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お弁当

お弁当を忘れた。朝余裕をもって起きて、お弁当箱におかずを詰めてランチバックにお箸と共に入れ、保冷剤まで入れたのに、忘れた。

帰宅したら玄関脇にランチバックが目立つように置かれていた。忘れないようにドアのすぐ近くに置いたのに、意味がなかった。

いつも高頻度で入れるミニトマトを入れてなくてよかった。暑くなってきたからトマトとかきゅうりなどの水分が多い生野菜は腐りやすくなる。昨日の残り物の新じゃがを煮たのとかいんげん炒めたのとか、熱を通したものばかりでよかった。今日の夕飯は必然的にお弁当になった。

帰宅してレンジでチンしてすぐに食べられる。適当にお味噌汁だけ作ったけれど、作られたものを食べるだけは手間がかからずとてもいい。昼に食べるお弁当のおかずは、昨夜作ったものや作り置きのものが多いけれど、同様に夕飯も既に作られたものを出せたら、時短になる。

これから食べるために今何か作ろう、と思うより、明日の夕飯のために今日何か作ろう、と思う方が心の余裕を感じる。食べたいときに作って出来立てを食べるのがいちばんだというのは百も承知だけれど。

お弁当を忘れた。子どもであれば一大事かもしれない。学校にいたら、親に連絡して持ってきてもらうよう手配するだろう。

職場の最寄りの駅に降りて、手持ち無沙汰を感じ、そのときようやくランチバックを所持していないことに気づいた。忘れちゃったな、とだけぽつりと思い、お昼どこに行こうかなと即座に思い直した。

大人になるとなんてことはない。ただお弁当を忘れただけ。代わりの選択肢は店の数ほどある。忘れ物をしても焦りはない。そんなもんだなと思っている。

2022.5.24

好きな四字熟語は「自画自賛」です。