ポエムじゃないミッション・スタイルをつくる【14,000字超】
会社のミッション、あるいはビジョンやバリュー、スタイル、大事ですよね。でも、いざ決めようとするとどうしたらいいか分からない😮💨 特にスタートアップは、プロに外注せず、自分たちで決めるというほうが多いと思います。「ミッションを作りました!」という策定後の話は多くみかけますが、実際に “どう決めるのか” の策定プロセスが分かる事例は少ないです。
今年2024年ワンメディアは創業10周年を迎えまして、ミッション・スタイルを刷新しました。実は、着手から刷新まで約1年間くらいかかりました。最初はワークショップでみんなの時間を無駄に使い、一度頓挫し、その間に人事担当が退職するなど… さまざまな壁に直面しましたが、結果「良いミッション・スタイル」を策定できました。
この1年間の迷走(?)経験から「いかにポエムにならず、機能するミッション・スタイルをつくるか?」をプロセス多めで紹介していきます。特に経営に関わる方や人事の方に、ぜひ読んでいただきたいです!
✅ この記事のまとめ
🙋♀️ かんたんな自己紹介
良いミッション・スタイルとは?
特にスタートアップ界隈において、ミッション・スタイル(的なもの全般)は「あるのが当たり前」「決めること自体が素敵」と捉えがちで、あまりその「良し悪し」を議論することは少ないのではないでしょうか。あえて、ここから考えてみます。
Zoom背景やSlack絵文字になることだけを目指してはいけない
よくメンバー同士の共通言語化やモチベーションアップを目的として語られることがあります。私も最初は「Zoom背景を新しく作って配布」「Slackの絵文字になっている」など、“会社のみんなが、自然にその言葉を使っていること” をゴールイメージにしていました。
とてもエモいし、プロジェクト的な『仕事感』はあるんですが… 実はこれだけをゴールにしてしまうと、完成度が低くなってしまうんです。経営・事業目線では実用性がない言葉になりやすい。
モチベーションがぶち上がるような言葉。
SNS映えしそうで、想いをnoteに書けそうな言葉。
カルチャーデッキに入れるとカッコよさそうな言葉。
いきなりこういうアウトプットを目指すと、往々にして「ポエムワード」「ファッションワード」に着地しがちなんですね。
今回のプロセスを通して1番伝えたいのは、この
「ポエムになるな」
ということです。
良いミッション・スタイルは、判断基準になる
ワンメディアでは、良いミッション・スタイルはその企業の構成者にとって「判断基準」になるもの だと考えています。
「判断基準」になるとはどういうことか?
■メンバーの意思決定を助ける
言わずもがな、企業運営は様々な意思決定でできています。意思決定を渡せるからこそ、権限委譲が行われ、スピーディーな運営ができていきます。
事業の最前線にいるのはメンバーです。そんなメンバー1人ひとりが日々直面する課題に対して悩んだとき「うちの会社はこう判断するな🤔」と意思決定を助けることができます。
そんな意思決定が積み重なると、権限委譲も進みやすいですし、ブレが少ない組織になります。これが良いミッションスタイルの効能の1つです。
■経営に関わる意思決定がしやすい
さらに経営リーダーやマネージャーにとっても、有効な判断ツールになります。
経営に関わる方は共感していただけると思うのですが、権限委譲が進めば進むほど、経営側に上がってくる問題は難しいものばかりではありませんか? なぜなら、現場メンバーやミドルマネージャーで判断できる問題はすでにしてくれた状態で、判断できなかった問題がどんどん上がってくるから。
白黒はっきりつけがたい絶妙ライン、判断が【51 : 49】(もはや 50 : 50 のときもある…)に分かれそうな問題に対して、自社の強みが活きる意思決定をしていかなければいけません。そんなときに、同じく「うちの会社はこうだから、こっちの道で行こう」とジャッジする助けになります。
🫤 「ポエム」にも「常識」にもならないようにする
このように社長や経営陣、ミドルマネージャー、メンバーに渡って判断基準となるミッション・スタイルは、いわば会社の「憲法」のような存在だと思います。なので時には「ミッション・スタイルがこうだから、NOである✋」という判断もあります。
「YES」だけではなくて「NO」もあり得るということは、世の中全員にとって当たり前すぎることは判断基準にならないのです。
例えば極端な例ですが、
「明るい世界をつくる」
というミッションを考えてみましょう。
