2度と食べれないかもしれない週替わりカレーは、ほろ苦くてちょっと甘い
「今、食べているカレーは、もう2度と食べれないのかもしれない」と思いながら、カレーを食べたことはあるだろうか。
私にはある。
というのも、築地にあるドイツ料理屋「ピラミッド」の週替わりカレーを食べているからだ。
この店は築地にある名店の1つ。
築地にあるのにカレーで、ドイツ料理屋なのにピラミッドで、なんだか不思議なお店だ。
築地ドイツ料理居酒屋ピラミッド
私たちの出会い
きっかけは勤務先のオフィス移転だ。
勤務先の会社には、木曜日ランチにカレーを食べる「カレー部」という部活動がある。
そんな部活があるほどなので、社内の誰かが「おいしいビールカレーが食べられるドイツ料理店があるらしい」という情報を入手するのに、時間はかからなかった。
私も今までに食べたことのないカレーに出会える、という期待を胸にランチに繰り出した。
しかしそう簡単にありつけるほど、現実は甘くない。
なにせネットで話題になるほどの名店である。
ランチタイムのピークをすぎた13時ごろでも行列ができ、入店できないのだ。
店内もあまり広くはないので、5,6人並んでいるとお昼休み中に戻れなくなってしまう。
つい違う店に行ってしまう。そんなことを3度ほど繰り返している間に、1ヶ月経った。
このままでは駄目だ。入れるまでチャレンジしないと、私は永遠にピラミッドにたどりつけない。
毎日入れるまで通うという覚悟を、心に決めた。
そう心に決めて、2日目には入店できてしまった。
(後からわかったことだが、結構入れるらしい。私の運が悪かったのか、覚悟が足りなかったのか、ともかく偶然入れないことが続いたみたいだ。)
ついに憧れのカレーを食べる機会に恵まれた。
未知との遭遇
とにかくうまい、うまいのだ。
不思議なことに、まったくもって何がうまいのかわからないのだが、ただうまい。
本当に美味しいものを食べると人は言語は機能しないのかもしれない。
ただわかったのは、ビールが入っているという事前情報から、ほろ苦さのある不思議な味わいだということだけだった。
うまく伝えることができないので、メニューを貼っておく。
行ってみたい人はこちらを参考にしてほしい。
メニューを見ればわかるように、週替りカレーがある。
この週替わりカレーが、何かおかしいのだ。
※ちなみに、キーマカレーはなぜか激辛で、中本で北極3倍を食べる私が辛さを感じるほどです。気をつけてください。
魅了と異変
2度目の入店で、少し異変を感じた。
その異変は週替わりカレーにある。
私は、初めて行くお店では、その店の王道メニューを食べる、というルールで生活しているので、それまで週替わりカレーに目もくれていなかった。
2度目の入店時に、週替わりカレーメニューがふと目に入った。
「ホタルイカと菜の花のカレー。」
ホタルイカ、菜の花。
一瞬、ホタルイカという私の知らないスパイスがあるのかと、疑った。
好奇心に勝てずに頼んでしまう。
相変わらず食べたことのない味だがうまい、うますぎる。
2020年6月〜2020年7月の週替わりカレー記録
2020年6月1週 豚しゃぶサラダカレー
2020年6月2週 うま辛!よだれ鷄カレー
2020年6月3週 ナスと挽肉のカレー
2020年6月4週 牛すじとさくらんぼカレー
2020年7月1週 豚角煮と塩きゅうりカレー
2020年7月2週 ピリ辛エビカレー
2020年7月3週 ラムとおろしわさびのカレー
2020年7月4週 トロピカルベーコンフルーツカレー
2020年7月5週 豚角煮と梅肉のカレー
もうなんというか、やりたい放題だ。
これだけやりたい放題でもうまい。
そして驚くべきことに、同じメニューに遭遇しないのである。
奇想天外な具材、無数のメニュー、なのにうまい。
そのミステリアスで魅力的なカレーから、私は離れられなくなっていた。
偏愛とその先で
私は何かにハマると、追究せずにはいられなくなる性格だ。
例に漏れず、ピラミッドの週替わりカレーにハマってしまった私は、その週替わりメニューがどのように決められているのかが気になってしょうがなかった。
とりあえず食べログ 、Retty、Twitterにある過去の投稿をすべて集計すればそれなりに傾向が読めるだろう。
そう思い、ネット上にある、ほぼすべてのデータを集計した。
この調査からわかったのは、次のことだけだった。
・旬の食材を使ったメニューを使っている気がする
・結構な間隔が空くと、同じメニューが現れる
・夜のメニューの食材にないものがあるので、食材の残りとかではなさそう
こうなってくると、法則などというものは、ないのではないだろうか。
私が追っていた謎は、そもそも謎ではないのでは。
これ以上は耐えられない。
週替りカレーの謎を直接聞いてしまおう。
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めちゃくちゃ調べたことを伝えるとあっさり週替りカレーの謎を教えてくれた。
店長さんが半年先まで週替りカレーの予定を決めて、ランチカレー用に食材を仕入れているそうだ。
私の予感どおり、法則はなかった。
これは同じメニューが再び現れるかどうかは、完全にわからないことを示している。
毎週食べているあの週替わりカレーは、もう2度と食べれないのかもしれない。
それを確認できただけで、私の心は晴れやかだった。
「よかったら店の入り口にある、だるまに目を書いていってください。」
そう言われたので、来週も週替りカレーが食べれるように、と願いを込めて、目を書かせてもらった。
その翌週に食べた週替わりカレーもまた、ほろ苦くてちょっと甘かった。
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