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wevoxバリューカードのすすめ。やさしい価値観の発見と相互理解のツール。

前回のCourseraに続き、今回も最近ハマっているツールの紹介です。価値観の相互理解を促進するゲーム「wevox バリューカード」です。自分のチームだけではなく、周辺チームも勝手に巻き込んで色んな人と遊んでみたのですが、体験設計が非常にうまく、自然と価値観の発見とチームでの相互理解につながります。
他チームのマネージャーと話すたびに激推ししているので、最近徐々に社内でも広がってきました(広げてきました😉笑)

wevox(ウィボックス) バリューカード とは

wevox(ウィボックス)とは、株式会社アトラエ が提供している組織・チームのエンゲージメント可視化サービス。他にはyentaやGreenをやられている会社です。👇公式noteも運用されています。

普段からwevoxにはお世話になっているのですが、このバリューカードという存在は知らなくて。もともと紙のカードゲームらしいのですが、6月にリモート環境に対応してオンライン化&かつ誰でも遊べるようになった ということで人事から教えてもらったのがきっかけです。

バリューカードについて簡単に説明すると、💡お互いが一番大事にしている価値観を発見・シェアするゲーム。「自由」「冷静」「卓越性」など色々な価値観キーワードが書かれているカードが出てきます。これを引いたり捨てたりしながら、自分が一番大事にしている5枚を残していきます。

この「価値観を捨てる」というのが結構大変。かなーーーり悩みながらも、最後には厳選した5枚が残ります。それを最後に皆で背景を話しながらシェアすることで、お互いが本当に大事にしている価値観を知ることができ、理解につながるというわけです。

🎮 遊びかたと設定したテーマ

基本的な遊びかたのルール下記の公式noteに詳しく書いていただいているので、まずこちらをみてみてください。テーマやルール設定によって、色々な遊びかたができるようです。

私は「自分の人生で大事な価値観」をテーマに設定して、色んなグループで合計5回やってみました。普段の仕事で関わるグループ(ある程度の関係値がある)で、仕事だけでは分からない側面をお互いに分かるといいなーというのが目的です。

ルール設定
テーマ 自分の人生で大事な価値観
参加したメンバー 4-5人 ※最大8人までとのこと
やり方 Zoom & 出社しているメンバーはオープンスペース
時間 40分くらい
 -30分でカードを引く
 -10分で価値観についてシェア・ディスカッション
遊んでみたグループ
・チーム内で(同じ事業企画チーム)
・プロジェクトメンバーで(営業メンバー×事業企画メンバー)
・同部署のマネージャー同士で(隣の事業企画チームのマネージャーと)
・同期で(組織横断で新卒6年目同期で)

🙋‍♀️ 価値観シェアのために工夫した進行ポイント3つ

2-3回こなしたあたりから、ファシリテーションにだんだん慣れてきた私。お互いの価値観が自然とシェアできる場作りのために、いくつか進行ルールを工夫してみました。スタート時、途中、ゲーム終了後の3つに分けて紹介します。

【1】スタート時:テーマについて補足しておく
【2】途中:捨てる瞬間にツッコミを入れて盛り上げる
【3】ゲーム終了時:一番大事にしている価値観を予想

【1】スタート時:テーマについて補足しておく
仕事で関わるメンバーでやるものの、最初に「仕事で大事な価値観」ではないことを強調。【仕事】という価値観もカードとして含まれているので、仕事は価値観のひとつであって、今回は人生全体において大事にしている価値観がテーマなのだと伝えました。※遊びかたによります

自分自身でもなかなか時間取って考えることのないテーマではあるので、最初は「えー難しい」という反応になりますが、ゲームをやっていくうちに自然と選択できるようになる気がします。

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【2】途中:捨てる瞬間にツッコミを入れて盛り上げる
ゲームのなかでお互いの価値観理解につながる瞬間は必ずしも最後だけではなく、むしろ価値観を捨てていくプロセスにあると感じます。アトラエさんUX設計うまい。

89枚から5枚を厳選していくのって結構難しくて。”一般的に”考えたら捨てちゃだめだろう、でも”自分は”もっとこれが大事だから捨てないとな、、、という逡巡を重ねることになります。自然と5枚を選ぶという感覚ではなく、それ以外の価値観を捨てることにフォーカスされていきます。

そのため、各参加メンバーが「捨てる」瞬間が一番面白い。これを意識して各ターンで「捨てる」瞬間にツッコミ的な質問を入れていくとかなり盛り上がります。

もちろん否定するようなコメントにしないのは前提ですが・・・例えばこういうコメントが入ると盛り上がります。さらに、質問に対する本人の返答にさらっと本質的な価値観が見え隠れするので、このプロセス自体が相互理解につながるのだと思います。

💬 〇〇さん的がこの価値観捨てるの意外、面白い
💬 これ捨てちゃうんだ笑 もっと大事なのがあったですか・・?
💬 このカードずっと持ってたやつですか? 即捨てたんですか?