「明るい世界をつくらないから、〇〇はNOだ」という判断になることはほぼないと思います。「明るい世界をつくる」というのはあまりに世の中一般的に目指す状態すぎて、判断が迫られることにならないからです。
また言葉が抽象的すぎると解釈が入ってしまい、判断を迷うことになります。「明るい世界をつくる」ことは人によって解釈が分かれます。そうなると、目指す状態としては合意だけれども、実際に具体的な意思決定したいときに全く使えなくなってしまうのです。
そのため、良いミッション・スタイル = 判断基準として機能するものは、「当たり前すぎないこと」「抽象的すぎないこと」が大事です。
これまでの話を図にしてみると、こんな感じです。
判断基準になる良いステートメントとは、【1】その企業らしい独自性があり、【2】具体的な言葉で表現されているものです。一般的すぎるとただの「常識」、抽象的すぎるのは「ポエム」になってしまい、判断基準として機能しないので要注意です。
【1】を少し補足します。
具体的で独自性がある = 賛否両論が起きること。
自社だと「YES」だが他社では「NO」なことを探せ👀
「常識」にならないためにはどうしたらいいか?一番のおすすめは、その企業によっては「YES」とされるが、他の企業では「NO」となることを探すことです。
例えば、ワンメディアでは【神は細部に宿る】を「スタイル」の1つとして策定しました。具体的には企画書作りやコミュニケーション、アウトプットのクリエイティブにおいて、ディテールにこだわりまくることを「良い」としています。
しかし【神は細部に宿る】はときに「スピード」を失うことにもなります。ディテールにこだわりすぎて、時間がかかりすぎる… これを良しとせず、「スピードを優先したい」という企業はあるでしょう。例えばtoCビジネスやITプロダクトであれば、100%に仕上げることよりも20%の状態でテストローンチすることを優先すると思います。
一方でワンメディアでは、ディテールにこだわり100%をパーフェクトに仕上げることを優先します。スピードがトレードオフになったとしても、です。こういった「賛否両論があるテーマで、どちらか1つを選ぶこと」がその企業らしい独自性ある言葉につながります。「トレードオフであること」とも言いかえられると思います。
というかたちで、良いミッション・スタイルの定義をお話しました。ここからは「具体的な策定ステップ」に入っていきたいと思います。
企画はトップダウン、実行はボトムアップ
ボトムアップでやろうは綺麗事に過ぎない?
主に【企画】と【実行】に分けて紹介していきます。ワンメディアでは、このように進めました(今振り返ると)。
- - - 企画フェーズ - - -
【1】今やるべきか?を見極める(&覚悟を決める)
【2】何を決めるか?を決める
【3】役割を分けて、素案をつくる
- - - 実行フェーズ - - -
【4】みんなが使う言葉に落とし込む
【5】明日の自分も腹オチするか。”眺める”時間を取る
【6】社内の判断基準として仕込んでいく
企画フェーズは経営陣を中心に、トップダウン形式で一気に強火🔥で進めるのがおすすめ。実行フェーズは逆にボトムアップ形式で、弱火でじわじわ、しっかり時間を使うのがよいと思います。
よくこういう企業のカルチャー形成に関わるプロジェクトは、社内の若手メンバーを各部署から集めて、企画からボトムアップっぽくやりがちです。いきなりワークショップをやったり…でも企画フェーズは経営陣がコミットすべきと声を大にして言いたいです📣 「みんなで作りました」というのは綺麗事で、冒頭の「SNS映え」を第一に考えてしまっているなあと思います。というのも「独自性があり具体的な基準」になる良いミッション・スタイルをつくるためには、<組織と事業><戦略と実行>のどちらも関わるレイヤーじゃないと、スイートスポットが見極められないからです。もしメンバーに協力してもらうとしても、目的とアウトプット要件が具体的に見えた実行段階で巻き込むのがよく、それまでは経営陣でやり切るべし。
ワンメディアでは初期の「迷走時期」、これで失敗しました😭 いきなり “クレド(行動指針)” を作ろう!ということになり(ひどい笑)、社内のメンバー4名ほどにお願いして、いきなりワークショップをやってもらいました。
それっぽい言葉が各チームからアイディアとして出てきたのですが、どれもしっくり来ず…(今考えると「ポエム」でした!)結局ここから半年くらいプロジェクトを寝かせることに。計画なくみんなの大事な時間を使ってしまうことになり、これは本当に申し訳なかったです。
