブラントだったと思うけれど、レンブラントが描いたショパンの絵は、「カッコいいオレでいたい!」と、見えて、眉間にシワがより、サンドのまなざしを受けて、緊張しているような横顔。ストーリーテラーは、言葉のないピアノの詩人の才能にほどされたんだろうと察するに、時間をかけて熟成していけば、よかったのに……。まあ、そうもいかないのが、日常です。ショパンの日常は、どんなんだったのでしょう。惚れっぽい、失恋したら枯れたバラの花で、自分の気持ちを表現する人ですから、私生活から詩人。

ちなみに、アダージョで、指の練習を12音階すべてやると、最高潮に眠くなり、そのうち目を閉じても弾けるようになる。そして、寝る前やお昼寝前に弾くと安眠できます。夏休みにじっくり、ハノンからバッハを弾くと、夏休みが終わる頃には、お子さんの姿勢がよくなり、身長が伸びていることでしょう。実際に息子は身長が伸びている。寝る子はよく育つとは、よく言ったものです。そして、ゆっくり弾くことに耐えられなくなり、きっと、早く指を動かしたくなります。


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