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ユダヤ人犠牲者数

史料や当時の証言からホロコーストのユダヤ人犠牲者数を紐解いていきます。


今日のおすすめは!

『ホロコースト ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌』
芝健介著


*犠牲者数総計

結論:『総計約600万名以上』

『アウシュビッツ』の著者で、絶滅収容所研究の第一人者であるジビュレ・シュタインバッハーの最新の研究結果を参考にした「ホロコースト」の筆者・芝健介氏の総計


<犠牲者数内訳>

約300万名→5つの恒久的絶滅収容所でのガス殺。

約130万名→行動部隊、武装親衛隊、国防軍などの部隊によっての大量射殺。

約100万名→ゲットーでの飢えや病での殺害。

約70万名→ガストラックでの殺害。

その他戦争末期収容所解体後の「死の行進」での殺害


<犠牲者数を読み解く現存の史料>


①リヒャルト・コアの統計報告書
→リヒャルト・コアは統計監査官として親衛隊に配属されていた人物。

②「ソ連事件報告書」
→保安警察・親衛隊保安部が作成。1941年6月23日〜1942年4月24日の記述。195冊中194冊現存。

③「東部占領地域報告書」
→上記と同じく、保安警察・親衛隊保安部が作成。1942年5月1日〜1943年5月21日の記述。55冊が現存している。

⇒上記3つの報告書では、少なくとも「53万5000名」のユダヤ人殺害が明らかになっている。

④「ソ連における保安警察・親衛隊保安部行動部隊活動・情況報告」→1941年6月〜1943年5月の記述。11冊現存。

⑤ニュルンベルク国際軍事裁判でのヴィルヘルム・ヘトゥルの
「宣誓供述書」 
→ヴィルヘルム・ヘトゥルは親衛隊中佐(国家保安本部第四局西南欧課)。→1944年国家保安本部の強制移送責任者であったアイヒマンが、ヘトゥルに対し、絶滅収容所で400万名、行動部隊によっての射殺などの他の方法で200万名、合計600万名を殺害した事を報告したものの記述。

⑥殺戮作戦、ポグロム、虐殺に関する史料 
→ソ連国内でのユダヤ人の犠牲者数は、ナチス侵攻後のソ連において、
最初の数ヶ月だけで少なくとも70〜75万名のユダヤ人が殺害された事が明らかになっている。

⑦ニューヨーク・ユダヤ人問題研究所での算出
→第二次世界大戦前の1939年段階でのヨーロッパ・ユダヤ人の人口は
約950万名だったのに対し、
終戦後の1945年段階では約310万名であり、
亡命した約60万名を除くと、ホロコーストでの死亡者は、約580万名にのぼる。

⑧イスラエルの歴史家が中心になって編集した『ホロコースト大辞典』
→各国・地域に関するそれぞれの専門家が個別に算出した合計値。最低約559万6000名〜約586万名。



*今回は史料として残っているユダヤ人の犠牲者数をまとめてみました。
大学生などホロコースト研究に興味のある方の参考になれば幸いです。


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