ミッション・スタイル企画のおすすめフォーメーション🤝
企画フェーズに必要なメンバーは会社によってそれぞれですが、「最低限この役割がいれば・・・」と思うのは、この3つです。それぞれが手を動かしてコミットできる人、最低この3人がいれば企画段階は十分だと思います。
CEO的な人(CEO、社長、創業者など)
事業統括的な人(COO、CTO、営業統括、プロダクト統括など)
HR統括的な人(CHRO、人事責任者、組織開発担当など)
とはいえ、スタートアップであればこの3つのポジションも一部が穴開きであることもあると思います。その場合は1人が2つの役割を兼務しながら、「今はこの役割から考えるぞ」と認識して使い分けていくと、多面的に策定できます。
このような体制で1年くらいかけて策定しました。ワンメディアのミッション・スタイルのBefore / After はこちらです。
←Before(たぶん2018年くらい?) After(2024年〜)→
ここから実際の企画・実行ステップを6つ紹介していきます。
1. 本当に今やるべきか?を見極める(企画)
いよいよ最初のステップです。
といいつつも・・・まず、本当に今やるべきなのか?という問いに向き合うことからはじめるのがよいでしょう。
■策定必要なシチュエーション:意思決定者が増えた
1年くらい迷走した経験者としては、「ホームページに載っているMVVが古くて、かっこわるい・・・」「採用強化したいから何か作らなきゃ・・・」という外向きのモチベーションだと、「ポエム」で満足して着地しがちです。
判断基準になる良いミッション・スタイルを策定するには、「社内の経営体制が刷新した」「ミドルマネージャーが増えた」など、意思決定者が社内で増えたタイミングを見極めるのがよいです。もちろん現行のミッション・スタイル的なものがあり、それで各レイヤーが意思決定できているのであれば変えなくていいと思います。
■策定必要なシチュエーション:事業領域が変化した
もう1つは、事業領域の変化です。これはミッション・スタイル策定シーンとしてあるあるだと思います。できれば未来ずっと耐久性のあるものを定めたいところですが、そうはいかないのが現実です。
とはいえこのシチュエーションの場合は、事業単位でのミッションや方針を決めることで会社単位での致命傷を避けられるなとは思っています。なので、実は緊急度は高くないということもありそうです。
本当に今やるべきなのか?
冒頭の通り、ミッション・スタイル策定には経営陣を中心としたコミットが必要です。やるなら高い完成度を目指す、やりきる覚悟が付いてから着手するのがおすすめです。
2. 何を決めるか?を決める(企画)
さあやるぞ!と覚悟が付いたとき、
😟「何を決めたらいいの?」「違いがわからん・・・」
というのが次にぶつかる壁だと思います。
これまで当たり前のように「ミッション」「スタイル」を大前提として話を進めてきましたが、こういった企業の理念に関わる言葉ってたくさんあります。この分野(「フィロソフィーマネジメント」と言うらしい)って、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「パーパス」「ステートメント」「クレド」「スタイル」「ブランドスローガン」「カルチャー」・・・など色んな言葉が溢れています。
ある程度カバーできれば、好きな組み合わせでよいと思う
アカデミックな手法やフレームワークもありますが、あえてラフな言い方をすると、だいたいこの3つに集約されるのではないでしょうか。
1. 「向かう方向性」系:「〜する」という動詞が多い。やりたいこと
2. 「集団として大事にすること」系:これがクレドとかスタイルとか
3. 「顧客提供価値」系:1と2の結果、世の中にこういう価値を生み出すよというもの
正直しっくりくるものを好きに選べばよいと思います。ですが、どれか1つだけつくると実行段階でカバーできない領域が出てくるので、3つのうちから2つ以上選ぶとよいと思います。
3.役割を決めて、素案をつくる(企画)
ここが一番大変です。企画メンバーで役割を決め、素案を作ります。
「ミッション」は社長に自己開示してもらった
「ミッション」についての決め方はケースバイケースだと思います。
“メディアを通してムーブメントを起こす”
がワンメディアの新ミッション。代表の明石が色んな方々に「インプット行脚」をしまくり、大学にも通い、起業時の想いを掘り下げ、これだ!というのを作ってくれました。
