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カエル旅シリーズ

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長編小説『カエル男との旅』より抜粋したエピソードを取り揃えております。
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#カエル君

夜鷹の灯り

夜鷹の灯り

 なんて言うか、この頃、すっかりバカになってしまいまして……、
「馬鹿?」
 あ、いや、関西風に言うとアホですか、なんやこう上手く言われへんけど、考えがまとまらんし、気力もないんですわ。
「そうですか」
 特に長編なんか書くのにはすごく体力使うでしょ。
 妙な沈黙。 
 耐えられない。
 暖炉の火があかあかと燃えている。
 言ってみれば、燃え殻みたいなもんですわ。
 老作家は不思議そうな顔をして、

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最終電車

最終電車

 遠くにポツンと灯りが見えた。
「来たよ」 何気なく彼は呟いた。ホームの端で黒っぽいコートにちらほら雪が舞っている。
「ああ、それからね……」
 老作家は背中を丸めながら、嗄れた声でこちらに顔を向け、笑ってみせた。皺だらけの顔にさらに深い溝が何本か刻まれる。ほつれた髪が額から目の端に曲線を描いてそれがまるで西洋絵画の人物を彷彿させた。
「君の作品……」
 それだけ言って暫く言葉を途切れさせる。

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