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山梨県の山奥の集落で土ざんまい     其の一 日干しレンガ作り編

11月の中旬から現在進行形のプロジェクト。
山梨県は身延町の山間の集落にて、かまど。焙炉(ほいろ)つくりの
プロジェクトについての記事になります。
土で作るモノヅクリの楽しさを垣間見れる文章を心がけたいと思いますw


小さい集落の夜学舎の中で

今年の春先に、大学の先生より「山梨県の集落にて焙炉を復元したいのです」とのお誘いを頂きました。
焙炉?そういえば以前、湘南方面のお知り合いに頼まれて、修理したことがあったのを思い出しました。
焙炉とは。。。。

製茶用の乾燥炉。もとは木の枠に厚手の和紙を張ったもので、蒸した茶の葉を炭火で乾燥させながら揉(も)んだ

製茶用の装置なんですね。

焙炉

集落の建物。夜学舎という建物内にあった焙炉の復元工事とあいなりました。
昔集落の子ども達が夜集まって学んでいた建物のようです。
娯楽が少ない時代なのでみんなで集まって学んでいたのでしょうか。
なんと素敵なコミュニティ。

夜学舎 大分痛んでおります

この場所に、焙炉を復元してこの集落で生産するお茶を作りたい。
そういうプロジェクトが全貌になります。
湯之奥というとても小さい集落での作業になりました。

計画を立てにくい工事

私は神奈川県は三浦市。現場は山梨県の身延町。車で3時間くらい。
ちょっくら行ってくるわ。という距離ではないので短期集中で
復元していくことに。
既存の焙炉は板の中に土を練り積み上げていた様子。
これだと、なかなか一日二日で作業するのは難しいなと考え、
今回は土をレンガ上に作ってそれを積み上げて完成させる方法を採用しました。
おそらく、既存の物は集落の方が手作りで土を積み上げ、中に石を挟み込ん
だりして土の厚みを確保したのだと思います。
そうそう、さらっと書いてしまいましたが土が固まるのには
乾燥させないといけないのですね。セメントのように化学反応を起こして
硬化するものではないので、温度とか風の動きなどが重要になるのです。
なので、極力一日で塗る土の厚みを薄くしたいので、こういった工法を採用したわけです。
余談ですが、左官というお仕事は絶えず水の動きを頭の中でシミュレーションしながら作業するお仕事なんですね。
その水の動きに沿うように、道具や手を操作するのです。
これが私の考える左官という仕事。
自然と沿うように働くのです。

焙炉に使われていた土を再利用


素晴らしい環境と過酷な環境の同居する集落

朝5時頃三浦を出発。集落に9時前に到着。
なんせ、初めて現場に来て、早速状況を確認
今回はワークショップ形式なので参加者の方も来てくださり、
どうやって作業を進めていくか?一泊二日で作業は完了するか?
とアタフタアタフタとしてスタート
ある程度準備が進んで心に余裕が生まれた瞬間に目に飛び込んできた風景。

湯之奥1
湯之奥2


「なんちゅうところなんだろう」
限りなく人工物が少なく。
限りなく人工音が無い世界。
はあ、心の在り方でこうも景色が変わるのか。。。。
と感動を通り超えて驚愕しました。
なんて、良いところなんだろう。
海の町で生まれ育った私に、最近”山”にご縁がある模様w
熊本県の南阿蘇村しかり。

のどかでいいところだなぁ。。。。と心がほぐれた瞬間。
「鈴木さん、ここは山間部なので日没が早いんですよ」
と、なんと14時には日の光が影ってしまう模様w
なんと、作業時間めちゃ短いじゃんwwwwww
土を扱う仕事としては致命的なこと。
日の光。お日様の温度。これによって
土は乾燥を早くしたり遅くしたり。
もう、コントロールできないのですw
自然には敵わないのです。

結果はなんとかなるもので

と言うことで急ピッチで工事は進みます。
全三回のうちの今回は1回目。
土を枠に押し込みレンガ状にする。がゴール。
参加者の皆さんが楽しみながら作業を進めてくださり
私の心配をよそにあれよあれよと完成するのですw

現場の土をふるって


藁を混ぜたり 強度のある土を足したりして
土を枠につめこみ抜き取る


乾燥期間中に雨がふると溶けるので屋内で乾燥

ということで、何とか完成しました。よかったよかった。
このレンガを作成したのが11/20 年内にどうにかこのレンガを積み上げて
カタチにしたいところ。
しかし、冬の山梨県。ましては日照時間の短い山間部。
次回までに乾くのか?間に合うのか?
自然に抗わずにじっと耐えるのみです。。。。


集落の人と文化財の建物とお日様

初回の二日間。集落の方が休憩の時間に
文化財の建物を開けていただいてそこで休ませていただいた。。。。


門西家文化財にて

なんと縁側最高じゃないです。
お日様の力に身も心も温かくなるのです。
集落の方のお話を伺いながら、最近考えている
地方創生やら関係人口やら、
なにか地方にとって幸せで、楽しいのか?
経済的合理性が最適解なのか?
この集落に観光客が押し寄せるのが豊なのか?
いろいろ思いを馳せる時間にもなりました。

参加者の方に、囲炉裏の前でお茶(お点前)を頂きました。
これも非常に貴重な体験。

囲炉裏の前でお点前を


訪れた先でおもてなしが出来る野点ってすごい発明品だなと感じました。
一気にその場にいる人たちを、和ませてほっとさせる空間を仕立ててしまう。
私も、お茶。もっと勉強しようと思い、これを機にお茶碗を購入したことを
ご報告いたしますw


土のレンガを作るワークショップというプロジェクトでしたが
私的には、今年一年。興味が湧いて動いてきたことの
総決算のようなプロジェクトのような気がします。
土の建築。茶道。地方創生。コミュニティ。
その交差点がこの湯之奥だったような気がします。

今回はここまで、次回は乾燥した日干しレンガを
積み上げるのですが、そうは簡単にいかないの巻です。

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