この葛藤と発見のプロセスはこちらのnote記事に詳しく載ってるので、ぜひ合わせて読んでみてください。
「スタイル」にどう辿り着いたか? ナレッジワーク・麻野さんの「Managment Boot Camp」に救われた
上記の「ミッション」を補強する存在として、「スタイル」を決めました。これはすんなり決まったわけではなく、、、実は「ミッション」を決める前に「クレド」から着手しようとしていきなり頓挫。ワークショップを実施したものの、全くしっくり来ず、迷走していました。
そんななか「突破口」になったのは、ナレッジワークの麻野さんがライフワークとして開催されている「Management Boot Camp」。不定期で週末に開催される、8時間ぶっ通し(!)でひたすら体系的にインプットしていくブートキャンプです。これがめちゃめちゃ良かった・・・👏 ほんとに救世主。
このブートキャンプのなかに「フィロソフィーマネジメント」というパートがありまして、「ミッション」「スタイル」「提供価値」の3点セットの決め方・フレームワークを学びました。
特に「スタイル」がポイント。
✅️ 事業モデルと紐づける(→ポエムにならない)
✅️ 一言で表さない。経営判断や事業方針、日常行動、人材要件などのシチュエーション別に言語化する(→具体的な判断基準になる)
この作りかたが目から鱗でした。
ブートキャンプ後の週明け、すぐに社内で共有しました。それまで「スタイル」も “良いコピーライティングを思いつくかどうか” だと勘違いしていたのですが、そうではなく “事業に紐づいてロジカルに言語化していくもの” だった。そう気づいてから、経営メンバーの3人でディスカッションを毎週重ねて絞っていきました。
以上、ここまでが企画段階です。ここからは実行段階に入ります!
4. みんなが使う言葉に落とし込む(実行)
実行段階からはボトムアップ形式推奨、みんなを巻き込んでいきます。ただし、ここでいきなり「Slack絵文字」にしたり「Zoom背景」にしないこと。もっともっと言葉をブラッシュアップしていきます。
企画メンバーで作った素案をもとに「違和感ある言葉はないか」「もっと別の言い回しはないか」を、社内メンバーにフィードバックしてもらいます。ワンメディアでは、ここを全社のワークショップにして、各チーム別に分けて改善案を出してもらいました。
このプロセスを踏んでよかったな、と思うのが「経営陣の独りよがりな言葉にならないこと」。いくつかBefore → After を紹介します。
経営・マネジメント目線だと「こうしてほしい」「こうあるべき」という圧がどうしても出てしまいますね… フィードバックをもらうことで、実際に日常行動でメンバーが試しやすかったり、採用活動で社外の方でも共感してもらえたりする言葉にブラッシュアップできたなと思います。
5. 明日の自分、3年後の自分も腹オチしているか。 “眺める” 時間を取る(実行)
ブラッシュアップ後、さらに時間をかけます。
ここで明石から出たアイディアが、
😎「スマホ壁紙にして毎日何回も見よう」。
マネージャーメンバー全員でスマホ壁紙に設定し、毎日10回以上は目に入らざるをえない状況にしました(狂気)。こんな感じ。
この過程で、さらに言葉が変わりました。特に明石自身から「このほうがいい」というアイディアをもらいました。策定時点だと、そのときに見聞きしたキーワードに流されることもあるのですが、明日の自分も、3年後の自分も腹オチしていけるか・体現できるかが重要だと思います。
例えばスマホ壁紙にしたことで、お客さんとの商談や会食などで「こういうの最近やってるんですよ〜」と見せてみたりしました。外部の方にも「うちはこんな会社です」と説明できるかどうか?のチェックにもなりました。
6. あらゆる判断基準に仕込んでいく(実行)
ここまで来たら言葉としては完成です。実際に判断基準として機能させるために、事業と組織の双方で制度に仕込んでいきます。
ワンメディアではまだまだ道半ばなのですが、まずは組織面から着手しています。
採用時にスタイルを確認する質問リストを作った
評価制度に盛り込んだ。定性評価の軸にした
入社オンボーディングフローに組み込んだ など
いくつか具体的に紹介します。
【採用】「スタイル面接」を設け、人材要件に紐づいた共通質問を用意しておく
これまで採用プロセスは、単純に1次→2次→最終…と役職者を上げて面接するだけだったのですが、2次面接を「スタイル面接」と呼び、明確にワンメディアの「スタイル」とバイブスが合うか方かどうかを確認する時間にすることにしました。
