早記の踊り子年譜✍️⑦【かけがえのない仲間、そして突然のお別れ】
スタジオ発表会、クラブイベント、師匠のアシスタントとして現場に入らせていただくお仕事…
いつでも厳しい師匠だったけれど、相変わらずピーピー泣いたり、卑屈になったりしながらも、しつこく通い続ける早記嬢。
あるリハーサルの最中、私が踊っている耳元で、
全然面白くない。
といわれたこともあったから、確実に私の心臓は強くなっていった。
(こうやって書くと、師匠がすごいひどいこと言ってるみたいだけれど。笑 この【面白くない】の意味は、今となっては腑に落ちすぎる。)
なかなか成長の遅い私を、
それでも使い続けてくれた、厳しく接し続けてくれていた師匠のことを、
裏切る真似だけは絶対しないように。
この頃になると、
師匠の作品で一緒に踊るメンバーは、私にとってかけがえのない、まるで学生時代のように一緒に熱くなれる仲間になっていた。
私のほぼすべてだった。
スタジオに行けばいつもいる。
レッスン以外でも一緒にいる。
私が私のままでいられる場所。
泣こうが不貞腐れようが、そばにいてくれる存在。
最初の頃、
煙草を吸うかどうか本気で考えていた頃を思うと、
ダンスを辞めずに続けてこられて、本当に良かったし、
このままずっと続くものと思っていた。
思っていたというか、
この時間が無くなるなんて思いもしなかった。
大変!先生、沖縄に帰っちゃうって!
私はたまたま、師匠のレッスンに1か月程行けていない時期があった。
今でも、悔やみきれない。
それは帰省ではなくて?
うん、こっち(東京)でのレッスン、辞めちゃうんだって…
あまりにも突然だった。
しかもその事実を聞いたときにはもう、師匠の東京でのラストレッスンは、終わってしまっていた。
誰も、師匠すらもたぶん、ラストをラストと思っていなかったラストレッスン。
生徒が察することの出来る師匠の心情には、限界があると思うけれど、
もう、あと1レッスンも出来ないくらいに、
師匠は心を痛めていた。
師匠宅に、生徒達、緊急集合。
すでに涙と鼻水で、顔が残念になっている私をよそに、
引っ越しの荷造りをする師匠は、ケロっとしているようにみえる。
ここでラストレッスンでもしようかと思ったけど、泣いちゃって出来ないでしょ。
時間も遅くなり、みんながひとりふたりと帰っていく。
さんざん泣いている私も、もう帰らなくてはの時間が迫っていた。
わりと最後までケロっとしている師匠。
それも師匠らしさかなと思いつつ、
これからはもう、毎週必ず会えるわけではなくなることも、あまり実感出来ないまま部屋を出て、
マンションの廊下をとぼとぼと歩き出した時。
背中でガチャっと、扉の開く音がした。
じゃあね。
振り返ると、師匠が扉から顔をのぞかせている。
もう、堪えきれなくて、
泣きながら駆け寄った。
それまでケロっとしてた師匠も、泣き顔になる。
抱きついて泣く。
勢いあまって、足踏んじゃったけれど。
嫌だった。本当に。いなくなってしまうことが。
あたりまえのようだけれど、
師匠と同じジャンルのクラスはあっても、
師匠と同じ踊り方をする人はいない。
素敵な先生はたくさんいるけれど、
その人そのものになりたいとまで思う人は、なかなか存在しない。
泣いても泣いても涙がでた。
この先私から離れても、どこででも通用するダンサーになるために。
そんなふうにエネルギーを注いでくれていたのに、
師匠がいなくなって、
悲しくて、
さみしくて、
どこにもいけなくて。
師匠がいなくなったってことは、
自ずと、師匠のところに集まっていたメンバーと会う機会が減っていき、
お茶とかご飯はするけれど、
スタジオに集まる、そこに行けば誰かいるっていう、私の一部(いや、すべてだったか。)のような時間とは違った。
足元がストンと抜け落ちてしまったような喪失感。
私も他のメンバーも、少しずつダンスから離れてしまった。
情熱を傾けてきたダンス。
早記嬢は果たして、このままダンスを辞めてしまうのか。
次回、早記の踊り子年譜✍️⑧【サプライズ沖縄!!】に続く♡☟
https://note.com/sakiii_bi/n/n01c34c9b409f
最後まで読んで下さりありがとうございます🙏✨
早記の踊り子年譜✍️①から読む方はこちら☟
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