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本当のむし歯予防について考える

こんにちは。
歯科衛生士 さきです😁

 
今日はむし歯予防について私の考えを
書いていきたいと思います。


むし歯=う蝕のことを言い“過程“のことを指します。結果である穴があいている状態のことは「う窩」(うか)と言います。

経験から考えるむし歯について


私が学生の時に習ってきたむし歯の考え方は
特異的プラーク説・非特異的プラーク説です。

超簡単に言うと
細菌の塊=プラーク が多ければむし歯になる!
⭐︎歯ブラシ最強説

細菌がいるからむし歯になるんや!
⭐︎感染症説

な感じです。


でも実際患者さんを見て、
めちゃくちゃプラークついてるのに
むし歯も歯周病も進んでいない。


なぜ?

めちゃくちゃ歯磨き綺麗なのに
むし歯になる・・・

なぜ?


と言う感じで、
教科書上と「なんか違うな〜」と言う感覚を持っていました。


そこで
最近言われている別の説
「生態学的プラーク説」を読みました。

 
うんうん・・・・納得!!!


学んできて、患者さんのお口を見て
このほうが説明がつくな〜と思ったので
私は「生態学的プラーク説」を軸にむし歯予防について
お伝えしています。


生態学プラーク説とは?




現在,う蝕の病因論は Marsh が提唱した「生態学的プラーク説」が支持 されています2).う蝕は MS 菌など特定の細菌の感染によって起こるので はなく,口腔内常在菌の“生態の変化”によって起こるとする考え方で, 以下の 4 つのステップで説明されます.
❶ 頻回な糖の摂取により,バイオフィルム中のさまざまな細菌が糖を代 謝して頻回に酸を産生します.その酸により,細菌にストレスがかか ることで細菌の酸産生と耐酸性が増します.
❷ バイオフィルム中の pH が酸性に傾き“環境の変化”が起こります.
❸ バイオフィルム中が酸性になると酸に弱い細菌は生き残れなくなり,
MS 菌,乳酸桿菌,ビフィズス菌など酸性環境で生き残れる細菌が優勢
になります.すなわち“生態の変化”が起こります.
❹ 酸性の環境で生き残った細菌がさらに酸を産生し,歯面の脱灰が進ん
でう蝕が進行していきます. 頻回の糖の摂取や唾液の減少はう蝕リスクを高め,口腔清掃やフッ化物の使用はリスクを低下させます.                                          伊藤直人著 カリエスブックより


一般の方には少し伝わりづらいかもしれないので噛み砕いて一言でお伝えすると

“お口の中の菌同士のバランスが環境の変化によって崩れる“

と言うことになります。



生態学プラーク説で大切な「2つ」


生態学プラーク説では

【糖=食事】 と 【唾液】がむし歯予防には必須だと考えられています。

 

それぞれなぜ大切かをまとめました。

糖とむし歯


ここではむし歯のことをわかりやすくお伝えするために、目に見えている状態のことをむし歯と言わせていただきます。


むし歯になる基本的な考えは変わりません。

糖 + 細菌 = 酸 を代謝します。

この「酸」が原因で歯が溶けます。


なので、糖だけでも、細菌だけでもむし歯になることはありません。歯がなければむし歯になることもないですよね。


この考えはカイスの3つの輪にもある通りです。

糖と細菌と歯質のやつですね!(時間も含まれる考えもありますね)


でも実際「糖を取らない」って無理だと思うんです。


ご飯をとれば糖の摂取になります。成長発達において糖はエネルギーになるため、欠かせませんよね。むし歯になるからといって「糖」を与えないことは本末転倒になります。


そこでできることは糖の種類を気をつけることになります。

むし歯になりやすい糖が含まれるもの


・甘味料:砂糖全般、水飴、ハチミツ、異性化糖液糖(缶詰とかに入ってる)

・加工食品:お菓子、パン、調味料(ケチャップ・マヨネーズ・みりん風調味料等)

・果物、果汁


※母乳・牛乳は単体ではphは6.8とほぼ中性、カルシウムやリン酸の保護作用により、むし歯になりにくいです


日本で生活していたら、全てを摂取しないことなんて恐らく不可能・・・。

なのでうまく付き合うことが求められます。


ではなぜ砂糖はむし歯になりやすいものなのでしょうか?

砂糖は細菌と歯をねばねばにくっつけてしまい、歯にべったり細菌をつけさせてしまいます。

そのため常に食事をしている状況になっているため、酸性であること・唾液が届かない状況を作ってしまうのが「砂糖」です。


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(自然の味を楽しむ子どものご飯)



唾液とむし歯


唾液は誰でもあるものと思っていますか?

実はそうではありません。

本来持っている体の機能としての唾液分泌量はみな、変わりません。

しかし、唾液の分泌量やお口の中にある量が少なくなる状況があります。



「唾液」が少なくなる状況

“お薬を飲んでいる“

“口呼吸“

“睡眠時“     です。


唾液のすんごい効果

唾液は天然の薬とも言われているくらいすごい効果を持っています。

・抗菌作用

・消化を助ける

・糖を洗い流してくれる

・飲み込みやすくなる

・再石灰化(歯が溶けたところの修復)を促す


などなど

唾液のもつ力って侮れないんですね。

なので大切な唾液を守ってほしいんです。

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歯ブラシでは100%むし歯予防不可能


食事と唾液が大切だと前述でお伝えしました。

ここでは歯磨きについても触れていきたいと思います。


歯ブラシは「歯垢=細菌の塊」を取り除く目的で歯磨きをしています。

歯ブラシの歯垢除去率は

40〜60%と言われています。


どうでしょうか?多いと感じますか?

プラス【フロス】を使うことで

20%あがるとも言われています。


MAX綺麗に磨けたとしても60〜80%です。


歯科衛生士である私自身は先日歯医者に行った時プラーク除去率85%でした。


歯磨きのプロでも100%無理なんです。

だから【食事と唾液】でむし歯予防が必要なんです。


まとめ


本当のむし歯予防はいかがでしたか?

むし歯は習慣の結果であって、歯磨きだけでは予防は不可能です。

ぜひ、【食事・唾液】を意識すると

結果としてむし歯予防ができることにつながりますよ♩



歯科衛生士学校ではここまで習うことはできませんでした。

自分の疑問を放置して置くことをせず、知りたいと思い学び始めました。


もしかしたら10年後、また新しいむし歯に関する説が出てくるかもしれません。新しい研究結果も出てくるかもしれません。


医療も人も変化していくものだからこそ、

変化に対応できるよう学び続けていきたいと思います。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

個別でお口のお話会を開催しています。

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