※これも実はナレッジワーク・麻野さんのRecruitment Boot Camp 参加の学びです
採用の裏側を公開しちゃうのですが、各スタイルの「人材要件」を質問リストにしています。これを各面接官から質問させてもらい、スタイルとの共感度を評価するようにしています。
【評価制度】定性評価に入れていく
評価制度にも組み込みました。これまで定量評価・定性評価のざっくりとした2つでやっていたのですが、定量評価をKPIに対する行動評価、定性評価を今回決めた「スタイル」に紐づくスタイル評価としました。
策定した「スタイル」のなかでも「日常行動」と「人材要件」の2つシチュエーションをピックアップ。下記のように自己評価をしてもらうときに、この「スタイル」に対してどうだったか?を振り返ってもらっています。
これはまだまだ20点くらいだなと感じています… 本当は各等級(グレード)ごとに期待するスタイルのレベルは違うので、より最適化したものにしていきたいと思っています。
まとめ
改めて企画から実行までをまとめると、こちらの6つのステップになります。
【6】の基準として仕込む段階になるまで、時間がかかってもstep-by-stepで完成度を高めていくことがおすすめです。
ミッション・スタイルは魔法ではない
ミッション・スタイルを策定したことで、経営チーム(明石・余頃・香川の3名)の間での原体験含めた相互理解ができました。また自分自身、事業や組織の判断がしやすくなりました。「にわとり・たまご」ではありますが、ミドルマネージャーへの適切な権限委譲も進んでいると実感があります。
ただ、「ミッション・スタイルが全てを癒やす」ということはないんですね。外からみると、かっこいいミッション・スタイルがドーンとリリースされたりしていると、調子がいい会社に見えます。でも魔法ではないんです。
ワンメディアは今回のミッション・スタイルを、2023年7月〜2024年6月の1年かけて策定しました。実はこの1年の間、管理部門が全員退職したり、代表が経営方針に悩んだり、課題は満載でした…
一方で組織崩壊しながら、一方で組織強化がされていくという矛盾
今振り返ると、ミッション・スタイルを策定していく(策定しないといけない)状況になった時点で、組織・事業として創業時、あるいは第二創業(第n創業…)といった変化のタイミングなのかもしれません。
代表をはじめ経営陣にとって「この会社と自分で成し遂げたいのはどういうことなのか」という自己分析と自己開示が必要です。また決めていく過程で、経営陣・マネージャー・メンバーにとって「意外にここが共通点だった」とエンゲージメントが高まることもありますし、「あれ、なんか違和感あるな…」「自分がやりたいこと違うかも」という気付きを突きつけることもあると思います。
判断基準をつくる、ということは、その判断基準に沿って違和感なく意思決定できるか?という “踏み絵” 的行為にもなり得ます。結果としてエンゲージメントは高まったものの、その過程もすべて100%ハッピーにはならない。組織が変化し続けていく委譲、シンプルな方程式では説明できない、複雑で矛盾することばかりですね(それが面白いのですが)。ただ、以前よりもより良いチームになっていることは自信を持てます。
社長の想いを「ポエム」にさせない✊
“メディアを通してムーブメントを起こす”
ワンメディアとしては、このミッションを『動画』『広告』という手法に留めなかったことが、とても大きな決断でした。今成長している事業は、ショート動画マーケティング。ですがあえて「我々がやりたいのはメディアである」と宣言しました。
このジャッジをするには、かなり経営陣の3人で話しました。CEOの明石が起業時代、さらにその前の高校時代からやりたかったこと。それを聞いて、私や香川にとって、自分の原体験と共通していることを話しました。この話し合いを通じて、「動画」「広告」もやりたいことの1つだが手法であって、本当に興味があるのは「メディア」であると結論付けられたんですね。
私は24年6月に就任したばかりの “新米COO” なんですが、よくCEOとCOOの役割とはなんだ?と考えます。
ワンメディアの場合は “メディアを通してムーブメントを起こす”というミッションを掲げ、「次はここに行くぞ!」と指針を決めるのがCEOである明石。そのCEOが掲げたミッションを、「ポエム」にさせないように、具体的に実行し、事業で証明していくのがCOOである自分の役割だと思っています。