ちなみに、裏の立役者はこのハトくん。いい仕事をするんです。(健康は大事だよ)

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【3】ゲーム終了時:一番大事にしている価値観を予想

ゲームが終わると、全員が選んだ価値観5枚が画面に表示されます。それを一人ずつ時間を取って、どういう意図で選んだのか?をシェアしてもらいます。そのときおすすめなのは、シェアの前に、他のメンバーでその人が一番大事にしていると思う価値観を予想すること。

これも予想することで生まれるやり取りにより、その人本人でも気づいていない本質を自然と引き出すことにつながると思います。

例えば・・・私の場合だと。
私が同部署のマネージャー同士でやった結果がこちら👇。皆さんから「刺激や偶発性を大事にしてるのでは?」というコメントをもらいました。

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😁予想を裏切って・・・
”一番大事にしているのは【発見】です。すべての行動は新しい発見のため。そのために【刺激】【挑戦】がある環境、【オープン】なスタンスでいること、それによって生まれる【偶発性】を期待しているのですよ。”
というようなことを、気づけばつらつらと喋っている自分がいました。後にも記載するのですが、自己分析にもなります。

👌 やってみてよかったこと、変化

最後にやってみてよかったことをまとめてみます。一緒にやったチームメンバーや同僚も「これ面白い」「自分でも発見になった」と言ってくれました。アトラエさんありがとう😊💌

■価値観を知ることによるチームビルディングへの効果
チームビルディングのためには色々なアプローチが存在しますが、「価値観シェア」は強い効果があるアプローチだと思いました。もともとこのゲーム開発の背景として、対話の土台作りというのがあるそうです。

自己理解・相互理解(土台)
→メンバー同士で対話できる環境 ができる
→課題を見える化し対策を実行できる環境 ができる
→チーム強化!🤝

ただこの価値観を知るのは難しい。比較的長い間一緒に働いていたとしても(例えば同期でも)、また、仕事上の価値観だったとしても、日々の行動の結果から推測し合うしかない状態だと思います。さらに本質的になればなるほど、本人でも気づいていない潜在的な価値観だったりするので、面と向かった質問だと現れてこないものです。

そのため、ゲームという設計を上手く使って、お互いに価値観を発見・共有していけるバリューカードは、土台作りのための稀有な一手だと思います。

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■個人の自己分析になる(
ストレングスファインダーレベル)
一緒にやった方に聞いて、一番やってよかったという意見出た理由がこちら。今回の記事であえて価値観の発見と共有と書いていますが、まさにこの発見、自己分析につながることが2つ目のよかったポイントです。

カードを捨てていくというプロセスにより、自分が大事にしている・ピンとくる価値観を内省しながら発見できていく感覚がありました。

例えば上記の私のカード選択をみると、【健康】を捨て【発見】や【刺激】を選んだことになります。
このときの選択を思い返すと、「まあ【健康】はもちろん大事だけど、たとえある程度犠牲にしたとしても【発見】がある【刺激】的な環境がいいよね」と心の声が言ってました笑 ここまで新しい発見にこだわっているとは自分でもびっくりでしたが、過去の行動を振り返ると確かに納得・・・

よく自己分析や資質診断による組織開発で使われるのは、ストレングスファインダー。ストレングスファインダーの結果は時々思い返して大事にしているのですが、今回のバリューカードも同じくらい、自分自身の自己分析につながるのでは?と思います。

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■相互理解になるのでプロジェクトメンバー同士でやってよかった
チームだけではなくプロジェクトメンバーや同期など、お互い仕事上は関わっているが、さらに関係値を深めたいメンバーでやるのもおすすめです。ただし全く関係値ゼロだと、突っ込んだ質問をするハードルが上がるので、ある程度関係値はあったほうがいいと思います。組織内でチーム横断のプロジェクトを走り出すときなどに、一緒にまずやってみるのがいいのではないでしょうか。

実施後の変化でいうと、例えばある方はロジックとエモーションを両方大事にする、ということが分かったので、チャットで相談するときに、今までよりちょっと感情を入り混ぜた話し方に変えてみようといった工夫ができました。また、ゲームを一緒にやったメンバー同士で、「あーこないだ〇〇大事って言ってたもんね」といった会話があったりしています。

まとめ

今回はとにかく「人生で大事な価値観」をお互いに発見・共有するための使いかたを紹介しました。最初に書いた通り、他にもテーマ設定や進行ルールによって色々な切り口で遊べるようです。

色んな人を巻き込んでゲームをやっているので、社内でも徐々に拡がっていますが、社外の方でも「こういう遊びかたしたら良かった」というのがあればぜひ教えていただきたいです🙌🙌

最後に注意点。結構盛り上がるので、オフィスの場合はオープンスペースなどでやることをおすすめします。自席からZoomつないでやってたのですが、笑いながらカードがどうだとか喋ってたので、後輩に「よごろさん、朝からトランプでもやってたんですか?」って言われました笑 

ではまた〜

おまけのメモ

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仕事ではなく、人生の価値観とは?というテーマ設定、かなり難しいです。最初はみんな悩みながらなのですが、面白かったのは「人生最期の瞬間にどういう状態でいたいか?を想像しました」というメンバーがいたこと。この設定だと、カードがバシバシ捨てられるようになるそうです。

このコメントを聞いて、コピーライターの阿部広太郎さんの企画「遺書を書こう」を思い出しました。「人とのマンネリを突き抜けられないか?」というお題に対する企画だったそうですが、近い切り口だなと思います。

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価値観という切り口の鋭さを考えていて、同じく頭の中でつながったのは、ピーター・M・センゲ『学習する組織』に出てくるディシプリンのひとつであるメンタルモデルという概念。

メンタルモデル
私たちがどのように世界を理解し、どのように行動するかに影響を及ぼす、深く染み込んだ前提、一般概念であり、あるいは想像やイメージ

センゲは『学習する組織』のなかでメンタルモデルについて、個々人がシステム思考(対症療法的解決ではなく、根本解決をするための課題の捉え方)ができるようになったり、チームが共通ビジョンに向かって動いたりするために重要なのだ、ということを言っています。今回のバリューカードの価値観って、まさにこれを言い換えているのかもなと思ったりしました。

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最近、質問って大事だなとモヤモヤとしていたのですが、今回のバリューカードでも、まさに質問は相互理解のためのミソだなと気づきました。このテーマについては、安斎勇樹さんの『問いのデザイン』で深堀りできそう。(まだ全部読んでない)


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