幸せになりたければカニを茹でよ

スーパーで売ってるカニを買ってきて茹でたら、ハッピーハッピー大ハッピーになった話です。

お前、生きてるのか……？

その日、私はスーパーで冷凍のカニを探していた。カニ玉（芙蓉蟹）を作るためだ。カニ玉のレシピには、カニ缶を使うと書いてある。でもカニ缶はスーパーの商品ラインナップのなかでも高価で、量が少ない。125ｇで1650円とかする。ぼったくり感がある。

以前、カニ玉を作った時に、カニ缶を買うべきか悩んでいたら、鮮魚コーナーの冷凍ボックスに、カニの脚が10本くらいセットになったパックが売っていた。殻をむくのはめんどうくさかったけれど、使う量を調整できるし、味も良かった。というわけで、その日も冷凍カニ脚のパックを探していたのだ。

しかし、冷凍コーナーにカニはない。エビやホタテはあるのに。うーん、仕方ないけどカニ缶を買うか……と思案していたところ、冷蔵ショーケースにボイルのズワイガニまるごと一匹があった。立派！ しかも880円。これでいいか。余ったら冷凍すればいいし。

家に帰って、購入したものを仕分けていたら、夫がカニを手に持ち「これ、甲羅をたたくとハサミが動くんだけど……反射かな？」と言う。よーーく見ていたら、めっちゃ自発的に動いていた。い、生きてる……！ お前……活ズワイガニだったのか……持ち帰る時リュックの中にギュウギュウに詰めてごめん……。

脚を折りたためばなんとか茹でられる

生きているなら、茹でなければいけない。慌てて茹で方を検索する。どうやら簡単に茹でられるようだ。
１．大きな鍋に3％くらいの塩水を沸かす（水1リットルに、塩大さじ2杯くらいで3％）
２．カニをひっくり返して鍋に入れる（茹でている間にカニ味噌が流れ出ないよう、甲羅を平らにして入れること）
３．15〜20分くらい茹でる（カニの大きさによる）
４．湯から引き上げて冷水でしめる
よーし、やったろやないかい。と思って湯を沸かし、カニを入れたが脚が入り切らない。折り曲げてぎゅうぎゅうと押し込む。これでいいのかな……。

途中、甲羅が斜めになっていたのか、ふわふわとカニの内容物的なものが浮いてきた。でも、なんとか茹で切ることができた。ちゃんとカニ味噌は残っていた。

880円で料亭の味。コスパ良すぎる

でん。カニの脚の殻をむいて、味見してみる。え……うま……！！　カニを茹でた湯がけっこう生臭かったので、どうなることかと思ったけど、いやいや、脚、うま！！　上品な旨味、しっとりした食感。これは……ちゃんとした日本料理店で食べるカニの味……！　さっきまで生きてたカニを茹でてすぐ食べる。それだけで、こんなおいしさが味わえるのか。

しかも、カニ味噌がまたうまい。無限に食べられる。これに日本酒なんかあったらもうダメだ。おうち料亭だ。北陸の和食屋さんでカニのコースを頼むと一人２万円とかする。自分で茹でたら、880円でカニ1杯食べられてしまうのか。価格破壊だ（違う）。

贅沢なことに、茹でたてのカニを使ってカニ玉も作った。こちらもうますぎた。陳建一さんのレシピで作ると間違いなくおいしくできます（長ネギは他の具と一緒に炒めておいたほうが◎）。

調子に乗って毛ガニも茹でてみた

おそらく今は、普段は飲食店に卸されている良い魚介類が、スーパーにまわってきているのだろう。こんなnoteもありましたよね（コロナの影響でスーパーで買うカツオの刺身が美味すぎる。｜すずきまこと）。カツオ食べたい。

スーパーでまたカニを見つけたら絶対買う。そう決意して、1週間後また買い出しに行ったら、今度は活毛ガニを見つけた。賞味期限が近づき、2500円が1750円になっている。やはりみんな、カニまるごと1匹は買おうと思わないのか。しかし、ズワイガニで味をしめた私は臆さない。すかさずカゴに放り込む。

毛ガニはおがくずがついていた。それを丁寧に洗い落とし、鍋に入れる。

はい。毛ガニは小さいのでちゃんと全身入った。再沸騰してから15分。引き上げて、冷水でしめて出来上がり。毛ガニは棘があるので、むくときは新品の軍手などを使ったほうがいいかもしれない。そのあたりの作業は夫がやってくれた。ありがとうございます。

カニを茹でることで得られる自己効力感

ちらし寿司にも活用したが、そのまま食べる用のカニも確保。カニを味わうなら、そのまま食べるのがおすすめ。カニ酢もいらない。身は旨味が濃厚。カニ味噌もクリーミーで最高。口の中がうまみでまったりする。しばし黙ってカニを食べ続けるカニタイムが流れた。

一杯茹でると、身のとれ高がけっこうある。翌日違う料理に使うこともでき、ものすごくお得な気持ちになる。そして、「私はカニを茹でることができた」という自己効力感が得られる。カニを茹でることでしか得られない実感だ。

スーパーでカニを見つけたら、即買おう。そして茹でよう。幸せがあなたを待っている。