なのでこのnoteを通して「良いミッション・スタイルとは判断基準。独自性があり具体的なものを定めよう」と言ってきましたが、最終的には「ミッション・スタイル」をポエムにしないように何が何でも実現していく、ということかもしれません…
“メディアを通してムーブメントを起こす” ワンメディアのこれから
最後に、今回のミッション・スタイルを策定した結果の1つとなる告知をさせてください😊
2024年11月1日に「NEW MEDIA DAY 2024」というカンファレンスを開催いたします。動画・広告に留まらず、YouTube / TikTok / Instagram / Podcast / ライブ配信といった新しいメディアにおいてモメンタムを創出しているキーパーソンをお招きしたトークセッションを行います。
当日は完全招待制になるのですが、開催後、無料でセッション動画を無料で公開します。その事前エントリーを受付中です。
無料の視聴登録エントリー受付中
当日、会場現地での観覧も抽選で当たります
新しいミッション・スタイル策定後の、初めての大型のプロジェクトです!ぜひエントリーお待ちしています。
補足:参考にしたこと、おすすめ
🔥 Management Boot Camp / Recruiting Boot Camp
本文でも触れましたが、不定期の開催告知が出たら即座に申し込んだほうがいいです。マネジメント・採用領域における網羅性・体系化がすごいです。思わぬところで「課題解決」の糸口が見つかります。
麻野さんのnoteに、開催中のBoot Campや過去告知があります。
💡 参考にしたミッション・スタイル
■ナレッジワーク
上記のBootCampでサンプルとして出てきます。スタイル=行動指針が、事業モデルと評価制度、社内の各施策に紐づいてます。特に ”Be true 誠実に” というのを、社内カルチャーでも顧客サービスでも徹底されているんだなと思いました。
■令和トラベル
令和トラベルさんだと「スタイル」的な位置づけが3つの「Value」です。
“LEARN NEW 純粋な好奇心” → 高い好奇心が旅行事業における独自ポジションを強めますよね。
“OWNERSHIP 高い当事者意識” → Company DeckにあるHRポリシーとも共通していて、ちゃんと人事制度と紐づいてるんだろうなと想像しました。
“GO FAST 高速でやろう” → 老舗企業も多い業界でしょうから、他社ではNOだけど自社ではYESになるタイプの、判断基準になるValue。
■キーエンス
ミッション・スタイルではないのですが、下記サイトの「キーエンスの考え方」が素晴らしいです。 “考え方 Way of thinking” と “仕組み How it works” の二段構えになっていて、「ポエム」じゃない良い判断基準を体現していると思います。
■トヨタ自動車
ワンメディアの現事業をシンプルに言うと、動画の受託制作事業。意外に思うかもしれませんが「メーカー」に近い仕事のしかたなんです。ということもあり、「現場主義」というスタイルの1つは、トヨタ自動車が掲げる “三現主義” から発想しました。
スタートアップだけではなく、実は近いビジネスモデルの会社を参考にするのはおすすめです。
📕 参考になった本
■『NO RULES』
言わずと知れた名著。ルールではなく、モラル。そのための人材厳選主義は、ミッション・スタイルをどう憲法として実践していくか?の参考になります。
■『爆速成長マネジメント』
日本語タイトルのせいで若干嫌煙してたんですが(笑)これを読んで「ミッション・スタイルは経営陣がコミットしなければならない」と腹を括りました。経営・組織・事業に関するトピックが網羅されつつ、かなり具体例が入っています。特にCOOの方におすすめ。
■『京セラフィロソフィ』
「ポエム」にならないという実学徹底をしていたのが、稲盛和夫であり京セラなんだなと思います。現代のスタートアップ界隈のSNS広報合戦を全く抜きにして、「本当に事業が伸びるフィロソフィとはなにか」とピュアに向き合うことができます。『稲盛和夫の実学』もおすすめです。
ワンメディアでは一緒にムーブメントを起こすメンバーを募集中!
現在募集中のポジションは、「ビジネスプロデューサー」「動画制作プロデューサー」「キャスティングディレクター」「業務オペレーション企画」です。オープンポジションもありますので、ご興味ある方、お話しましょう☕️
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