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転校生
けいちゃんはクラスの人気者だ。クラスだけじゃない学年全体でもおそらくナンバー1だと思う。
頭も良いし運動も出来る、何よりみんなに優しい。
けいちゃんの周りにはいつも何人かの女子達が集まっている
そんなある日、隣のクラスに友恵ちゃんという転校生が入って来た。
友恵ちゃんはすごく美人でスタイルも良くいつも笑顔の明るい子だった。
当然みんなの注目を浴びた。
それまでけいちゃんの周りに集まっていた女子達も友恵ちゃんが気になり出し、徐々にそちらに移って行った。
男子達の間でも評判で、
「おい、お前見たか?隣のクラスの友恵って言う子。すげぇ美人だぜ」
「おぉ見た見た。めっちゃ綺麗じゃん」
「東京から引っ越して来たとか言ってたよな。やっぱり都会の子は垢抜けてるな。ここらの奴らとは違う」
などと話し合ってます。
中にはあからさまに
「あの子はそのままモデルになれるよ。けいなんかとは比べもんにならない」
とまで酷い事を言って笑い合う男子達もいた。
そんな話がけいちゃんの耳に入らない訳がない。
でもけいちゃんは何も言わず、いつも通り淡々としている。
ただ、あんなに賑やかにしていた休み時間など、この頃は一人でポツンとしている事が多くなった。
実を言うとこの私も以前はけいちゃんの周りにいたのだが、今はすっかり友恵ちゃんの側に行ってしまう様になってしまった。
友恵ちゃんの周りにはいつも沢山の女子や男子が集まり賑やかにしている。
友恵ちゃんは話題も豊富で一緒にいると、何だかキラキラしたムードに包まれとても楽しくなる。
毎日学校に行って友恵ちゃんとお喋りする。それが私の一番の楽しみになった。
そんな日が数ヶ月続いた。
と、ある日突然、友恵ちゃんはまた引っ越して別の学校に転校して行った。
私達はがっかりしてすごく寂しい気持ちになった。
でもやがていつもの日々が過ぎて
私達女子はまたいつの間にかけいちゃんの周りに集まり始めた。
こうして何もなかった様に元通りの学校生活に戻った。
すっかり友恵ちゃんの話題はみんなの中から消えてしまった。
暫く元気のなかった(かも知れない)けいちゃんにもまた笑顔が戻ったみたいだった。
再び楽しい学校生活が始まり、
それが普通になった頃…
ある日、帰りのホームルームの時間
担任の先生からお話しがあった。
「来週からこのクラスに転校生が来ます。日本とアメリカのハーフでナオミさんと言います。とても明るくチャーミングな女の子ですよ。
皆さん仲良くしてあげて下さいね」
その言葉に私を含めてクラスのみんなはソワソワし出した。
私も全身にゾクゾクする高揚感を感じて気もそぞろになった。
ああ一体どんな女の子なんだろう。ハーフだなんてとても素敵だわ。
私と同じ様に周りの女の子達も夢見心地みたいで、ザワザワしている。
早く来週が来ないかな、早く会いたいな。
そんな気持ちでいっぱいだ。
その時、ふと思い付いて何気なくけいちゃんの方を振り向いた。
けいちゃんは何も言わず
ただ俯いたままでいた。
何かが私の胸をギュッと掴んだ。
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